こんにちは、ナビセブ編集部の田口じゅんです。セブに住んで10年以上になります。暮らしとエリアの記事を担当しています。
深夜のCebu IT Parkを歩くと、オフィスビルから多くの人が出てきます。午前0時を過ぎてもコーヒーショップやコンビニに客が入り、タクシー、Grab、バイクタクシーが動いています。
これはナイトライフだけが理由ではありません。Cebu IT Parkには、北米を中心とする海外企業の業務を担当するBPOやIT-BPM企業が集まり、多くの人が夜勤で働いています。
今回は、BPOがセブの夜の交通、食事、警備、生活時間をどのように変えたのかを見ていきます。
ナビセブ編集部のまとめ
Cebu IT Parkに夜中でも人がいる最大の理由は、海外の営業時間に合わせて働くIT-BPM従業員がいるからです。
セブとアメリカ本土には、大きな時差があります。
| 顧客の地域 | セブとの時差の目安 |
|---|---|
| 米国東部 | 12〜13時間 |
| 米国中部 | 13〜14時間 |
| 米国山岳部 | 14〜15時間 |
| 米国西海岸 | 15〜16時間 |
米国の朝に業務を始めるため、セブでは夜から翌朝に働くシフトが必要になります。時差はアメリカの夏時間によって1時間変わります。
BPOとコールセンターは同じではない

セブでは、BPOとコールセンターが同じ意味で使われることがあります。しかし、コールセンターはIT-BPM産業の一部です。
コールセンター
電話、チャット、メールなどで顧客対応や技術サポートを行います。
BPO
企業が業務の一部を外部の専門会社へ委託する仕組みです。カスタマーサポート以外にも、次の仕事があります。
- 経理
- 人事
- 給与計算
- データ処理
- 医療関連サポート
- 保険事務
- 銀行業務サポート
- コンテンツモデレーション
- ソフトウェア開発
- サイバーセキュリティ
- アニメーション
- ゲーム開発
- 法務・リサーチ支援
現在は、単純な電話対応だけでなく、専門知識を使う仕事が増えています。そのため、業界全体を表すときは「IT-BPM」が使われています。
フィリピン全体で約190万人が働く産業

IT & Business Process Association of the Philippinesによると、フィリピンのIT-BPM産業は2025年に約190万人の雇用と約400億USドルの輸出収入に到達する見通しを示しました。
さらに2026年末には、約197万人の雇用と約420億USドルの収入を目指しています。ただし、これはフィリピン全国の数字です。セブだけの最新雇用者数として公表された数字ではありません。セブではCebu IT Parkだけでなく、次の地域にもIT-BPM企業があります。
- Cebu Business Park
- Cebu City内のITセンター
- Mandaue City
- Lapu-Lapu City
- PEZA登録ビル・経済特区
「セブのBPOはIT Parkだけ」と考えるのも正確ではありません。
なぜセブがBPO拠点になったのか
セブがIT-BPM拠点として成長した理由は、一つではありません。
英語を使える人材
セブには大学やカレッジが多く、毎年新しい人材が労働市場に入ります。
マニラ以外の大都市
海外企業は、一つの都市だけに業務を集中させず、別の都市にも拠点を持つことで災害や業務停止のリスクを分散できます。
PEZA登録のIT Park・ITセンター

PEZA登録施設では、企業向けの投資環境や行政制度が整備されています。
24時間働くための都市機能
インターネット、電力、オフィスビル、警備、交通、レストランなど、夜間も業務を継続するための機能が集まっています。BPOがあるから24時間営業の店が増え、24時間営業の環境があるからBPOが働きやすくなる関係です。
夜勤の時間は全員同じではない
BPOで働く人が全員、同じ時間に出勤するわけではありません。担当する国、顧客企業、業務内容によってシフトは異なります。例として、次のような勤務時間があります。
- 午後6時から午前3時
- 午後8時から午前5時
- 午後9時から午前6時
- 午後10時から午前7時
- 深夜0時から午前9時
24時間対応の業務では、朝・昼・夜など複数のシフトを組み合わせます。そのためIT Parkでは、通常の通勤ラッシュとは違う時間にも人の入れ替わりが起きます。
午後6時はBPOで働く人にとっての「朝」になる

夜勤で働く人にとって、午後6時や午後8時は一日の始まりです。仕事前に食事をし、コーヒーを買い、オフィスへ向かいます。一方、午前5時や午前7時は仕事が終わる時間です。一般的な会社員が出勤を始める時間に、BPOで働く人は帰宅します。
この時間の違いが、IT Park周辺に次の需要を生みました。
- 24時間営業のレストラン
- コーヒーショップ
- コンビニ
- 薬局
- Grab・タクシー
- バイクタクシー
- 社員用シャトル
- 深夜営業のカレンデリア(大衆食堂)
- コンドミニアム・賃貸の部屋
- ランドリーサービス
IT Parkが夜でも明るいのは、遊ぶ人だけではなく、働く人の日常があるからです。
深夜の交通はどう確保する?

夜勤で問題になるのが通勤です。深夜には、昼間と同じ数のジープニーや公共交通が動いているとは限りません。主な移動方法は次のとおりです。
- Grab
- タクシー
- バイクタクシー
- モダンジープニー
- 従来型ジープニー
- 会社のシャトル
- 家族による送迎
- 徒歩圏の住居
会社が特定のルートにシャトルを用意する場合もありますが、すべてのBPO企業が全従業員に送迎を提供するわけではありません。深夜勤務では、給与だけでなく、毎日の交通費と帰宅方法も重要になります。
深夜手当(Night Shift Differential)はいくら?
フィリピンの労働法では、午後10時から翌朝6時までに働いた時間について、対象従業員に通常賃金の10%以上の深夜手当(Night Shift Differential)を支払うことが定められています。
例えば、勤務時間が午後9時から午前6時の場合、原則として午後10時から午前6時までの対象時間に深夜手当(Night Shift Differential)が付きます。ただし、実際の給与計算は雇用形態、会社規定、休日、残業などによって変わります。
「夜勤なら給与全体が必ず10%増える」という意味ではありません。
警備が24時間必要になる

BPOのオフィスでは、海外企業の顧客情報や個人情報を扱うことがあります。そのため、建物やオフィスで次の管理が行われます。
- 社員証の確認
- 手荷物検査
- 来訪者パス
- 入館カード
- CCTV
- 警備員
- 使用できる機器の制限
- 撮影禁止区域
- 持ち込み禁止物の確認
深夜も多くの従業員が出入りするため、警備、建物管理、清掃スタッフもシフトで働きます。BPO一社だけではなく、建物全体に夜間の仕事が生まれます。
夜勤が体に与える影響
夜に働き、昼に眠る生活では、睡眠、食事、運動の時間が不規則になりやすくなります。主な課題は次のとおりです。
- 昼間の騒音で眠りにくい
- 日光を浴びる時間が減る
- 深夜に高カロリーの食事を取りやすい
- 家族と生活時間が合わない
- 休日に睡眠時間が変わる
- 通勤中の安全を確保する必要がある
DOLEは、BPO企業に対して労働安全衛生プログラム(Occupational Safety and Health Program)の整備を求めています。働く本人だけでなく、会社側による健康管理、休憩、勤務環境の整備も必要です。
NAVI CEBU FIELD CHECK

深夜のIT Parkを見るときは、次の点を確認すると街の動きが分かります。
- 建物から人が出てくる時間
- レストランの混雑時間
- 会社のシャトルの乗降場所
- タクシー・バイクタクシーの待機場所
- コンビニを利用する人
- セキュリティチェックのある建物
- 午前5時以降の帰宅する人の流れ
ただし、オフィスの入口や従業員を無断で撮影してはいけません。IT Parkは公共空間を含みますが、オフィスビルは働く人の場所です。社員証やパソコンの画面が写らないように配慮が必要です。
ナビセブ編集部の結論
Cebu IT Parkが夜中でも動いているのは、ナイトライフのためだけではありません。海外の営業時間に合わせて働くIT-BPM従業員がいることで、レストラン、コーヒーショップ、交通、警備、清掃、建物管理にも夜間の仕事が生まれています。
BPOはオフィスビルの中だけに存在する産業ではありません。人が働く時間を変え、食事の時間を変え、交通を変え、周辺の住宅と店の営業時間まで変えました。セブで長く暮らしていると、BPOが増える前と現在では、夜の街がまったく違うことが分かります。
IT Parkの深夜の人の流れを見ると、セブが24時間働く都市になった理由が見えてきます。
よくある質問
セブのBPOで働く人は全員夜勤ですか?
違います。担当する国、顧客、業務内容によって朝・昼・夜など勤務時間が異なります。
BPOとコールセンターは同じですか?
コールセンターはBPO・IT-BPMの一部です。IT-BPMには経理、医療関連サポート、ソフトウェア開発なども含まれます。
IT Parkの店はすべて24時間営業ですか?
すべてではありません。営業時間は店舗ごとに異なり、休日や運営状況によって変更されます。
夜勤では給与が10%増えますか?
午後10時から翌朝6時までに働いた対象時間について、通常賃金の10%以上の深夜手当(Night Shift Differential)が原則です。給与全体が一律10%増えるという意味ではありません。
参照した一次情報
- IT & Business Process Association of the Philippines|2025 Industry Growth
- IBPAP|2026 IT-BPM Outlook
- IBPAP|IT-BPM Knowledge Hub
- Philippine Economic Zone Authority公式サイト
- PEZA|CebuのEconomic Zoneと投資
- Department of Labor and Employment|Book III Conditions of Employment
- DOLE|BPO Workerの健康と安全
情報確認日:2026年8月29日





