こんにちは、ナビセブ編集部の山崎いおりです。セブ島留学を経験しました。留学の記事を担当しています。
結論:語学学校が倒産したとき、払った学費が現金で戻るかどうかは、①どの国の学校か、②どのビザで通っていたか、③どう払ったか、の3つでほぼ決まります。国の制度で現金まで戻るのは、確認できた範囲ではオーストラリア(学生ビザの留学生)と、カナダのBC州の基金くらいです。それ以外は「別の学校の席」か、何もないかです。どこに申し込んでも、エージェントを通しても、この結果は変わりません。
戻るかどうかは、3つで決まります

| 決まること | 戻りやすい | 戻りにくい |
|---|---|---|
| ①学校の国 | オーストラリア(TPS)、カナダのBC州(州の基金) | フィリピン、制度のない国。業界団体の救済だけの国(英国・マルタ・カナダの他の州)は「席」まで |
| ②ビザ | 学生ビザ(オーストラリアのTPSの対象) | ワーキングホリデー・観光ビザ(TPSの対象外) |
| ③払い方 | クレジットカードで学校に直接 | エージェントに日本円で振り込み、銀行の海外送金 |
もう一つ大事なのは、どの制度も、戻すのは学校に届いた学費だけだということです。滞在費、空港送迎、航空券、エージェントへの手数料は、確認できたどの制度でも対象外でした。
国ごとの制度:現金が戻るのか、席なのか

| 国・地域 | 仕組み | 戻るもの | 注意 |
|---|---|---|---|
| オーストラリア | 国の制度 TPS(Tuition Protection Service) | 学校は閉校から14日以内に、転校先を用意するか、まだ受けていない授業ぶんの学費を返す。できなければTPSが転校先か返金を手配 | 学生ビザの留学生が対象。ワーホリ・観光ビザは対象外 |
| カナダ(BC州) | 州の学費保護基金(Student Tuition Protection Fund) | 州の認定を返上した学校の、認定プログラムの学費の全部または一部 | 請求は、学校が認定を返上した日から1年以内。2026年9月のILAC系4校とECバンクーバー校が対象になる可能性 |
| カナダ(語学学校の業界団体) | Languages Canada の eCAP | 加盟校への転校(追加の学費なし)。転校先がない場合だけ、未消化の学費の最大25%を先着順で現金 | 業界団体自身が「保険でも、学費の払い戻し制度でもない」と説明。滞在費は対象外 |
| 英国 | English UK の学生緊急支援 | 加盟校での振替授業(追加の費用なし) | 国の制度はなし。滞在費は原則対象外 |
| マルタ | 業界団体 FELTOM の加盟校の自主的な受け入れ | 振替授業(2026年9月は週20レッスン×4週間) | 公的な学費保護制度は確認できず |
| フィリピン | 見当たらない | — | エージェント自身が「補償はないと考えて頂き、予防するしかございません」と書いている |
出典:オーストラリア政府教育省(TPS)、BC州の私立教育機関の監督機関(PTIRU)、Languages Canada、English UK、各報道。2026年10月1日時点。
オーストラリアのTPS:いちばん手厚いが、ビザで分かれる
オーストラリアでは、学校が閉校したら14日以内に、転校先を用意するか、まだ受けていない授業ぶんの学費を返すことが学校に義務づけられています。学校ができなければ、国のTPSが代わりに手配します。返金を求めるときは、領収書・銀行の記録・入学許可書(Letter of Offer)・ビザの許可書をそろえてオンラインで申請します。
ただし対象は学生ビザの留学生です。2024年12月にシドニーの語学学校 IH Sydney が閉校したとき、ワーキングホリデーや観光ビザで通っていた学生はTPSの対象外と案内されました。日本からの短期の語学留学は、この「対象外」側に入ることが多いので注意してください。
カナダ:州の基金と、業界団体の「席」は別もの
カナダでは、州の制度と業界団体の制度が別々にあります。BC州の基金は、州の認定を受けた学校が認定を返上したときに、学費を払い戻すためのものです。請求の期限は、学校が認定を返上した日から1年以内です。一方、語学学校の業界団体 Languages Canada の eCAP は、加盟校への転校で授業を続けられるようにする仕組みで、現金が戻るのは転校先が見つからない場合だけです。
関連記事EC English倒産・ILAC破産|語学学校が倒産したら学費は戻る?留学エージェントが守らない理由
過去の倒産で、払ったお金はどうなったか

| 年 | 学校・会社 | 何が起きたか | お金 |
|---|---|---|---|
| 2008年 | ゲートウェイ21(日本の留学エージェント) | 破産。未渡航者が約1,330人 | 負債は約12億9,000万円。未渡航者の分だけで約9億5,000万円(業界紙の報道) |
| 2010年 | サクシーオ(日本の留学エージェント) | 事業停止 | 代金を全額、または一部しか学校に払っていなかった顧客が205名(業界紙の報道) |
| 2024年12月 | IH Sydney(オーストラリアの語学学校) | 閉校 | 学生ビザの学生はTPSの対象。ワーホリ・観光ビザの学生は対象外 |
| 2025年10月 | Bell English(英国の語学学校) | 3校を閉校 | 業界団体の加盟校が受け入れ |
| 2026年6月 | Student Campus English School(アイルランド・リムリック) | 閉校。約250人の留学生が影響。閉校が決まる前の約3週間、授業を受けられなかった | アイルランドでは学生ビザを保つために別の学校へ転校が必要(地元紙の報道) |
| 2026年9月 | EC English(7カ国25校) | 即日閉校 | 各国の業界団体が転校先を用意。現金の返金の発表はなし |
| 2026年9月 | ILAC(カナダ) | 破産 | 業界団体が転校先を用意。BC州の2校の学生は州の基金に請求できる可能性。管財人はKPMG |
エージェントが倒産した例(ゲートウェイ21・サクシーオ)では、学生が払ったお金が学校に届いていなかったことが、被害を大きくしました。学校が倒産した例では、業界団体が席を用意しても、前払いした滞在費や航空券は戻っていません。どちらの場合も、まとめて前払いしたぶんだけ、失う額が大きくなっています。
関連記事留学エージェントのキャンセル料はいくら?26社の規約で「いつから・何割」を一覧にした【2026年9月】
戻る人・戻らない人は、払う前に分かれています

- 前払いを短くする。学費も滞在費も、最初の数週間分だけ払い、残りは現地で延長する形にします。
- カードで学校に直接払う。学校が潰れたとき、カード会社に申し立てる道が残ります。日本の割賦販売法の「支払停止の抗弁」は、分割・リボ払いで4万円以上などの条件があり、一括払いでは使えません。
- 送金の時期を書面で確かめる。エージェント経由なら、いつ学校に送金するかを契約前に聞きます。出発の90日前より前に学費を請求しない会社もあります。
- ビザを確かめる。オーストラリアのように、ビザの種類で救済の対象が変わる国があります。
- 学校の都合で授業ができなくなった場合の返金規定を、書面で見せてもらう。
関連記事セブ島留学にエージェントは必要?直接申し込みとの違いと、エージェントなしで申し込む手順【2026年9月】
閉校を知ったら、やること
- 払った記録を集める(領収書、振込の記録、カードの明細、入学許可書、ビザの書類、学校やエージェントとのメール)。
- 学校の公式発表と、その国の業界団体・監督機関の案内を確認する。「管財人」「窓口」を名乗る連絡に、口座番号やパスワードを教えない。
- カードで払っていれば、すぐカード会社に連絡する(期限があります)。
- 管財人が決まっていれば、債権を届け出る。
- エージェント経由なら、いくらを、いつ学校に送金したかを書面でもらう。どの制度も、学校に届いた金額しか見ません。
- エージェントと返金でもめたら、消費者ホットライン188に相談する。
関連記事留学エージェントと解約・返金でもめたら|188・消費者契約法・支払停止の抗弁・ADRまで、やることを順番に全部書いた
よくある質問
語学学校が倒産したら、学費は戻りますか?
国によります。オーストラリアで学生ビザの留学生なら、国の制度(TPS)で転校先か、まだ受けていない授業ぶんの学費の返金を受けられます。カナダのBC州では州の基金に請求できる場合があります。英国・マルタ・カナダの業界団体の救済は転校先の「席」で、現金ではありません。フィリピンには学費を守る制度が見当たりません。
エージェント経由で払っていれば守られますか?
契約上は守られません。ナビセブが規約を読んだ日本の留学エージェント18社に、学校の倒産時に学費を補償する、自社の取り分を返すと書いた会社はありませんでした。
クレジットカードで払っていれば戻りますか?
学校に直接カードで払っていれば、カード会社に「サービスが提供されなかった」と申し立てる道があります。期限があるので、閉校を知ったらすぐ連絡してください。エージェントに日本円で振り込んだ場合、この道は使えません。
ワーキングホリデーや観光ビザの語学留学でも守られますか?
オーストラリアのTPSは学生ビザの留学生が対象です。2024年12月のIH Sydneyの閉校では、ワーホリや観光ビザの学生はTPSの対象外と案内されました。
閉校を知ったら、最初に何をすればいいですか?
払った記録(領収書・振込の記録・カードの明細・入学許可書)を集め、学校の公式発表と、その国の業界団体・監督機関の案内を確認します。管財人が決まっていれば債権を届け出ます。エージェント経由なら、いくらをいつ学校に送金したかを書面でもらってください。
最後に
- 語学学校が倒産したとき、現金まで戻る国の制度は、確認できた範囲ではオーストラリア(学生ビザ)とカナダのBC州の基金くらいです。
- ほかの国の救済は「別の学校の席」で、滞在費や航空券は戻りません。フィリピンには制度が見当たりません。
- 守れるかどうかは、払う前に決まります。前払いを短くし、カードで学校に直接払ってください。
この記事の情報源
オーストラリア政府教育省「Tuition Protection Service」(International students)/BC州 Private Training Institutions Regulatory Unit「General Complaints and Tuition Refund Claims」/Languages Canada「Statement on ILAC Closure」「eCAP規定書」/English UK/EC English 閉校声明/ゲートウェイ21・サクシーオは業界紙(帝国データバンク、トラベルビジョン)の報道/IH Sydney はThe PIE News ほかの報道。いずれも2026年10月1日時点で確認。制度は変わることがあるので、申し込む前に各国の公式の案内を確かめてください。
