こんにちは、ナビセブ編集部の田口じゅんです。セブに住んで10年以上になります。暮らしとエリアの記事を担当しています。
セブで暮らしていると、「Cebuano」「Bisaya」「Filipino」「Tagalog」という言葉をよく聞きます。旅行者にとって分かりにくいのは、同じ言葉を指しているようで、使われる範囲が少しずつ違うことです。
セブでは、地元の言葉を「Bisaya」と呼ぶ人が多くいます。しかし、言語資料では「Cebuano」や「Sinugbuanong Binisaya」と表記されます。この記事では、複雑な言語学の説明ではなく、セブで会話するときに必要な違いを整理します。
ナビセブ編集部のまとめ
| 呼び方 | 基本的な意味 |
|---|---|
| Cebuano | セブを中心に広く使われる地域言語 |
| Bisaya・Binisaya | セブではCebuanoを指すことが多い日常的な呼び方 |
| Sinugbuanong Binisaya | Cebuanoを示す、より具体的な現地表現 |
| Visayan | ビサヤ地方の人・文化・複数の言語を含む広い英語表現 |
| Filipino | フィリピンの国語 |
| Tagalog | マニラ周辺などを中心とする地域言語 |
| English | Filipinoと並ぶフィリピンの公用語 |
セブの日常会話で「I speak Bisaya」と言われた場合、多くはCebuanoを話すという意味です。しかし、フィリピン全体では、Bisayaが常にCebuanoだけを指すとは限りません。
Cebuanoとは何?

Cebuanoは、セブを中心に、ボホール、ネグロスの一部、レイテの一部、ミンダナオの広い地域などで使われている言語です。セブだけで話されている言葉ではありません。言語名の「Cebuano」は、Cebu(セブ)に由来します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 言語名 | Cebuano |
| 主な地域 | セブ、ボホール、ミンダナオの広い地域など |
| 現地表記の例 | Sinugbuanong Binisaya |
| セブでの通称 | Bisaya・Binisaya |
| 位置づけ | フィリピンの主要な地域言語 |
教育省(Department of Education)の教材では、「Cebuano」と「Sinugbuanong Binisaya」の両方の表記が確認できます。つまり、一方だけが正しく、もう一方が間違いということではありません。
使用する場面や、話す人の認識によって呼び方が変わります。
Bisayaは言語名?人の呼び方?
Bisayaは、文脈によって意味が変わります。
セブで言葉を指す場合
「Kabalo ka mag-Bisaya?」と聞かれた場合は、「Bisayaを話せますか?」という意味です。セブでこのBisayaは、通常Cebuanoを指します。
人を指す場合
Bisayaは、ビサヤ地方の出身者や、Bisaya系の言語を話す人を表すことがあります。
広い地域を指す場合
Cebuanoだけでなく、Hiligaynon、Warayなども、ビサヤ諸語のグループ(Visayan Language Group)に含まれます。そのため、フィリピン全体で「Bisaya=Cebuano」と固定すると、ほかの地域の言語やアイデンティティを無視することになります。
CebuanoとBisayaは同じなの?

セブの日常生活では、ほぼ同じ言葉を指すことが多くあります。しかし、使い方には次の違いがあります。
| Cebuano | Bisaya |
|---|---|
| 言語を特定しやすい名称 | 日常的で広い呼び方 |
| 辞書や研究で使いやすい | 会話の中でよく使われる |
| セブ由来を明確にする | 地域やアイデンティティも表す |
| 英語の記事で分かりやすい | 地元の人が自然に使う |
外国人向けの記事では「Cebuano」と書く方が、どの言語かを正確に伝えられます。しかし、セブの人との会話では「Bisaya」の方が自然に聞こえることがあります。
Visayanとは何が違う?
Visayanは、英語で使われる広い表現です。次の複数の意味があります。
- ビサヤ地方の人
- ビサヤ地方の文化
- ビサヤ地方で使われる複数の言語
- ビサヤ諸語のグループ(Visayan Language Group)
Cebuano、Hiligaynon、Warayは、互いに関係のあるビサヤ諸語(Visayan Languages)ですが、同じ言語ではありません。Cebuanoを話す人が、Warayを自動的にすべて理解できるわけではありません。
「日本語、韓国語、中国語はすべてアジアの言語だから同じ」と言えないのと似ています。地域的に近く、共通する部分があっても、それぞれ別の言語として考える必要があります。
Filipinoとは何?

Filipinoは、フィリピンの国語です。1987年フィリピン憲法第14条第6節では、国語をFilipinoと定めています。また、第7節では、Filipinoと英語を、意思疎通と教育のための公用語としています。
| 区分 | 言語 |
|---|---|
| 国語 | Filipino |
| 公用語 | Filipino・英語 |
| 地域の補助公用語 | Cebuanoなどの地域言語 |
Filipinoは、全国の行政、教育、テレビ、映画、国民同士のコミュニケーションなどで使われます。Cebuanoが家庭や地域の言葉であるのに対し、Filipinoは異なる地域の人同士をつなぐ全国語としての役割を持っています。
FilipinoとTagalogは同じなの?
日常会話では、FilipinoとTagalogが同じ意味で使われることがあります。しかし、公式には区別されています。
Tagalog
マニラ、ブラカン、バタンガスなどを中心に使われてきた地域言語です。
Filipino
Tagalogを主な基礎としながら、ほかのフィリピン諸語や外国語の影響も受けて発展する国語です。実際の会話では両者が非常に近いため、セブの人が「Tagalogを話す」と言う場合、全国共通語としてのFilipinoを指していることがあります。
旅行者が厳密に訂正する必要はありません。
セブではFilipinoを話さないの?
セブの人の日常会話では、Cebuanoが中心です。しかし、多くの人がFilipinoも理解し、使用します。
| 相手・場所 | 選ばれやすい言語 |
|---|---|
| セブの人同士 | Cebuano |
| 家庭・バランガイ | Cebuano |
| マニラ出身者 | Filipino・英語 |
| 全国放送 | Filipino・英語 |
| 学校 | Filipino・英語・地域言語 |
| 外国人 | 英語 |
| BPO・国際的な職場 | 英語 |
セブの人にFilipinoで話しかけても、通常は通じます。しかし、セブでは「地元の言葉」としてCebuanoへの誇りが強くあります。最初から「フィリピン人は全員Tagalogを母語として話す」と考えないことが大切です。
PSAの統計でBisayaとCebuanoが分かれている理由

Philippine Statistics Authorityの2020年国勢調査では、家庭で主に使われる言語として、Bisaya・BinisayaとCebuanoが別々に集計されています。
| 2020年・家庭で主に使う言語 | 世帯数 | 全国比 |
|---|---|---|
| Tagalog | 10,522,507世帯 | 39.9% |
| Bisaya・Binisaya | 4,214,122世帯 | 16.0% |
| Cebuano | 1,716,080世帯 | 6.5% |
この数字だけを見て、BisayaとCebuanoが完全に別の言語だと判断することはできません。国勢調査では、回答者が自分の家庭言語を何と認識し、どの名称で回答したかが反映されるからです。また、Bisayaという回答には、地域によってCebuano以外の認識が含まれる可能性があります。
そのため、4,214,122世帯と1,716,080世帯を単純に合計し、「Cebuanoを話す世帯数」とすることもできません。
方言ではなく言語なの?
フィリピンでは、CebuanoやWarayなどを日常的に「Dialect(方言)」と呼ぶことがあります。しかし、言語学的には、Cebuanoは独自の語彙と文法を持つ一つの言語(Language)として扱われます。
「フィリピン語という一つの言語があり、Cebuanoはその方言」という構造ではありません。
| よくある誤解 | 実際の考え方 |
|---|---|
| フィリピン人は全員Tagalogが母語 | 地域ごとに異なる母語がある |
| CebuanoはFilipinoの方言 | CebuanoとFilipinoは別の言語 |
| Bisayaはセブだけの言葉 | セブ以外でも広く使われる |
| Visayanは一つの言語 | 複数の言語を含む広い分類 |
Cebuanoを「Dialect」と呼ぶ人がいても、相手が言語学的な分類を意識しているとは限りません。フィリピンの日常では、地域言語をまとめて「Dialect」と表現する習慣が残っています。
学校では何語を使う?

2024年に成立したRepublic Act No.12027により、学校の基本的な教授言語はFilipinoと英語へ戻されました。地域言語は補助的な教授言語として使用できます。また、条件を満たす単一言語のクラス(Monolingual Class)では、母語を基礎とした多言語教育(Mother Tongue-Based Multilingual Education)を任意で実施できます。
以前の制度を説明する古い記事では、「幼稚園から3年生(Grade 3)まで母語を必ず使う」と書かれていることがあります。しかし、現在は制度が変更されています。家庭ではCebuano、学校ではFilipinoや英語というように、セブの子どもは複数の言語を使い分けながら育ちます。
旅行者は何語を使えばよい?
セブを旅行する場合、基本的には英語で問題ありません。ホテル、レストラン、モール、空港、観光施設では英語が広く通じます。しかし、Cebuanoの短い言葉を使うと、相手との距離が近くなることがあります。
- Salamat:ありがとう
- Maayong buntag:おはよう
- Lami:おいしい
- Amping:気をつけて
- Palihug:お願いします
完璧に話す必要はありません。Cebuanoを全国共通語ではなく、セブの人が大切にしている地域言語として認識することの方が重要です。
言葉の整理|Cebuano
特定の言語を示すときに最も分かりやすい名称です。
Bisaya・Binisaya
セブではCebuanoを指すことが多い日常的な表現です。しかし、地域や文脈によって示す範囲が変わります。
Sinugbuanong Binisaya
Cebuanoをより具体的に示す現地表現で、DepEdの教材名にも使われています。
Filipino
フィリピンの国語です。Cebuanoとは別の言語です。
English(英語)
Filipinoと並ぶ公用語です。セブでは観光、教育、企業、行政などで広く使われています。
PSAの世帯数
「その言語を話せる人数」ではなく、「家庭で主に使われると回答した言語」の世帯数です。
ナビセブ編集部の結論
セブでは、同じ言葉をCebuanoと呼ぶ人もいれば、Bisayaと呼ぶ人もいます。公式資料や外国人向けの記事ではCebuanoが分かりやすく、地元の日常会話ではBisayaが自然に使われます。
Filipinoは国語、英語とFilipinoは公用語、Cebuanoはセブの日常とアイデンティティを支える地域言語です。この違いを理解すると、セブの人が英語、Filipino、Cebuanoを相手や場所によって切り替える理由も見えてきます。
言葉の名前を知ることは、単語を覚えることではありません。セブの人が自分たちの地域と文化をどう見ているかを理解する入口です。
よくある質問
CebuanoとBisayaは同じ言語ですか?
セブでは、同じ言語を指して使われることが多くあります。しかし、Bisayaは地域や人々を含む、より広い意味でも使われます。
CebuanoはFilipinoの方言ですか?
いいえ。CebuanoとFilipinoは、それぞれ異なる語彙と文法を持つ別の言語です。
TagalogとFilipinoは同じですか?
非常に近く、日常では同じ意味で使われることがあります。しかし、Tagalogは地域言語、Filipinoは国語という公式上の違いがあります。
セブでは英語だけで旅行できますか?
主要なホテル、レストラン、モール、交通機関、観光施設では英語が広く通じます。
「Bisaya」と言うと失礼ですか?
通常は失礼ではありません。セブの人自身も日常的に使います。ただし、すべてのビサヤ諸語をCebuanoと同じものとして扱わない配慮が必要です。
主な確認先
- 1987年フィリピン憲法・Article XIV
- PSA「2020年・家庭で使われる言語」
- DepEd Learning Portal「Sinugbuanong Binisaya」
- Republic Act No.12027
- DepEd Learning Portal「Cebuano教材」
情報確認日:2026年8月29日





