こんにちは、ナビセブ編集部の田口じゅんです。セブに住んで10年以上になります。暮らしとエリアの記事を担当しています。
セブのお土産売り場へ行くと、次のような商品がたくさん並んでいます。
- ドライマンゴー
- ギター
- チチャロン
- クッキー
- コーヒー
- 貝殻細工
しかし、セブで売っている商品が、すべてセブで作られているわけではありません。フィリピンの別の州で生産され、セブへ運ばれた商品もあります。
輸入した原料をセブで包装した商品もあります。反対に、セブで100年以上作られ、町の産業として現在まで続いている物もあります。この記事では「おすすめのお土産10選」ではなく、どこで生まれ、誰が、どこで作っているのかを追います。
今回は、セブを代表する10産業を、生産地・創業年・作り手が確認できるかという視点で整理します。
ナビセブ編集部のまとめ
セブには食品6分野、工芸・デザイン4分野がある
今回のシリーズで紹介するのは、次の10分野です。
| 製品・産業 | 主な生産地 | 確認する作り手・場所 |
|---|---|---|
| 手作りギター | ラプラプ市 | Alegre・New Susing’s・Abuno工房 |
| ロスキーヨス | リロアン | Titay’s |
| トルタ | アルガオ | 町の中心部のベーカリー |
| チチャロン | カルカル市 | 公設市場・地域の生産者 |
| 手作りの靴 | カルカル市 | Shoe Expo・工房 |
| マサレアル | マンダウエ市 | Didang’s |
| ドライマンゴー | マンダウエ市ほか | 7D・Profood |
| コーヒー | トゥブラン | Tuburan Coffee・コーヒー農家 |
| ハブロン | アルガオ | Hinablon sa Cebu・CTU Argao |
| 家具・デザイン | メトロセブ | CFIF・セブのメーカー |
分類すると、次のとおりです。
- 食品:6分野
- 工芸・デザイン:4分野
- 合計:6+4=10分野
2026年もセブの地場産業は動いている
2026年1月14日から21日まで、SM City Cebuで第20回DTI Sinulog Fiesta Fairが開催されました。参加したのは29の出展者で、内訳は次のとおりです。
- セブ:26
- ボホール:2
- パラワン:1
26+2+1=29です。出展分野には、次のようなものが含まれました。
- 加工食品
- コーヒー
- ココナッツ製品
- 手工芸品
- ファッション小物
- 彫刻
- お土産品
- 消費財
2026年5月21日から23日に開催されたIFEX Philippinesには、セブ・ボホール・ネグロス・オリエンタルから21の中小企業(MSMEs)が参加しました。
2026年8月5日から9日には、Cebu Provincial Capitol GroundsでTabo sa Kapitolyo 2026が開催され、セブ各地の食品、農産物、手工芸品が販売されました。
セブの地場産品は、昔の土産物ではありません。2026年も新しいパッケージ、販路、輸出、商品開発が続く現役の産業です。
「セブ産」と判断する3つの条件
この記事では、次の3つの条件を確認します。
1|セブに起源がある
その商品や製法が、セブの町・家族・産業から始まっているか。
2|セブで作られている
本社の住所ではなく、実際の工場、工房、農園、ベーカリーがセブにあるか。
3|作り手を追跡できる
- 会社名
- 製造者の住所
- 工房
- 生産者
- 農園
などを確認できるか。3つを満たす商品は、セブの産業として紹介できます。一方、「セブで買った」というだけでは、「セブ産」とは断定しません。
01|ラプラプ市の手作りギター

マクタン島のラプラプ市には、次の地区を中心にギター工房があります。
- Abuno
- Pajac
- Maribago
代表的な工房の一つ、New Susing’s Guitarの創業は1949年です。2026 − 1949=77年の歴史があります。Alegre Guitar Factoryは、Alegre家の3代目が運営しています。
ラプラプで作られるのは、ギターだけではありません。次のような楽器も製造されています。
- ウクレレ
- バンドゥリア
- オーダーメイドの弦楽器
製作は、次のような工程で進みます。
- 木材を切る
- ボディを作る
- ブレーシング(力木)を組む
- ネックを接続する
- 磨く
- 弦を張る
- 音を調整する
これらの工程を、地域の弦楽器職人が手作業で行います。完成したギターを買うだけでなく、工房で製作工程を見られるのがラプラプの特徴です。
02|リロアンのロスキーヨス

リロアンを代表するロスキーヨスは、Titay’sから始まりました。
- 創業:1907年
- 創業者:Margarita “Titay” Frasco
2026年時点で、2026 − 1907=119年になります。ロスキーヨスは中央に穴があるリング状のビスケットで、次のような材料を使って作られます。
- 小麦粉
- 卵
- ショートニング
2024年4月1日には、リロアンで新工場の起工式が行われました。新工場の計画は次のとおりです。
- 敷地:1.3ha
- 計画雇用:最大250人
100年以上前のレシピが、現代の食品製造業へと成長しています。
03|アルガオのトルタ

アルガオのトルタは、一般的なスポンジケーキとは違います。次のような材料を使う、アルガオ独自の焼き菓子です。
- 卵黄
- 小麦粉
- 砂糖
- ラードまたはバター
- トゥバ
アルガオの町では、次の3つをアルガオの3Tとして紹介しています。
- Torta
- Tablea
- Tuba
2011年には祭りを考えるワークショップが行われ、トルタを主題とするLa Torta Festivalが選ばれました。アルガオでトルタを選ぶときは、商品名だけで決めるのではなく、伝統的なレシピ、使っている油脂、トゥバの有無、焼き方を確認する必要があります。
同じ「トルタ」でも、ベーカリーによって味と食感が違います。
04|カルカル市のチチャロン

カルカル市のチチャロンは、セブを代表する豚肉のスナックです。地域産業の研究では、カルカルで商業的なチチャロン生産を始めたのは、第二次世界大戦期のPatricio ParasとAnunciacion Alesna-Parasだとされています。
現在は、次のような場所で販売されています。
- カルカルの公設市場
- 道沿いの店
- お土産店(パサルボンセンター)
確認するべき違いは、次の点です。
- 肉付き(With Laman)
- 肉なし(Without Laman)
- 辛口
- オリジナル
- 内容量
同じ価格でも、内容量や豚肉の付いた量が違います。この記事では、袋の大きさではなく、100g当たりの価格で比較します。
05|カルカル市の手作りの靴

カルカルにはチチャロンだけでなく、靴づくりの産業があります。産業が始まったのは1920年代とされています。少なめに見積もって1930年から数えても、2026 − 1930=96年以上になります。
主な購入場所はCarcar Shoe Expo, Barangay Valladolidです。売られているのは、次のような靴です。
- 既製の靴
- サンダル
- 通学用の靴
- オーダーメイドの靴
靴は、見た目だけでセブ製とは判断できません。次の点を確認します。
- アッパー
- ソール
- 縫製
- サイズ
- 製作した工房
カルカルでは、食品と履物という異なる2つの産業を、同じ市で見ることができます。
06|マンダウエ市のマサレアル

マサレアルは、次の材料を中心に作るマンダウエの菓子です。
- 細かく砕いたピーナッツ
- 砂糖
代表的なDidang’sの元祖レシピが考案されたのは1912年です。
- 考案者:Juliana “Didang” Perez Suico
2026年時点で、2026 − 1912=114年になります。マサレアルはピーナッツブリトルとは違い、硬い飴でもありません。細かくしたピーナッツと砂糖を固め、長方形に切って作ります。
伝統的な商品は白い紙で包まれています。Didang’sの所在地はDoña Rosario Village, Barangay Labogon, Mandaue Cityで、公開されている営業時間は次のとおりです。
- 月曜〜土曜:8:00〜17:00
07|マンダウエで加工されるドライマンゴー

ドライマンゴーは、セブで最もよく知られているお土産(パサルボン)の一つです。しかし、マンゴーの栽培地と加工地が同じとは限りません。確認するのは次の点です。
- マンゴーの産地
- 加工工場
- 製造者の住所
- パッケージに書かれた住所
7D Mangoesを製造するFPD Food Internationalの所在地は、Sacris Road, A.S. Fortuna Street, Bakilid, Mandaue Cityです。比較の基準にしやすいのは100g入りのパックです。
5パックなら、100g × 5=500gです。パッケージの裏面では、次の項目を確認します。
- 内容量
- 添加された砂糖
- 保存料
- カロリー
- 賞味期限
- 製造者
セブで買ったドライマンゴーかどうかではなく、セブの工場で加工されたドライマンゴーかを確かめます。
08|トゥブランのコーヒー

セブにもコーヒー農園があります。主な生産地は、セブ北西部のトゥブランです。
- Tuburan Coffeeが関わる小規模コーヒー農園:3,000ha超
- 対象バランガイ:29
- 関わる農家:2,000人超
3,000haは、3,000 × 10,000=30,000,000㎡、約30㎢です。主な品種はロブスタです。次の場所の周辺で、種から一杯のコーヒーになるまでの工程を確認できます。
- Barangay Kabangkalan
- Tuburan 360
コーヒー豆の袋に「Cebu」と書かれているかどうかではなく、農園、農家、焙煎所、焙煎日まで追います。
09|アルガオのハブロン

ハブロンは手織り機で織る布です。アルガオでは、衰退していた手織り産業を再生するため、DTIとCebu Technological Universityが共同利用施設(Shared Service Facility)を整備しました。
- 開始:2016年
- 導入した手織り機:20台
- 事業費:₱825,000
1台当たりで単純計算すると、₱825,000 ÷ 20=₱41,250です。2025年5月20日には、設備を強化した共同利用施設が正式に始動しました。現在は布地としてだけでなく、次のような製品にも使われています。
- ショール
- テーブルランナー
- バッグ
- ポーチ
- 家具の素材
商品を買うだけでなく、糸を縦糸と横糸に分け、織機で織る時間まで確認します。
10|メトロセブの家具・デザイン

セブは小さなお土産だけを作る場所ではありません。家具とインテリア用品は、セブを代表する輸出産業です。
- Cebu Furniture Industries Foundationの設立:1974年
2026年時点で、2026 − 1974=52年です。出発点はラタン(籐)ポールの産業でした。現在は、次のような素材を組み合わせたデザイン産業へと変わっています。
- ラタン
- アバカ
- 木材
- 石
- 金属
- リサイクル素材
セブを代表するデザイナーブランド、Kenneth Cobonpueは、15か国超・80都市に輸入代理店・販売代理店のネットワークを持っています。
セブのショールームは3-A General Maxilom Avenue, Cebu Cityにあります。セブの家具は、安い大量生産ではなく、手仕事+素材の革新+デザインで世界へ出た産業です。
食品だけなら6分野
今回の10分野を分類すると、食品・飲み物は、ロスキーヨス、トルタ、チチャロン、マサレアル、ドライマンゴー、コーヒーです。
- 合計:6分野
工芸・製造業
ギター、靴、ハブロン、家具です。
- 合計:4分野
6+4=10分野です。セブで作られているものは、食品だけではありません。次のような分野まで含みます。
- 音楽
- 履物
- 織物
- 家具
どこで買う?
生産地
- ラプラプの工房
- リロアンのTitay’s
- アルガオのベーカリー・織物施設
- カルカルの公設市場・Shoe Expo
- マンダウエの工場直売店
- トゥブランのコーヒー農園
作り手と製造地を最も確認しやすい方法です。
セブ市のモール
- SM City Cebu
- Ayala Center Cebu
- SM Seaside City Cebu
などでは、DTI Trade FairやOTOP販売が行われます。移動しやすい一方、生産地を直接見られるとは限りません。
空港
持ち帰りやすい包装食品を買えます。しかし、空港で販売されていることは、セブ製の証明ではありません。製造者の住所を確認します。
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パッケージで確認する7項目
食品を買うときは、パッケージ裏面の次の7項目を見ます。
- 商品名
- 製造者
- 製造者の住所
- 内容量
- 原材料
- 製造日・賞味期限
- FDA登録情報
特に重要なのは製造者の住所です。販売代理店や販売会社の住所だけでなく、どこで製造・加工したかを確認します。
手作り品で確認する6項目
ギター、靴、ハブロン、家具では、次の6項目を確認します。
- 工房の場所
- 作り手・織り手・弦楽器職人
- 主な素材
- 製作工程
- 製作期間
- 修理・アフターサービスの対応
「ハンドメイド」というシールだけでは判断しません。実際の工房と作り手を確認できる商品を優先します。
「セブ産」10分野のデータ
| 項目 | 2026年8月現在 |
|---|---|
| 紹介する産業 | 10分野 |
| 食品・飲み物 | 6分野 |
| 工芸・製造業 | 4分野 |
| DTI Sinulog Fiesta Fair | 第20回 |
| 2026年の出展者 | 29の出展者 |
| セブからの出展 | 26の出展者 |
| New Susing’sの創業 | 1949年 |
| Titay’sの創業 | 1907年 |
| Titay’sの歴史 | 119年 |
| Titay’s新工場の敷地 | 1.3ha |
| Titay’sの計画雇用 | 最大250人 |
| Didang’sの元祖レシピ | 1912年 |
| マサレアルの歴史 | 114年 |
| Tuburan Coffee | 3,000ha超 |
| コーヒー生産バランガイ | 29 |
| 関わる農家 | 2,000人超 |
| アルガオの手織り機 | 20台 |
| ハブロンの事業費 | ₱825,000 |
| CFIF設立 | 1974年 |
| 家具産業団体の歴史 | 52年 |
| Kenneth Cobonpueのネットワーク | 15か国超・80都市 |
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今日分かったこと
セブで買ったから「セブ産」というわけではありません。本当に確認するべきなのは、どこで生まれたか、どこで作られたか、誰が作ったかです。
- ラプラプでは、1949年から続くギター工房
- リロアンでは、1907年から続くロスキーヨス
- マンダウエでは、1912年から続くマサレアル
- カルカルでは、チチャロンと靴
- アルガオでは、トルタとハブロン
トゥブランでは、3,000ha超・29のバランガイ・2,000人超の農家につながるコーヒー、メトロセブでは、1974年から続く家具産業があります。
セブは、ビーチとリゾートだけの島ではありません。次のようなものを、今も作り続けている島です。
- 食品
- 音楽
- 靴
- 織物
- 家具
商品棚では見えない工場、工房、農園、ベーカリーまで確かめると、「何を買ったか」だけでなく、誰の仕事を持ち帰るのかを考えることができます。
情報確認日:2026年8月27日。出典:DTI Sinulog Fiesta Fair 2026・Cebu Provincial Government・Titay’s公式・Cebu Furniture Industries Foundation・DTI・PIA Cebu Craft Report




