この記事に、広告・紹介料・アフィリエイトは入っていません
ナビセブはセブ島の情報メディアで、留学エージェントではありません。この記事に出てくる会社から、掲載料・紹介料・アフィリエイト報酬を一切受け取っていません。
この記事は、留学エージェントとの解約・返金でもめたときに「何を、どの順番でやるか」を、公的機関の資料・法律の条文・実際に争われた例をもとにまとめたものです。ナビセブは相談窓口ではなく、法律の判断はできません。当てはまるかどうかは事情で変わるので、最終的な判断は消費生活センターや弁護士に確かめてください。
会社名が出てくるところは、規約の条文や公的機関の記録、投稿を出典つきで引いたものです。名前が出てくる会社が悪質だ、という意味ではありません。
先に結論:やることは6段階。順番を飛ばさないのがいちばん近道です
「返金してもらえない」「解約料が高すぎる」「連絡が返ってこない」。どの場合でも、やることの順番は同じです。上から順にやると、次の段階に進んだときに前の段階で作ったものがそのまま材料になります。
| 段階 | やること | お金 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 1記録を残す | 契約書・規約・見積・領収書・メール・LINE・電話のメモを、日付つきで1か所に集める | 0円 | 今日 |
| 2書面で伝える | 解約(または取消し)の意思と、返金額の算定根拠の説明を求める文書を、日付が残る形で送る | 0円(内容証明なら郵便代) | 2〜3日 |
| 3金額を確かめる | 規約の「時期」「何の何%」「申込金」「為替」を、会社の計算と突き合わせる | 0円 | 返事が来たら |
| 4188に電話する | 消費生活センターに相談。助言のほか、センターが会社との間に入る「あっせん」がある | 0円(通話料のみ) | 2で返事がない・納得できないとき |
| 5払い方に応じた手を打つ | カードの分割・リボ払いなら「支払停止の抗弁」。会社と連絡がつかないなら学校へ直接連絡、旅行業登録の会社なら旅行業協会へ | 0円 | 4と同時 |
| 6第三者に決めてもらう | 留学協会のADR(申立1万円)、少額訴訟(60万円以下)、弁護士(法テラスの無料相談) | 1万円〜 | 4・5で決着しないとき |
この記事を読む前に1つだけ。留学あっせんの契約に、法律上のクーリングオフはありません。だから「8日以内なら無料」のような会社のルール(規約)と、消費者契約法などの法律の、2つを使って交渉することになります。規約の読み方は26社のキャンセル料の一覧に書きました。この記事は、そこから先の話です。
前提:エージェントとの契約を守る法律は少なく、だから「記録」がすべてになります
日本学生支援機構(JASSO)は、留学あっせん業者についてこう書いています。
「これらのサービス全体を包括的に規制する法律などはなく、業者には国や自治体の許可や登録は必要ありません」「業者が規定を自主的に設けて契約書に明記している場合を除いて、基本的にはクーリングオフが適用されません」
出典:JASSO「留学あっせん業者(留学エージェント)の利用について」(2025年7月31日更新)
旅行業のように監督官庁があって、約款の認可や苦情処理の仕組みが用意されている業種ではありません。だから、もめたときに使えるのは次の3つです。
- 会社の規約。「何日目まで無料」「出発の何日前から何%」は規約で決まっています。会社が規約と違う請求をしていれば、規約そのものが反論の材料になります
- 消費者契約法。規約に書いてあっても、高すぎる解約料や、事業者の責任を全部免除する条項は無効になります。ウソの説明で契約させられた場合は、契約そのものを取り消せます(下の章)
- 民法。約束したサービス(学校の紹介、入学手続き、ビザの書類)が提供されないなら、期限を切って催告したうえで解除できます(541条)
ただし、旅行業登録のある会社(26社中11社)には旅行業約款と旅行業協会の仕組みがあります。これは別の章で書きます。
そして、どの法律を使うにしても、「誰が、いつ、何を言ったか」「いくら払って、いくら戻ると言われたか」を証明できるかどうかで結果が変わります。だから最初にやることは記録です。
段階1:記録を残す。何を、どう残すか
消費生活センターに相談するときも、ADRや裁判に進むときも、必要なものは同じです。今日のうちに1か所に集めてください。
| 残すもの | どう残すか | なぜ要るか |
|---|---|---|
| 契約書・申込書・規約(約款・条件書) | 紙は写真、Webは取得日が分かる形でPDF保存かスクリーンショット。会社のサイトの規約は改定されるので、契約した時点の版を残す | 解約料は「契約した時点の規約」で決まる。改定後の数字で請求されたときの反論になる |
| 見積書・請求書・領収書・振込明細・カード明細 | PDFか写真。振込はネットバンキングの画面も | 「いくら払ったか」「何に払ったか」(学費か、手数料か、申込金か)を分ける材料 |
| メール・LINE・チャット | スクリーンショット。相手の名前と日付が入る形で。LINEはトーク履歴の書き出しも | 「〇日までなら全額返ると言われた」の証拠。口頭の約束はここでしか残らない |
| 電話・面談のメモ | 日時・相手の名前・話した内容を、その日のうちに書く。録音があるならファイル名に日付を | 記憶は数週間で薄れる。当日のメモは証拠として扱われやすい |
| 学校とのやりとり | 入学許可書、学校からの請求書、学校に払い込まれた金額の確認メール | 「学費が学校に届いているか」で、返金を誰に求めるかが変わる |
| 為替レート | 払った日と、返金される日のレート(会社が使うレートの種類:TTS・TTB・仲値) | 外貨建ての返金は、レートの取り方で数万円変わる |
JASSOも「万一のトラブルに備え、業者とのやりとりの記録(契約書、領収書、メール/FAXの写し、電話や面談の場合は話した日時・相手の名前・話の内容を相手に確認しながらまとめたメモなど)を残しておきましょう」と書いています。1つだけ足すなら、会社の規約ページを今日の日付で保存することです。規約は各社が予告なく改定します。ワールドアベニューのように、和解で解約料の段階そのものが変わった会社もあります(実例の章)。
段階2:解約(取消し)の意思を、日付が残る形で伝える。文例つき
電話で「やめます」と伝えるだけでは、あとで「解約の申し出は〇日だった」と争いになったとき証明できません。解約料は日付で決まるので、申し出た日を証明できる形で送ります。
- まずはメール。会社の公式アドレスに送り、送信済みメールを残す。LINEしかない会社でもメールを探して両方に送る
- 返事がない、金額でもめそうなら内容証明郵便。「いつ、誰が、誰に、どんな内容を送ったか」を郵便局が証明します。窓口でもインターネット(e内容証明)でも出せます
- 「取消し」と「解約」は別の言葉です。解約は規約に従ってやめること(解約料がかかる)。取消しは、ウソの説明などを理由に契約をなかったことにすること(消費者契約法4条。全額の返還を求める)。事情に応じて使い分け、どちらか迷うなら両方書いておきます
文例。そのまま使えるように書きました。[ ]の中を自分の内容に変えてください。
[会社名]御中
[担当者名]様
件名:契約の解約と返金のお願い([契約番号またはプログラム名])
私は[契約日]に貴社と[プログラム名・学校名・期間]の契約を結び、[支払日]に[金額]円を支払いました(申込金[ ]円、学費[ ]円、[ ]円)。
本書をもって、上記の契約を解約します。解約の申し出日は本書の送付日である[日付]です。
つきましては、次の3点を、[本書到達から14日以内]に書面(メール可)でお知らせください。
1. 返金される金額と、その内訳(学費・滞在費・申込金・手数料の別)
2. 差し引かれる金額の根拠となる規約の条文と、その算定根拠の概要(消費者契約法9条2項にもとづき説明を求めます)
3. 返金の予定日と、外貨建ての場合に適用される為替レートの種類と日付
返金先:[銀行名・支店名・口座種別・口座番号・名義]
[日付]
[住所]
[氏名](自署)
ポイントは2つです。1つは「解約の申し出日」を自分で書くこと。会社が受理した日を起点にすると、「社内処理に時間がかかった」ぶん解約料が上がることがあります。もう1つは算定根拠の説明を求めること。消費者契約法9条2項で、事業者は、利用者から求められたら解約料の算定根拠の概要を説明するよう努めなければならないと定められています(2023年6月1日施行)。「規約にそう書いてあるから」だけでは説明になりません。
取消しを主張する場合は、上の「本書をもって、上記の契約を解約します」の段落を、たとえばこう変えます。「契約の際、貴社の担当者から[『到着から2か月で仕事が見つからなければ全額返金する』]との説明を受けましたが、事実と異なっていました。消費者契約法4条1項1号にもとづき、上記の契約を取り消します。支払済みの全額[ ]円の返還を求めます」。
段階3:会社の計算を、規約と突き合わせる
返事が来たら、金額を規約と突き合わせます。見るところは4つで、どれも26社の一覧にまとめてあります。
- 時期。「申込日から8日以内」の起点は申込日か、契約成立日か、入金日か。出発の何日前で段階が変わるか。会社は「受理日」で数えたがりますが、あなたが送った日付が残っていれば、そちらで主張できます
- 何の何%か。「総額の30%」の「総額」に学費や滞在費が含まれるか、サポート料だけか。成功する留学のように、エージェントに払う分と学校に払う分の取消料が別建ての会社もあります
- 申込金・デポジット。返らないと規約に書いてあるか。額が規約に書かれていない会社(スマ留・ウィッシュなど)は、見積書の数字が根拠になります
- 為替。外貨で払っていた場合、返金のレートがTTB(銀行が買う値)かTTS(銀行が売る値)か。払うときはTTS、返すときはTTBだと、往復で数%の差が出ます。規約に書いてある会社はそれに従うしかありませんが、書いていない会社には「払ったときと同じレートで」と求める余地があります
学校からの返金がある場合は、学校が返す額と、エージェントが差し引く額を分けてもらってください。渡航後の返金から20〜35%を控除する規約は珍しくありません(DEOW・フィリピン留学センター35%、成功する留学・セブ島留学マスター30%、スクールウィズ20%)。学校の返金規定は学校に直接確かめることもできます。
ここまでで納得できる金額が戻ってくれば終わりです。返事がない、規約と違う、規約どおりでも高すぎる。そのどれかなら、次の段階です。
法律で主張できること:消費者契約法・民法・特定商取引法
相談するときの材料として、留学エージェントとの争いで使われる条文をまとめます。条文の番号を出せると、会社の対応が変わることがあります。
| こんなとき | 条文 | できること |
|---|---|---|
| 解約料・違約金が高すぎる | 消費者契約法9条1号 | 同じ種類の契約の解約で事業者に生じる「平均的な損害の額」を超える部分は無効。超えた分は返還を求められる |
| 解約料の根拠を教えてくれない | 消費者契約法9条2項 | 利用者から求められたら、事業者は算定根拠の概要を説明するよう努めなければならない(2023年6月1日施行) |
| 事実と違う説明で契約した | 消費者契約法4条1項1号 | 契約を取り消せる。取り消すと契約は初めからなかったことになり、払ったお金の返還を求められる |
| 「必ず稼げる」「必ず入れる」と言い切られた | 消費者契約法4条1項2号 | 将来どうなるか分からないことについて断定的な判断を示された場合、取り消せる |
| 良いことだけ言われ、不利なことを言われなかった | 消費者契約法4条2項 | 故意または重大な過失で不利益な事実を告げなかった場合、取り消せる |
| 進学や就職の不安をあおられて契約した | 消費者契約法4条3項5号 | 社会生活上の経験が乏しいことにつけこまれた場合、取り消せる |
| 相談の連絡をさせてもらえなかった | 消費者契約法4条3項4号 | 威迫する言動で「親に相談したい」などの連絡を妨げられて契約した場合、取り消せる(2023年6月1日施行) |
| 「当社は一切責任を負いません」と規約にある | 消費者契約法8条1項1号・3項 | 事業者の責任を全部免除する条項は無効。「法律上許される限り」のようにどこまで免除するのか分からない条項も無効(3項は2023年6月1日施行) |
| 利用者だけが一方的に不利な条項がある | 消費者契約法10条 | 信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項は無効 |
| 約束したサービスが提供されない | 民法541条 | 相当の期間を定めて催告し、それでも履行されなければ契約を解除できる |
| 自宅や喫茶店で契約した/会社からの電話で勧誘され契約した | 特定商取引法9条・24条 | 訪問販売・電話勧誘販売に当たれば、書面を受け取ってから8日以内はクーリングオフできる可能性がある。当てはまるかは消費生活センターで確認 |
出典:消費者庁「消費者契約法」、e-Gov法令検索 消費者契約法。取消権は、追認できるときから1年、契約から5年で消えます(7条1項)。「当てはまるか」は個別の事情で決まります。
覚えておいてほしいのは、「規約に書いてある=有効」ではないことです。東京簡易裁判所は2003年、留学あっせん費用50万円を返さないという特約について、9条1号で「平均的な損害の額」を超える部分を無効とし、損害の額を10万円と認めました。逆に言えば、規約どおりの解約料でも「平均的な損害」を超えていれば、超えた分は返してもらえる可能性があります。
ただし、「平均的な損害の額」がいくらかを証明するのは簡単ではありません。だから9条2項の「算定根拠の説明」を先に求めるのです。説明できない解約料は、それ自体が交渉の材料になります。
段階4:188に電話する。消費生活センターで、できること・できないこと
消費者ホットライン「188」(いやや)に電話すると、住んでいる地域の消費生活センターや相談窓口につながります。相談は無料です(通話料はかかります)。JASSOも、業者との交渉は「居住地の消費生活センターなどにアドバイスを求めながら」進めるよう書いています。
できること。
- 助言。あなたの契約と規約を見て、どの条文が使えそうか、次に何をすべきかを教えてくれます。段階1で集めた記録を手元に置いて電話してください
- あっせん。相談員が会社に連絡を取り、話し合いによる解決を仲介します。会社側も、消費生活センターからの連絡には対応することが多いです
- 記録。相談の内容は全国の消費生活センターと国民生活センターをつなぐシステム(PIO-NET)に登録され、同じ会社についての相談が積み上がる材料になります
できないこと。消費生活センターに強制力はありません。会社があっせんに応じない、応じても折り合わない場合は、次の段階(ADR・少額訴訟・弁護士)に進みます。
電話するときに手元に置くもの。契約日・契約した場所(店頭・自宅・オンライン)・払った金額と日付・払い方(振込かカードか、カードなら何回払いか)・解約を申し出た日と方法・会社の返事。この6つを聞かれます。
実際にあっせんで決着した例があります。大阪府消費生活苦情審査会が扱った事案(2007〜2008年)では、3か月の留学とホームステイで合計417,540円を払った人が、ホームステイ先の環境に問題があるとして1か月で帰国することになりました。事業者が最初に示した返金は54,383円。審査会は、約款の免責条項が事業者の責任まで全部免除する趣旨なら消費者契約法8条1項1号で無効になると判断し、最終的に158,000円を返すことで合意しています。
出典:大阪府消費生活苦情審査会「留学プログラムの契約金返還に関するあっせん事案」
段階5-A:クレジットカードで払った場合。支払停止の抗弁と、チャージバック
払い方によって、カード会社を通じて止められるお金があります。
支払停止の抗弁(割賦販売法30条の4)。エージェントとの間に問題があるあいだ、カード会社への支払いを拒めます。条件は次のとおりです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 支払方法 | 分割払い・リボ払い・ボーナス一括払いは対象。翌月1回払いは対象外 |
| 金額 | 分割払いは、利用代金と手数料の合計が4万円以上。リボ払いは現金販売価格が3万8千円以上 |
| 場所 | 日本国外での利用は対象外。海外の学校にカードで直接払った分には使えない |
| その他 | 営業のための利用、支払停止が信義に反する場合は対象外 |
| 申し出の方法 | カード会社に「支払停止等の申出書」を書面で送る。エージェントから受け取った書面の写しを添付する |
出典:日本クレジット協会「支払停止等の抗弁に関する手続きについて」/三菱UFJニコス「支払停止の抗弁について」/近畿経済産業局「消費者相談事例」。割賦販売法30条の4・30条の5、同施行令21条。
支払停止は「返金」ではなく「まだ払っていない分を止める」仕組みです。一括で払い終えていれば使えません。それでも、分割の残りが数十万円あるなら、止められるだけで交渉の力関係が変わります。
チャージバック。カード会社が加盟店との取引を取り消す仕組みで、「サービスが提供されなかった」場合に申し立てる道があります。これは法律ではなくカード会社のルールなので、必ず使えるものではなく、期限(取引から数か月)もカード会社ごとに違います。エージェントが倒産して連絡がつかない、払ったのにサービスが何も始まっていない、という場合はカード会社に電話して「チャージバックの申し立てができるか」を聞いてください。
銀行振込で払った場合。振込を取り消す仕組みはありません。「振り込め詐欺救済法」は詐欺などの犯罪に使われた口座が対象で、契約のもめごとには使えません。振込で払っていたら、使えるのは規約と法律と、この記事の段階4〜6だけです。
段階5-B:会社と連絡がつかない・倒産したと聞いたら
最初にやるのは、学校に直接連絡することです。あなたの学費が学校に届いているかどうかで、話が変わります。JASSOは「契約した業者が経営破綻を起こした場合、あるいはその前兆(数店舗の支社の一斉閉鎖など)があった場合、まず消費生活センターなどに相談しましょう」と書き、「預けたお金が戻ってくることは多くありません」「焦って新たな業者と契約をしないようにしましょう」とも書いています。
- 学校に届いていた。学校との契約は生きています。学校に直接、入学の手続きと今後の支払いを確かめます。エージェントに払ったサポート料の返金は、破産手続きの中で債権を届け出ることになります
- 学校に届いていなかった。あなたのお金はエージェントの口座で止まっています。破産管財人からの通知を待って債権を届け出ますが、前払金は一般債権なので、戻る割合は高くありません。カード払いなら、上のチャージバック・支払停止の抗弁を先に
- 旅行業登録のある会社だった。下の弁済業務保証金の仕組みを確かめます
旅行業登録と、弁済業務保証金。26社のうち11社は旅行業の登録があります(成功する留学、留学ジャーナル、ISS留学ライフ、ウィッシュインターナショナル、留学ワールドDEOW/フィリピン留学センター、ラストリゾート、スマ留、ワールドアベニュー、ウインテック留学センター、セブ島留学マスター。2026年9月22日時点の各社の会社情報より)。旅行業者は営業保証金を供託するか、旅行業協会(JATAまたはANTA)に加入して弁済業務保証金分担金を納めています。会社が営業を止めた場合、利用者は協会に「認証」を申し出て、弁済業務保証金から弁済を受けられる仕組みです。
ただし条件があります。JATAは、対象は「旅行業務に関する取引によって生じた債権」で、「旅行券や旅行積立など旅行業務と認められない取引については弁済の対象となりません」と書いています。学校の手配や留学サポート料が「旅行業務」に当たるかは、個別に判断されます。航空券や宿泊の手配分は対象になりやすく、サポート料は判断が分かれる、と考えておいてください。申し出から振込までは「6ヶ月程度」かかると書かれています。
学校のほうが倒産した場合(エージェントは営業している)は、別の記事に書いています。エージェントの規約は学校の倒産について何を約束しているか、行き先の国ごとに学費を守る制度があるかどうか、最初の1週間でやること。
段階6:話し合いで決着しないとき。ADR・少額訴訟・弁護士
消費生活センターのあっせんでも決着しないときの選択肢を、費用の軽い順に並べます。
| 仕組み | 向いている場合 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 留学協会のADR(留学トラブル解決機関) | 留学エージェントとの民事上の争い全般。会社が話し合いには応じる姿勢のとき | 申立手数料10,000円(税別)+期日手数料5,000円/回(税別)+成立したときの成立手数料(紛争価格50万円以下は5万円) | 法務大臣の認証を受けた裁判外紛争解決機関(認証番号第32号、2009年6月19日認証)。弁護士などが調停人。相手が応じなければ手続は始まらない |
| 弁護士会の紛争解決センター | 同上。都道府県の弁護士会にある | 弁護士会ごとに違う(申立手数料は1万円前後の会が多い) | 弁護士が仲裁人・あっせん人。留学に限らない |
| 少額訴訟 | 請求が60万円以下で、証拠がそろっているとき | 訴額10万円ごとに1,000円の手数料(60万円なら6,000円)+郵便切手代 | 簡易裁判所で原則1回の審理で判決。弁護士なしでも起こせる。1人につき同じ裁判所で年10回まで。相手が通常訴訟を望めば移行する |
| 支払督促 | 金額に争いがなく、相手が払わないだけのとき | 訴訟の半額の手数料 | 簡易裁判所が書類審査だけで支払いを命じる。相手が異議を出せば通常訴訟に |
| 弁護士(法テラス) | 金額が大きい、取消し(4条)を主張する、会社が争ってくるとき | 収入と資産が基準以下なら、法テラスで1つの問題につき3回まで無料相談。弁護士費用の立替制度もある | 証拠の整理と、条文の当てはめを任せられる。着手金と報酬は事務所ごと |
出典:法務省かいけつサポート「特定非営利活動法人留学協会」/裁判所「少額訴訟」/法テラス。費用は2026年9月27日時点。
選び方の目安です。返してほしい金額が60万円以下で、規約と支払いの記録がそろっているなら少額訴訟。裁判所の判決には強制力があります。金額が大きい、または「ウソの説明で契約した」ことを立証する必要があるなら弁護士。取消し(4条)は、言った・言わないの証明が要るので、記録の質で決まります。会社が「話し合いには応じる」と言っているならADR。裁判より早く、非公開です。
実際に返ってきた例、変わった例
「争っても無駄」ではないことを示すために、結果まで分かっている例を並べます。
| いつ | 何があったか | 結果 |
|---|---|---|
| 2003年10月30日 | 東京簡易裁判所。留学あっせん費用50万円を「返さない」とする特約の事案 | 特約のうち「平均的な損害の額」(10万円)を超える部分は消費者契約法9条1号で無効 |
| 2007〜2008年 | 大阪府消費生活苦情審査会のあっせん。3か月の留学とホームステイ417,540円。環境に問題があり1か月で帰国 | 事業者の当初の返金額54,383円 → 158,000円で合意。免責条項は8条1項1号で無効になりうると判断 |
| 2010年5月〜2012年11月 | 消費者機構日本がワールドアベニューの「申込金は理由の如何を問わず不返還」などの条項に申し入れ。改定後の規定も「平均的な損害」を超えるとして2011年9月14日に差止請求訴訟 | 2012年11月5日に裁判上の和解。取消料は「8日目まで0%、9日目以降10%、61日目以降30%」などの段階に。いまの条件書もほぼ同じ |
| 2017年6月〜2018年3月 | 消費者被害防止ネットワーク東海が、日本ワーキング・ホリデー協会の解約手数料(申込の翌々日から7日以内でも32,400円など)と「入学金などは一切返金しない」条項に申し入れ | 協会は2017年11月に修正後の約款を開示。2018年3月に申し入れ終了 |
出典:近江法律事務所 判例紹介(東京簡裁 2003年10月30日)/大阪府消費生活苦情審査会/消費者機構日本「裁判上の和解結果のご報告」/消費者被害防止ネットワーク東海
4つとも、利用者が1人で会社に電話しただけでは動かなかったものです。裁判所、審査会、消費者団体という第三者が入って初めて金額や条項が変わっています。順番を飛ばさずに、第三者を入れるところまで進めてください。
投稿にも、同じ形のものがあります。
みん評|2025年12月16日|★1|StudyInについての投稿
全額返金されるか確認したら、stdylnのキャンセル料金を除いた金額を返金予定と返信あり。売りにしてるキャンセル料無料はウソです。
StudyInの約款では、キャンセル料が「原則発生しません」なのは8日以内で、それを過ぎると20,000円(税別)です。この投稿の人がやるべきだったのは、規約の条文と申込日を突き合わせて(段階3)、8日以内なら規約を根拠に、8日を過ぎていたなら「キャンセル料無料」という表示と規約の食い違いを消費生活センターに相談する(段階4)ことでした。「ウソだ」と書いて終わるのがいちばんもったいない形です。
渡航後・現地でもめたとき:相手が学校か、エージェントかを分けます
現地で「部屋が説明と違う」「授業が違う」「途中でやめたい」となったとき、最初に分けるのは誰と何の契約をしているかです。
- 学校との契約(学費・寮費)。返金の可否は学校の規約で決まります。学校に直接、書面で申し出ます。エージェント経由で申し込んでいても、学校に直接連絡して構いません
- エージェントとの契約(サポート料・手配)。「説明と違う」なら、段階1〜4をそのまま使います。規約に「受入機関の都合による変更には責任を負わない」とあっても、上の大阪府の例のように、責任を全部免除する条項は無効になりうる、という判断があります
- 渡航後の途中解約。多くの規約は「権利を放棄したものとみなし返金しない」と書き、返金がある会社でも20〜35%を差し引きます。それでも、学校からの返金額は学校に直接確かめ、エージェントの控除が規約どおりかを見てください
海外の学校と直接契約していて、学校ともめた場合。日本の消費生活センターは海外の事業者とは交渉できません。国民生活センターの越境消費者センター(CCJ)が、海外の事業者とのトラブルについてメールで相談を受け、助言と、提携先の海外機関を通じた伝達をしています(電話相談はありません。交渉の代行もしません)。
セブ島の場合。日本にオフィスがあり日本語で申し込める学校(3D ACADEMY、Brighture、MeRISE、QQ Englishなど。学校名のアルファベット順)なら、もめたときの相手は日本語の通じる学校の窓口1つで、間にエージェントの控除が入りません。学校の規約の読み方は、別の記事に書いています。
よくある質問
Q. 留学エージェントに払ったお金は、解約したら返ってきますか?
時期と規約によります。契約から8日以内なら無料の会社が26社中14社、無料期間がない会社が9社です。申込金だけは返さない会社も多くあります。まず契約した時点の規約で自分の時期の解約料を確かめ、会社に算定根拠の説明を書面で求めてください。規約どおりでも「平均的な損害」を超える部分は消費者契約法9条1号で無効になります。
Q. 電話で解約を伝えましたが、会社が「聞いていない」と言います。
いますぐメールで解約の意思を送り、その中に「〇月〇日に電話で申し出た」ことも書いてください。以後の解約料は、証明できる日付で争うことになります。電話の日時・相手の名前・内容のメモがあれば、それも証拠になります。今後の連絡はすべて日付の残る形にしてください。
Q. 消費生活センターに相談すると、返金してもらえますか?
消費生活センターに強制力はありませんが、相談員が会社に連絡して話し合いを仲介する「あっせん」があり、それで決着する例があります(大阪府の例では、当初の返金額54,383円が158,000円になりました)。あっせんで決着しなければ、ADR・少額訴訟・弁護士に進みます。相談は無料で、消費者ホットライン「188」からつながります。
Q. クレジットカードの分割払いで払いました。支払いを止められますか?
割賦販売法の「支払停止の抗弁」で、エージェントとの問題が解決するまでカード会社への支払いを拒める場合があります。条件は、分割・リボ・ボーナス一括払いであること(翌月1回払いは対象外)、分割は利用代金と手数料の合計が4万円以上(リボは現金販売価格3万8千円以上)、日本国内での利用であること。カード会社に「支払停止等の申出書」を書面で送ります。
Q. 少額訴訟は、弁護士なしで自分でできますか?
できます。請求が60万円以下なら、簡易裁判所で原則1回の審理で判決が出ます。手数料は訴額10万円ごとに1,000円(60万円なら6,000円)と郵便切手代です。1人につき同じ裁判所で年10回まで。相手が通常の訴訟を望めば通常訴訟に移ります。証拠は初回の期日までに全部出す必要があるので、段階1の記録がそのまま使えます。
Q. エージェントが倒産しました。学費は戻りますか?
まず学校に直接連絡して、学費が学校に届いているかを確かめてください。届いていれば学校との契約は生きています。届いていなければ、破産手続きで債権を届け出ますが、前払金は一般債権なので戻る割合は高くありません。旅行業登録のある会社なら、旅行業協会の弁済業務保証金の対象になる部分があるか(航空券や宿泊の手配分など)を協会に確かめてください。カード払いなら、チャージバックの申し立てをカード会社に聞いてください。
まとめ:記録 → 書面 → 規約 → 188 → 払い方 → 第三者
やることは6段階で、順番を飛ばさないことがいちばんの近道です。
- 記録を残す。契約した時点の規約を、今日の日付で保存する
- 書面で伝える。解約の申し出日を自分で書き、算定根拠の説明を求める(消費者契約法9条2項)
- 規約と突き合わせる。時期・何の何%・申込金・為替
- 188に電話する。助言とあっせん。無料
- 払い方に応じた手を打つ。分割・リボなら支払停止の抗弁。連絡がつかないなら学校へ。旅行業登録なら協会へ
- 第三者に決めてもらう。ADR(1万円〜)、少額訴訟(60万円以下)、弁護士(法テラス)
結果まで分かっている4つの例は、どれも第三者が入って初めて金額や条項が変わりました。1人で会社と電話しているうちは、動きません。
そして次に契約するときは、規約を先に読んでください。26社の解約条件は一覧にしてあります。契約前に見抜ける危険サインも別の記事に書きました。
この記事の情報源と調査方法
調査日:2026年9月26〜27日(法律・制度・裁判例の確認)、9月22〜23日(26社の規約の取得)。
調査方法:法律の条文はe-Gov法令検索と消費者庁の解説で確認し、制度の内容は運営機関(法務省かいけつサポート、裁判所、日本クレジット協会、日本旅行業協会、国民生活センター)の公式ページから引きました。裁判例・あっせん事例は、判決やあっせん結果を公開している機関の資料をもとにしています。投稿は、投稿先と投稿日がはっきりしているものだけを使い、会社側の言い分は確かめていません。記事中の写真はセブの街並みで、本文に出てくる会社・学校とは関係ありません。この記事は法律相談ではなく、個別の判断は消費生活センターや弁護士に確かめてください。
主な出典:
JASSO「留学あっせん業者(留学エージェント)の利用について」(2025年7月31日更新)/消費者庁「消費者契約法」/e-Gov法令検索 消費者契約法/消費者庁「留学等あっせんサービスをめぐるトラブルと消費者へのアドバイス」(2010年7月15日)/国民生活センター「増加する『留学等斡旋サービス』トラブル」(2005年5月10日)/消費者庁「消費者ホットライン」/国民生活センター 越境消費者センター/日本クレジット協会「支払停止等の抗弁に関する手続きについて」/三菱UFJニコス「支払停止の抗弁について」/近畿経済産業局「消費者相談事例」/日本旅行業協会「弁済業務保証金制度について」/法務省かいけつサポート「特定非営利活動法人留学協会」/裁判所「少額訴訟」/法テラス/近江法律事務所 判例紹介(東京簡裁 2003年10月30日)/大阪府消費生活苦情審査会「留学プログラムの契約金返還に関するあっせん事案」/消費者機構日本「裁判上の和解結果のご報告」/消費者被害防止ネットワーク東海「日本ワーキング・ホリデー協会への申入れ」/StudyIn 約款/みん評 StudyInのページ(2026年9月23日閲覧)/留学エージェント26社の利用規約・約款・条件書・会社情報(2026年9月22〜23日閲覧)
※ 本記事は各社の公開情報と公的機関の資料にもとづく事実の記載であり、特定の事業者の評価・信用を毀損する意図はありません。法律の適用は個別の事情で変わります。記載内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご指摘ください。速やかに確認・訂正します。