こんにちは、ナビセブ編集部の田口じゅんです。セブに住んで10年以上になります。暮らしとエリアの記事を担当しています。
私はセブで約20年暮らしています。この20年で、街の風景だけでなく、人々の働き方も大きく変わりました。以前からあった港、工場、商店、観光に加え、現在はBPO、IT、オンライン教育、医療、Eコマースなど、海外やインターネットとつながる仕事が増えています。
働く場所も、ダウンタウンや工場だけではありません。IT Parkの高層オフィス、自宅、オンラインのプラットフォームへと広がりました。
ナビセブ編集部のまとめ
20年前と今の最大の違いは、「セブにいながら世界の仕事ができるようになったこと」です。
| 約20年前 | 現在 |
|---|---|
| 地元客を相手にする仕事 | 海外顧客を相手にする仕事 |
| 昼間中心 | 夜勤・24時間勤務 |
| 店舗・工場・現場 | オフィス・自宅・オンライン |
| 現金中心 | 電子決済・オンライン注文 |
| 対面サービス | チャット・ビデオ通話・プラットフォーム |
| 一つの職種を長く続ける | スキルを更新しながら働く |
| メトロセブ中心 | 地方や離島からもオンラインで参加 |
| 英語は接客のスキル | 英語そのものが輸出サービス |
2025年のCentral Visayasでは約293万人が働き、その64.9%がサービス業でした。工業は19.5%、農業は15.7%です。現在のセブは、明確にサービス業を中心とする経済になっています。
20年前もセブには仕事があった

20年前のセブが、農業と観光だけで成り立っていたわけではありません。セブ市には小売店、銀行、大学、病院があり、マンダウエには家具と製造業、バランバンには造船業がありました。
セブ港も、長く地域の物流を支えてきました。
| 地域 | 以前からある産業 |
|---|---|
| セブ市 | 小売、金融、教育 |
| マンダウエ | 製造業、家具 |
| マクタン | 観光、輸出向けの製造業 |
| バランバン | 造船 |
| セブ州 | 農業、漁業 |
| セブ港周辺 | 海運、卸売、物流 |
変わったのは、古い産業がすべて消えたことではありません。そこに、海外向けサービスとデジタル技術を使う仕事が加わったことです。
IT Parkがセブの働く時間を変えた
セブの仕事の変化を最も象徴する場所がCebu IT Parkです。私がセブに来た頃にもIT Parkはありましたが、現在ほど高層オフィス、レストラン、コンドミニアムが集まる街ではありませんでした。
BPOが拡大すると、北米などの時間に合わせて夜間に働く人が増えました。その結果、次の仕事も夜間に必要になりました。
- レストランのスタッフ
- コンビニのスタッフ
- 警備員
- タクシー・Grabのドライバー
- ビルのメンテナンス
- 清掃スタッフ
- フードデリバリーのライダー
BPOが直接雇用した人だけでなく、その周辺で働く人の時間まで変えたのです。セブで深夜にも食事ができ、人が移動している背景には、24時間動く産業があります。
英語が「仕事の商品」になった
以前からセブでは、観光や海外就職のために英語が使われていました。しかし、BPO、オンライン教育、バーチャルアシスタントの仕事が増え、英語そのものがセブから海外へ提供するサービスになりました。
| 仕事 | 海外へ提供するもの |
|---|---|
| コールセンター | カスタマーサポート |
| BPO | 経理、人事、バックオフィス業務 |
| IT | ソフトウェア、技術サポート |
| オンライン教育 | 英語レッスン |
| バーチャルアシスタント | スケジュール管理、リサーチ、事務 |
| クリエイティブの仕事 | デザイン、動画、コンテンツ |
| 医療系のBPO | 医療コーディング、保険関連のサポート |
製品を船で輸出しなくても、セブの人がインターネットを通して海外企業や顧客へサービスを提供できます。これは、この20年で起きた最も大きな変化の一つです。
BPOは単純なコールセンターだけではない
BPOというと、電話対応だけを想像する人もいます。しかし、現在のIT-BPMには、より専門的な仕事が含まれます。
- ソフトウェア開発
- データ分析
- 財務・経理
- 医療情報の管理
- 法務サポート
- サイバーセキュリティ
- デジタルマーケティング
- AIを使った業務支援
IT and Business Process Association of the Philippinesによると、フィリピンのIT-BPM産業は2025年に約190万人の雇用と約400億USドルの輸出収入へ到達する見通しを示しました。
これは全国の数字であり、セブだけの雇用者数ではありません。しかし、セブがマニラ以外の主要なIT-BPM拠点であることは、IT Parkやビジネスパークの24時間動くオフィスからも分かります。
観光の仕事も専門化した
20年前からセブにはリゾートと観光業がありました。しかし、現在は旅行者の目的と予約方法が多様化しています。
| 以前からある仕事 | 広がった仕事 |
|---|---|
| ホテルスタッフ | レベニューマネジメント |
| ツアーガイド | ツアーのオンライン販売 |
| ボートの乗組員 | 海の安全管理・ダイビングのサポート |
| 旅行代理店 | OTA・オンライン予約 |
| レストランのスタッフ | デリバリー・オンラインでの宣伝 |
| ドライバー | 配車アプリでの送迎 |
| カメラマン | ドローン・SNS向けのコンテンツ |
旅行者はインターネットでホテルを比較し、アプリで車を呼び、SNSで行き先を決めます。現場の接客だけでなく、オンライン上で見つけてもらい、予約を管理し、評価に対応する仕事が必要になりました。
モールと小売の仕事も変わった

セブではモールが生活の中心ですが、買い物は店舗だけで完結しなくなりました。ネットショッピング、フードデリバリー、電子決済が広がり、店舗の裏側に新しい仕事が生まれています。
- 倉庫のスタッフ
- デリバリーのライダー
- ネット販売の出店者
- 商品撮影のカメラマン
- チャットサポート
- デジタルマーケティング
- 決済システム
- 在庫管理
一方、サリサリストアや公設市場も残っています。新しい小売が古い小売を完全に置き換えたのではなく、複数の販売方法が共存するようになりました。
建設業が新しい仕事の場所を造った
BPO、小売、医療が成長するには、働く場所が必要です。IT Park、Cebu Business Park、SRP、Mactan Newtownなどの開発によって、オフィス、ホテル、モール、病院、コンドミニアムが増えました。
建設中にはエンジニア、溶接工、電気工、大工が働き、完成後には別の仕事が生まれます。
| 建設中 | 完成後 |
|---|---|
| 建築家 | オフィスで働く人 |
| エンジニア | ホテルスタッフ |
| 建設作業員 | 小売店のスタッフ |
| 電気工 | 警備員 |
| 重機のオペレーター | ビルのメンテナンス |
| 資材の運搬 | 不動産の管理 |
建設業は一時的に建物を造るだけでなく、その後の雇用を入れる器を造っています。
医療は成長産業になった
人口増加、高齢化、慢性疾患、検査需要によって、医療の仕事も増えています。Central Visayasでは、保健・社会福祉(Human Health and Social Work Activities)が2025年に12.2%成長し、16産業の中で最も高い成長率となりました。
医師や看護師だけでなく、次の専門職が必要です。
- 臨床検査技師
- 薬剤師
- 診療放射線技師
- 理学療法士
- 医療コーダー
- HMO・保険のスタッフ
- 病院のIT担当
- 医療機器のエンジニア
病院の仕事にもデジタル化と専門化が進んでいます。
「会社へ行く」が仕事の前提ではなくなった
パンデミックはセブの働き方を大きく変えました。BPOやオンラインサービスの一部では、オフィス勤務から在宅勤務、さらにハイブリッド勤務へ移行しました。
IBPAPの2023年時点の調査では、加盟企業の多くがハイブリッド型を採用し、従業員の60〜70%がオフィス、30〜40%がリモートで働いていました。すべての仕事を自宅で行えるわけではありません。
ホテル、病院、建設、製造、運輸などは現場が必要です。その結果、セブでは「場所を選べる仕事」と「必ず現場へ行く仕事」の差が大きくなりました。
アプリが個人の働き方を変えた
Grab、フードデリバリー、ネット販売などのプラットフォームは、会社に固定雇用されない働き方を広げました。以前からセブには自営業者が多くいました。しかし、現在はアプリを通して注文を受け、評価され、報酬を得ることができます。
| 従来の働き方 | プラットフォーム型の働き方 |
|---|---|
| 店頭で客を待つ | アプリから注文を受ける |
| 固定ルート | 需要に応じて移動 |
| 現金 | 電子決済 |
| 口コミは近所中心 | 評価が仕事に影響 |
| 営業時間を固定 | 自分で稼働時間を決める |
自由度がある一方、収入の変動、燃料費、保険、社会保障などの課題もあります。
仕事は増えたが、全員が豊かになったわけではない
新しいオフィスやモールが増えると、街全体が豊かになったように見えます。しかし、仕事があることと、安定した生活ができることは同じではありません。Central Visayasでは2025年に約293万人が就業していましたが、そのうち約18万4,000人は、もっと長い時間働きたい、または追加の仕事が欲しいと回答していました。
不完全就業率は6.3%です。セブには次の差があります。
- 専門スキルが必要な高収入職と単純労働
- 正社員と短期契約
- リモートワークができる職種と現場職
- 都市部と地方
- 英語・デジタルスキルを持つ人と持たない人
新しい産業が成長しても、教育や研修へアクセスできなければ、その仕事に移れない人が残ります。
AIでセブの仕事はどう変わる?
これから最も大きな変化を起こす可能性があるのがAIです。特に、決められた内容を繰り返す仕事は自動化されやすくなります。一方で、AIを使いながら判断し、人と話し、問題を解決する仕事は残ります。
| 変化しやすい仕事 | 重要になる能力 |
|---|---|
| 定型的なデータ入力 | データを確認・判断する力 |
| 台本どおりの対応 | 複雑なカスタマーサポート |
| 単純な翻訳 | 文脈・文化の理解 |
| 情報の検索 | 正しさを検証する力 |
| 定型的なコンテンツ | 経験と専門知識 |
| 単純な予約処理 | 問題解決と提案 |
英語だけ、パソコンだけでは十分ではなくなります。英語、デジタル、専門知識、人とのコミュニケーションを組み合わせることが必要です。
データで見る約20年前との比較
同じ方法で集計されたセブだけの2006年と2025年の職種別データが、そろっているわけではありません。ここでは、過去と現在の街の変化、各時点の公式統計、産業資料を組み合わせています。
- 約293万人
2025年にCentral Visayas全体で働いていた人数です。セブだけの数字ではありません。 - サービス業64.9%
Central Visayasの全就業者に占める2025年の割合です。BPOだけでなく、小売、運輸、教育、医療などを含みます。 - IT-BPM約190万人
2025年のフィリピン全国の見通しです。セブの雇用者数ではありません。 - リモート勤務30〜40%
IBPAP加盟企業を対象とした2023年時点の働き方です。セブの全企業や現在の全従業員を示す数字ではありません。
ナビセブ編集部の結論
この20年で、セブの仕事は「地域の中で働く」ものから、「セブにいながら世界と働く」ものへ広がりました。IT Parkでは夜中に海外顧客へ対応し、自宅からオンラインでサービスを提供し、マクタンでは世界から来た旅行者を迎え、バランバンでは世界へ輸出する船を造っています。
しかし、すべての仕事が新しくなったわけではありません。港、工場、建設、商店、農業、漁業など、セブの日常を支える仕事は今も必要です。これから重要なのは、新しい産業と古い産業を分けることではありません。
デジタル技術とAIを使いながら、セブの人がより専門性の高い仕事へ移れるようにすることです。セブの仕事は、この20年で大きく変わりました。そして、次の20年は、これまで以上に速く変わっていくと思います。
よくある質問
セブで最も多くの人が働く分野は何ですか?
Central Visayasではサービス業が最大で、2025年の就業者の64.9%を占めました。
セブではBPO以外にどんな仕事がありますか?
小売、観光、建設、製造、造船、港湾物流、医療、教育、農業などがあります。
在宅勤務はセブで一般的ですか?
BPO、IT、バーチャルアシスタント、オンライン教育などでは利用されています。しかし、現場が必要な仕事ではオフィスや施設への出勤が必要です。
AIでBPOの仕事はなくなりますか?
定型業務は減る可能性があります。しかし、専門知識、判断、顧客対応、AIを管理する仕事へ移行する可能性もあります。
主な確認先
- PSA Central Visayas「2025年雇用統計」
- PSA「セブの2023年労働市場統計」
- IBPAP「IT-BPM Industry 2025」
- IBPAP「Knowledge Hub」
- PEZA「セブへの投資」
- PSA「Central Visayasの2025年経済実績」
情報確認日:2026年8月29日





