要点
SRPの土地は、一つの会社が地区全体を所有・開発しているわけではありません。Cebu Cityが関わる土地の中に、民間へ売却された区画、市と企業が共同開発する区画、長期の土地利用契約で事業を行う区画が混在しています。Filinvest関連地でも購入地と共同開発地は分かれ、South Coast Cityの企業間共同開発とKawit Pointの市・UHRI間の契約も同じ仕組みではありません。本記事では、公表された取引と事業関係を整理し、個々の土地の最新登記名義とは区別して説明します。
「市の土地」「Developerの街」は、何を指している?

SRPの所有関係を読む出発点の一つが、2005年5月16日のProclamation No. 843です。対象地を特定したうえでCebu Cityへの所有権移転などを定めています。ただし、これは当時の土地の位置づけを示す資料であり、その後の売却や契約を反映した現在の全区画一覧ではありません。「市が造った埋立地」という説明だけで、現在も全域が市の単独所有だと判断することはできません。Proclamation No. 843
もう一つ分けたいのが、土地所有者、開発主体、施設運営者の三つです。Developerの名前は、その街区を計画・建設する企業を示していても、必ずしも全敷地の登記名義を表しているとは限りません。例えばNUSTARの公式サイトは、運営会社をUniversal Hotels and Resorts Inc.と明記していますが、それだけでKawit Pointの土地所有関係までは説明していません。施設の紹介資料と土地の契約資料は、答える範囲が異なります。NUSTAR公式の運営会社表記
売却・共同開発・賃貸はどう違う?
売却は土地の所有権を移す取引、賃貸は契約で定めた期間と条件のもとで土地を利用する仕組みです。Joint Ventureは共同で事業を行う枠組みを指し、土地の扱い、建設費の負担、収入の分配などは個別契約で決まります。そのため、「JVだから土地を半分ずつ所有する」「Developerが建物を造ったから土地も購入した」とは読み取れません。SRPでは、同じ企業名が出てきても、まず対象区画と契約方式を確認する必要があります。
Filinvestは、購入地と市との共同開発地を分ける
2009年2月の契約締結を伝えたThe Freemanは、Filinvest LandとCebu Cityの合意を二つの部分に分けて説明しています。一つは10.6haの直接購入、もう一つは40haの共同開発です。合計50.6haに関係する契約だったとしても、その全体を「Filinvestが購入した土地」と言い換えることはできません。同記事では、共同開発側について市への販売収入の分配や保証額にも触れており、土地代の支払いとは別の関係があったことが分かります。The Freeman・2009年の契約報道
Filinvest Development Corporationの2024年7月の公式紹介でも、City di Mareは58haのTownshipとされ、そのうち40haがFilinvest LandとCebu Cityの共同開発と説明されています。ここでの58haは開発地区の規模、40haは共同開発の対象範囲です。2009年の取引面積とも役割が違うため、数字だけを足し引きして現在の私有地面積を算出するのは適切ではありません。City di Mareという街の名前と、契約で区分された土地を分けて読むことが必要です。Filinvest公式・City di Mare紹介
さらに、Filinvestを中心とする企業連合には、別の19.2haの土地取引があります。SunStarは2020年1月、Cebu Cityと企業連合がこの土地の売買について合意に至り、Deed of Absolute Saleが締結されたと報じています。既存の40haのJVとは別の売買取引であり、取得経緯を分けて読む必要があります。SunStar・19.2haの売買報道
SMの取得地と、South Coast Cityの共同開発地も別
SM関連の土地も、SM Seaside側とSouth Coast City側を分ける必要があります。SM Primeが公式サイトに掲載する地元紙報道では、同社は2010年1月14日にSRPの30haを購入したと説明されています。また、同社の沿革は、この30haの埋立地における中心的な開発としてSM Seaside City Cebuを位置づけています。したがって、SMの名前が付く施設をすべて後年のSM・Ayala共同開発地に含めると、別の土地取引を混同します。SM Prime掲載の取得報道、SM Prime公式沿革
South Coast Cityにつながるのは、2015年にSM-ALI Groupが落札した約26haのLot No. 8-B-1です。当時の公表情報では、参加企業はSM Prime Holdings、Ayala Land、その関連会社Cebu Holdingsとされ、共通のマスタープランに基づいて共同開発する方針が示されています。ここでの「共同」は民間企業間の関係であり、Filinvestの40haのような市との共同開発と同じ意味ではありません。Cebu Cityを当然にこの企業連合の共同事業者として扱わないことが大切です。SM Prime掲載の2015年発表報道
2019年のSunStarも、この26haを市から企業連合へ売却された土地として説明しています。ただし、2015年当時の企業連合名は、そのまま現在の全区画の登記名義一覧にはなりません。共同開発の参加企業を知る資料と、特定区画の現在の権利者を確認する資料は分けて扱います。SunStar・企業連合の開発計画
Kawit Pointは、UHRIとの長期契約として読む
NUSTARがあるKawit Pointでは、市とUniversal Hotels and Resorts Inc.、略称UHRIの関係が中心になります。2018年3月のThe Philippine Starは、UHRIの声明を紹介し、土地を50年間賃借する計画を報じました。その後の2023年のSunStarは、Tomas Osmeña元市長の説明として、JVの期間が50年に及ぶことを伝えています。土地を売却したケースと分け、長期の土地利用を伴う共同事業として読むべき区画です。The Philippine Star・UHRIの計画、SunStar・2023年の説明
市が受け取る対価については、報道で「利益」「売上」「賃貸収入」という異なる表現が登場します。これらは同じ計算対象ではなく、単純に「NUSTARの利益の何%が市の取り分」と置き換えると誤解が生まれます。本記事では締結済み契約全文とその後の変更条項を確認できていないため、現在の収入分配率や満了時の資産移転条件は断定しません。運営会社がUHRIであることと、土地の契約条件は別々に確認する必要があります。
主要区画を契約の違いで整理
| 対象 | 公表資料で確認できる関係 | 面積・資料の時点 |
|---|---|---|
| Filinvestの初期購入地 | 市からの直接購入として報道 | 10.6ha・2009年 |
| City di MareのJV部分 | Cebu CityとFilinvest Landの共同開発 | 40ha・2024年公式紹介 |
| Filinvest中心の企業連合の別区画 | 市との売買取引 | 19.2ha・2020年の売買報道 |
| SM Seaside側の取得地 | SM Primeによる購入 | 30ha・2010年の取引 |
| South Coast Cityにつながる区画 | 市からの売却、民間企業間の共同開発 | 約26ha・2015年落札 |
| Kawit Point | 市とUHRIの長期契約・JV | 50年との公表説明。面積はここでは統一しない |
表は本文で引用した資料に基づく主要な取引・事業関係の一覧です。SRP全筆の登記簿一覧ではなく、開発区画の境界や現在の名義人を網羅するものでもありません。特にTownship全体の面積と、その中のJV対象面積を重ねて合計しないことが重要です。
Cebu Cityが関わる土地は、現在も区画ごとの確認が必要
市有地とJV対象地の区別は、過去の取引だけの問題ではありません。2026年5月のThe Freemanは、SRPのCBRT道路計画に関する市議会審議を報じ、その計画がJV対象地と市有地の双方に関わると説明しています。これは、公共交通の整備でも土地ごとに関係者との調整が必要になる例です。SRPを一枚の土地として捉えるだけでは、誰と協議すべきかも分かりません。The Freeman・2026年の市議会審議
現在の市有地の残存面積を求める場合も、「約300haから有名Developerの面積を引く」という方法では正確な数字になりません。公表面積の範囲や時点がそろっておらず、共同開発地も単純な売却地とは扱いが異なるためです。SRPの所有・開発関係は、街のブランド名、対象区画、契約当事者、契約方式を順に分けると理解できます。その区別こそが、同じSRPに複数のDeveloperとCebu Cityが関わり続ける理由です。
よくある質問
City di Mareの58haは、すべてFilinvestの単独所有地ですか?
58haという公式のTownship面積だけでは、そのようには判断できません。Filinvestの2024年の公式紹介では、40haをCebu Cityとの共同開発と説明しています。開発地区の総面積と土地の権利区分は別の情報です。
NUSTARの土地はUHRIに売却されたのですか?
確認した公表情報では、50年の土地利用を伴う市とUHRIの共同事業として説明されています。NUSTARの運営会社がUHRIであることだけを根拠に、土地も売却済みとは判断できません。細かな権利や満了条件は締結契約と変更条項で確認する必要があります。
この一覧で、特定区画の現在の所有者を確定できますか?
この一覧が示すのは、公表された主要取引と開発関係です。特定区画の最新名義を確定するには、その土地を特定した登記資料との照合が必要です。施設名、企業連合名、開発ブランド名のいずれも、単独で現在の登記名義を証明するものではありません。
情報確認日:2026年9月7日。面積・契約の説明は各公表資料の対象範囲と時点に基づきます。
写真:上空から見たSRP(撮影:Marmar0222/CC BY-SA 4.0)。Wikimedia Commonsより、トリミング・縮小して使用