言葉と距離感こんにちは、ナビセブ編集部です。Cebuの会話を聞いていると、Cebuanoで始まった文章に英語が入り、途中からFilipinoへ変わることがあります。例えば、家族とはCebuanoで話し、仕事の説明だけ英語を使い、Manila出身の人が加わるとFilipinoへ切り替える。
一人の話者が、短い会話の中で複数の言語を使うこともあります。日本人には「どの言語を話しているのか分からない」と感じられます。しかし、話している本人にとっては、言語を間違えているわけでも、単語を知らないわけでもありません。
相手、話題、場所、感情に合わせて、最も使いやすい言葉を選んでいるのです。
結論
Cebuの会話で混ざりやすいのは、主に次の3言語です。
| 言語 | 主な役割 |
|---|---|
| Cebuano | 家庭、友人、地域、感情、日常会話 |
| English | 学校、仕事、専門用語、外国人との会話 |
| Filipino | 全国共通の会話、Manila出身者、テレビや全国メディア |
一つの会話で言語を切り替えることを、言語学ではCode-switchingと呼びます。Cebuでは、話者が3言語を同じ割合で使っているわけではありません。通常はCebuanoを土台にしながら、必要な部分へEnglishやFilipinoが入ります。
フィリピンの公式言語は何?

1987年フィリピン憲法では、コミュニケーションと教育における公式言語を、
- Filipino
- English
と定めています。同時に、地域言語は各地域における補助的な公式言語であり、補助的な教育言語になるとしています。つまり、Cebuano、English、Filipinoが使われる環境は、日常習慣だけでなく、フィリピンの制度そのものにも表れています。
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| 区分 | 言語 |
|---|---|
| 国語 | Filipino |
| 公式言語 | Filipino・English |
| Cebuの主要な地域言語 | Cebuano |
| 地域言語の制度上の位置 | 地域の補助的公式言語・補助的教育言語 |
CebuanoはCebuの日常を支える言葉
Cebuでは、家庭、近所、友人、地域の店などでCebuanoが広く使われています。Cebuの人が「Bisaya」と呼んでいる言葉が、言語分類上はCebuanoを指している場合もあります。しかし、Bisayaという言葉には、言語、地域、人々を含む、より広い意味もあります。
Philippine Statistics Authorityの2020年国勢調査では、家庭で一般的に話される言語として、
| PSAの分類 | 世帯数 | 全国比 |
|---|---|---|
| Bisaya/Binisaya | 421万世帯 | 16.0% |
| Cebuano | 172万世帯 | 6.5% |
と別々に集計されています。この数字は「Cebuanoを話せる人数」ではありません。各世帯に対して、家庭内で一般的に話す言語を一つ尋ねた結果です。また、PSAがBisaya/BinisayaとCebuanoを別カテゴリーで集計しているため、単純に合計して「Cebuano話者数」とすることもできません。
Englishは仕事と教育の言葉

Cebuでは、Englishが学校、企業、病院、行政、IT、BPO、観光などで使われています。特に次の内容は、英語になりやすい傾向があります。
- 仕事上の指示
- 商品やサービスの説明
- 契約や規則
- 医療用語
- IT用語
- 学校の科目
- 外国人を含む会話
- メールや文書
会話の土台がCebuanoでも、専門用語だけ英語になることがあります。例えば、仕事の進捗、Deadline、Meeting、Schedule、Reportなどは、英語のまま会話へ入ります。これは英単語をCebuanoへ翻訳できないからとは限りません。
職場で全員が理解しやすい言葉として、英語が選ばれている場合があります。
Filipinoは全国をつなぐ言葉
Filipinoはフィリピンの国語です。テレビ、映画、全国ニュース、SNS、Manilaを中心とするエンターテインメントなどを通じて、Cebuでも広く理解されています。Cebuano同士ではCebuanoを使っていても、Tagalog・Filipino話者が会話へ加わるとFilipinoに切り替えることがあります。
ただし、Cebuの日常でFilipinoが常に中心という意味ではありません。家庭、世代、学校、職場によって使用頻度は異なります。
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| 相手 | 選ばれやすい言語 |
|---|---|
| Cebuano同士 | Cebuano |
| 外国人 | English |
| ManilaなどのFilipino話者 | FilipinoまたはEnglish |
| 出身地域が異なるFilipino同士 | FilipinoまたはEnglish |
| 複数国籍の仕事 | English |
なぜ一つの文章で混ぜるのか?
1.その単語だけ英語のほうが早い
仕事、学校、IT、医療などでは、英語の専門用語が日常的に使われます。すべてをCebuanoへ言い換えるより、普段使っている英単語をそのまま入れるほうが簡単です。
2.相手に合わせる
同じ話者でも、家族、上司、客、外国人では使う言語が変わります。会話へ新しい人が加わった瞬間に、全員が理解できるEnglishやFilipinoへ変わることもあります。
3.感情を伝えやすい
冗談、驚き、怒り、親しさなどは、第一言語であるCebuanoのほうが自然に表現できる人がいます。反対に、謝罪や仕事上の説明は英語のほうが言いやすい場合もあります。
4.会話の距離を調整する
Cebuanoは地域的な親しさを作りやすく、Englishは少し正式な距離を作ることがあります。言語の切り替えが、会話内容だけでなく、人間関係の距離を示すこともあります。
5.話の流れを止めない
別の言語の単語が先に頭へ浮かんだとき、無理に翻訳せず、そのまま使えば会話を続けられます。De La Salle Universityで公開されている多言語Code-switching研究でも、言語を切り替える理由として、語彙上の必要、自然な感情表現、関係づくりなどが報告されています。
会話はどのように混ざる?
次はCebuの多言語会話を理解するための単純なモデルです。
| 会話の部分 | 使われる言語の例 |
|---|---|
| 挨拶・呼びかけ | Cebuano |
| 仕事の内容 | English |
| 相手への説明 | CebuanoまたはFilipino |
| 専門用語 | English |
| 冗談・感情 | Cebuano |
| 外国人へのまとめ | English |
実際には、全員が同じ切り替え方をするわけではありません。一文ごとに変わる場合もあれば、一つの文の中へ別の言語の単語が入る場合もあります。
Code-switchingには3つの形がある

文と文の間で変わる
最初の文章はCebuano、次の文章はEnglishという切り替えです。
一つの文の中で混ざる
Cebuanoの文法を土台に、Englishの名詞や動詞が入ります。
短い言葉だけ加わる
Okay、Actually、So、Anywayなど、短い英語表現だけが入ります。旅行者が最も聞き取りやすいのは、3番目の短い言葉です。文章全体が理解できなくても、Okay、Tomorrow、Meeting、Trafficなどから話題を推測できることがあります。
関連記事:Cebuanoの英語は旅行者に聞き取りやすい?実際の街で考える
学校では何語を使う?
フィリピンの教育言語制度は、2024年に変更されました。Republic Act No.12027により、KindergartenからGrade 3まで母語を原則的な授業言語とする全国一律の仕組みは廃止され、授業言語はFilipinoとEnglishへ戻されました。
地域言語は補助的な授業言語として使えます。また、条件を満たす単一言語のクラスでは、母語教育を任意で実施できます。
| 教育での位置付け | 2024年成立法の内容 |
|---|---|
| Filipino | 授業言語 |
| English | 授業言語 |
| 地域言語 | 補助的な授業言語 |
| 母語による授業 | 条件を満たす単一言語クラスで任意実施可能 |
そのため、Cebuの子どもが家庭でCebuano、学校でFilipinoとEnglishに接する環境は、現在も続いています。
3言語を混ぜるのは英語力不足?

必ずしもそうではありません。言葉が分からず別の言語へ切り替える場合もあります。しかし、複数の言語を話せる人が、相手や目的に合わせて意識的または自然に切り替える場合もあります。
| 切り替えの理由 | 例 |
|---|---|
| 語彙が分からない | 知っている言語で補う |
| 専門用語を使う | Englishへ切り替える |
| 親しさを示す | Cebuanoへ戻る |
| 全員に伝える | FilipinoやEnglishへ変える |
| 冗談を自然に伝える | Cebuanoを使う |
| 仕事の雰囲気へ変える | Englishを増やす |
Code-switchingだけを見て、その人の言語能力が低いと判断することはできません。
旅行者にはどう聞こえる?
日本人がCebuで会話を聞くと、知っている英単語はあるのに、文章全体を理解できないことがあります。これは、英語の聞き取り能力だけの問題ではありません。Cebuanoの文章に、Englishの単語が入っている可能性があります。
例えば、英語で聞こえた部分が、
- Meeting
- Tomorrow
- Traffic
- Airport
- Deadline
だけなら、周囲の会話全体が英語とは限りません。一部の英単語を聞き取れても、会話の結論を決めつけないことが大切です。
関連記事:セブで本当によく聞くセブアノ語20選
分からないときの聞き方
自分に関係する重要な会話であれば、英語で確認します。
| 英語 | 用途 |
|---|---|
| Could you explain that in English? | 英語で説明してもらう |
| What does that mean? | 意味を確認する |
| Are you talking about today or tomorrow? | 日付を確認する |
| Is that the final decision? | 結論を確認する |
| Could you write it down? | 文字で確認する |
| Let me confirm. | 自分の理解を確認する |
言語を混ぜること自体は問題ではありません。しかし、料金、時間、予約、契約などは、理解できる言語で具体的に確認します。
NAVI CEBU LANGUAGE CHECK|3言語にはそれぞれ役割がある

Cebuの言語環境は、次のように整理できます。
| 言語 | Cebuで見えやすい役割 |
|---|---|
| Cebuano | 地域の所属と親しさ |
| English | 教育、仕事、専門性、国際性 |
| Filipino | 国内の共通理解と全国メディア |
CebuanoだけがLocalで、EnglishとFilipinoが外から来た言葉という単純な関係ではありません。3言語は、学校、仕事、家庭、メディアを通じて、同じ人の中に共存しています。
ナビセブ編集部が感じるCebuの言語
Cebuに長く住んでいると、会話の途中で言語が変わる瞬間に、相手との関係が見えることがあります。
- 仕事の説明ではEnglish
- 冗談になるとCebuano
- 別の地域出身者が加わるとFilipino
- 外国人に説明するときは再びEnglish
言語が変わるたびに、話し手は別人になっているわけではありません。同じ人が、その場に最も合う言葉を選んでいます。Cebuの会話は3言語が混乱しているのではなく、3言語を使って整理されているのです。
ナビセブ編集部の結論
CebuでCebuano、English、Filipinoが混ざるのは、話者が言葉を知らないからだけではありません。家庭、地域、学校、仕事、全国メディアという異なる言語環境が、一つの日常に存在しているからです。
Cebuanoは親しさと地域をつなぎます。Englishは教育、仕事、専門的な情報をつなぎます。Filipinoは異なる地域の人々をつなぎます。旅行者がすべてを話せる必要はありません。しかし、会話の一部だけ英語に聞こえても、全体が英語とは限らないことを知っておくと、Cebuの会話を理解しやすくなります。
3言語が混ざる会話は、Cebuの複雑さではありません。多言語社会を動かすための、日常的な技術です。
FAQ
Cebuでは全員が3言語を話せますか?
いいえ。使える言語と習熟度には個人差があります。家庭、地域、教育、仕事によって大きく異なります。
CebuanoとBisayaは同じですか?
CebuではCebuanoをBisayaと呼ぶことがよくあります。しかし、BisayaはほかのVisayan languagesや地域的なアイデンティティを含む広い言葉としても使われます。
FilipinoとTagalogは同じですか?
Filipinoは憲法で定められた国語です。その基礎はTagalogですが、制度上の名称と使われる文脈は完全には同じではありません。
Cebuで英語だけでも生活できますか?
ホテル、モール、学校、企業、観光施設などでは英語が広く通じます。しかし、地域の日常会話はCebuanoが中心になる場合があります。
言語が混ざったら、英語で話すよう頼んでもよいですか?
はい。自分に関係する内容なら、「Could you explain that in English?」と丁寧に頼めます。
次の記事
次の記事では、Cebuに長く住んで分かった「Yes」の難しさを紹介します。Cebuで聞くYesは、必ずしも「確定」「約束」「必ず実行する」という意味ではありません。了承、理解、希望、遠慮、会話を続けるための返事など、ナビセブ編集部が長く暮らして分かったYesの違いを整理します。
関連記事:セブで暮らして分かった「家族第一」の文化
主な確認資料
- Philippine Statistics Authority|Languages Generally Spoken at Home, 2020 Census
- Lawphil|1987 Constitution of the Philippines, Article XIV Section 7
- Lawphil|Republic Act No.12027
- Lawphil|Republic Act No.10533
- De La Salle University|Communicative Aspects of Multilingual Code-switching
- De La Salle University|Language Ownership and Identity in a Multilingual Nation
※PSAの2020年国勢調査は、家庭で一般的に話される言語を世帯単位で集計したもので、各言語を話せる総人数や多言語能力を示す統計ではありません。
※各言語の使い分けは、家庭、世代、学校、職場、地域、話す相手によって異なります。
情報確認日:2026年8月29日