こんにちは、ナビセブ編集部の谷口まりです。親子でセブに移住しました。観光とグルメの記事を担当しています。
セブ島とネグロス島の間には、タニョン海峡(Tañon Strait)が広がっています。地図で見ると、二つの島に挟まれた細長い海峡ですが、単なる船の通り道ではありません。
ナビセブ編集部のまとめ

534,589haを42の自治体と6つの管理区で管理
セブ島とネグロス島の間に広がるタニョン海峡

フィリピン中部の海で観察されたハシナガイルカ
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タニョン海峡とはどんな海か

タニョン海峡は、フィリピン最大の海洋保護区です。クジラとイルカの生息環境であり、約52,000人の漁業者を支える漁場であり、ビサヤ海とボホール海をつなぐ海の回廊でもあります。
全長は約160km、公式に掲載されている面積は534,589haです。最も広い部分は約27km、南部の最も狭い部分は約5kmです。
2026年のDENR-7のデータでは、マングローブ27種、海草11種、サンゴ43属、サンゴ礁の魚459種、少なくとも13種のクジラ・イルカが記録されています。
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534,589haを42の自治体と6つの管理区で管理

タニョン海峡保護海域の現在のデータです。
保護区指定:1998年5月27日
根拠:大統領布告No. 1234
公式掲載面積:534,589ha
全長:約160km
最大幅:約27km
最小幅:約5km
周辺の自治体(LGU):42市・町
海沿いのバランガイ:306
- 管理区:6
- 調査地点:38
- 管理計画:2026〜2035
面積の534,589haを平方キロメートルに直すと、1km²=100haなので、534,589 ÷ 100 = 5,345.89km²です。タニョン海峡は、セブ州、ネグロス・オクシデンタル州、ネグロス・オリエンタル州の3州にまたがっています。一つの自治体が管理する海洋保護区とは規模が違います。
別の記事で紹介したギルトンガン島の海洋保護区は14.89ha、タニョン海峡は534,589haです。単純に比べると、534,589 ÷ 14.89 = 約35,903倍です。フィリピン最大の海洋保護区であるタニョン海峡は、1998年5月27日に大統領布告No. 1234によって保護海域に指定されました。
2026年5月27日で、2026 − 1998= 28年になります。2018年には、共和国法No. 11038(Expanded NIPAS Act)によって保護制度が強化されました。
タニョン海峡は全域が保護海域で、クジラ、イルカ、ネズミイルカなどの鯨類は、国と地域の法律によって保護されています。
タニョン海峡の全長は約160kmで、北側のビサヤ海から南側のボホール海へつながっています。最大幅は約27km、南端の最小幅は約5kmです。最大幅と最小幅の差は、27 − 5= 22kmです。南へ行くほど海峡が狭くなるため、潮の流れ、船の混雑、鯨類の移動を、一つの地点だけで判断することはできません。
タニョン海峡保護海域を囲むのは、42の市・町と、306の海沿いのバランガイです。1自治体あたりの海沿いのバランガイを単純計算すると、306 ÷ 42 = 約7.3バランガイです。
しかし、海岸線の長さ、人口、漁業による負荷、観光、産業は、自治体ごとに異なります。そのためTSPSは、全域を一つの事務所だけで管理するのではなく、6つの管理区に分けています。
2026年の管理体制では、38の調査地点で調査を行っています。対象は、水質、鯨類の個体数、マングローブ、海草藻場、サンゴ礁、魚類、鳥類です。
保護区に指定するだけでは、環境の変化は分かりません。同じ地点で継続的にデータを取り、水質が悪化していないか、サンゴが減っていないか、魚に変化がないか、クジラやイルカがこの海を利用しているかを確認する必要があります。
タニョン海峡保護海域では、保護区管理計画2026–2035を使っています。期間は2035 − 2026+1 = 10年間です。
この計画をもとに、海の保全、漁業管理、観光、パトロール、調査研究、地域コミュニティに関わる取り組みを進めます。2026年から、新しい10年間の管理サイクルに入っています。
2026年6月にDENR-7が公表した最新データでは、タニョン海峡で記録されているマングローブは27種です。マングローブは、幼魚、カニ、エビ、鳥などの生息環境になります。
同時に、海岸の侵食、波、高潮、ブルーカーボンにも関係します。海峡の中央にいるイルカだけでなく、両岸のマングローブもタニョン海峡の生態系の一部です。
海草は11種が記録されています。海草藻場は、魚、ウミガメ、無脊椎動物などが利用します。海草は海底に根を張ることで堆積物を安定させ、炭素も蓄えます。マングローブ、海草藻場、サンゴ礁は、別々の観光資源ではありません。海岸から沖へ連続する一つの生態系です。
タニョン海峡で記録されているサンゴは43属、サンゴ礁の魚は459種、大型無脊椎動物は233種です。
大型無脊椎動物には、軟体動物、カニ、エビ、ナマコ、ウニなど、背骨を持たず肉眼で確認できる海の動物が含まれます。サンゴ礁は、魚を見るための背景ではありません。
459種のサンゴ礁の魚や、233種の大型無脊椎動物を支える生息環境です。
2026年のDENR-7のデータでは、タニョン海峡で確認されるクジラ・イルカは少なくとも13種です。過去の文献をまとめた、海洋哺乳類の生息域に関する国際的なデータでは、14種の鯨類が報告されています。一方、2014年以降の近年の調査で確認されたハクジラ類は8種です。
数字の違いは、累積の記録、調査期間、調査方法、対象とする種類が異なるためです。この記事では、最新のDENR-7の発表を基準に、少なくとも13種とします。同じ国際的なデータで、近年の調査により確認された8種は、ミナミハンドウイルカ、ハシナガイルカ、ハナゴンドウ、コビレゴンドウ、オガワコマッコウ、カズハゴンドウ、オキゴンドウ、マダライルカです。
過去の研究では、ハンドウイルカ、サラワクイルカ、ユメゴンドウ、アカボウクジラ類なども報告されています。
2006年の研究では、タニョン海峡のハシナガイルカの個体数を約3,500頭と推定しています。
2026年4月26日〜5月6日には、DENR-TSPSとSilliman Universityが鯨類調査を実施しました。調査期間は4月26日〜5月6日の11日間です。
この2026年の調査では5種の鯨類が記録され、ハシナガイルカが最も多く確認されました。約3,500頭という数字は2006年の推定個体数であり、2026年の調査で確認された個体数ではありません。
タニョン海峡でニタリクジラが初めて記録されたのは、2021年5月です。場所は、ネグロス・オリエンタル州側のVallehermoso沖でした。
打ち上げの記録や過去の資料ではなく、生きたニタリクジラをタニョン海峡の中で記録した重要な観察です。タニョン海峡は、イルカだけの生息環境ではありません。大型のクジラが移動する海の回廊でもあります。
2026年のDENR-7のデータでは、登録漁業者は約16,000人、小規模漁業者は約36,000人です。合計16,000+36,000 = 約52,000人が、タニョン海峡の漁業に関わっています。さらに、タニョン海峡の生態系サービスに頼っている資源利用者は、約240万人と推定されています。
海の保全は、野生生物だけの問題ではありません。食べ物、収入、地域コミュニティにも直接関係します。タニョン海峡では2005年、Japan Petroleum Exploration Co.(石油資源開発)が、サービス契約No. 46に基づいて、地震探査と試掘を行いました。
これに対し、漁業者や環境保護団体が訴訟を起こしました。特徴的だったのは、タニョン海峡に生息するクジラ、イルカ、ネズミイルカなどを、人間の後見人(Stewards)が代理する形で訴えたことです。
事件名は「Resident Marine Mammals of the Protected Seascape Tañon Strait v. Reyes」で、最高裁の判断は2015年4月21日です。最高裁は、サービス契約No. 46を無効と判断しました。保護区内での石油探査について、憲法や環境関連の法律に反するとした重要な判断です。
この裁判は、自然を守るために、フィリピンの市民が後見人(Steward)として行動できることも示しました。フィリピンの海洋野生生物観光のガイドラインでは、ボートから観察する場合の距離を、イルカは最低50m、クジラは最低100mとしています。
さらに、追いかけない、進行方向をふさがない、群れを囲まない、母親と子どもの間に入らない、急加速しない、餌を与えない、水中に入らない、が基本です。イルカがボートに近づいてきた場合は、ボート側からさらに接近せず、速度を落とします。野生のイルカは、ショーの時間に合わせて現れるわけではありません。
ツアー事業者が「100%見られる」「必ず近くまで行ける」「一緒に泳げる」と説明する場合は、海洋野生生物観光として注意が必要です。イルカを見つけるためにボートが追跡を繰り返せば、休息、採餌、移動、仲間との交流などの行動を妨げる可能性があります。
イルカを見られなくても、失敗ではありません。見られなかった場合も、距離と時間を守った結果であれば、責任あるツアーです。
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👨💻 ナビセブ編集部
ナビセブ編集部の結論
タニョン海峡は全長約160km、面積534,589haの、フィリピン最大の海洋保護区です。
42の市・町と6つの管理区で管理され、クジラ・イルカの生息環境であると同時に、約52,000人の漁業を支える漁場でもあります。
イルカを見るためだけの海ではなく、野生生物、漁業、海運、観光、地域コミュニティが同じ海を使っていることを知っておきましょう。
今日分かったこと
タニョン海峡保護海域は、全長約160km、面積534,589haの、フィリピン最大の海洋保護区です。42の市・町、306の海沿いのバランガイ、6つの管理区、38の調査地点によって管理されています。2026年のDENR-7のデータでは、マングローブ27種、海草11種、サンゴ43属、大型無脊椎動物233種、サンゴ礁の魚459種、少なくとも13種のクジラ・イルカが記録されています。
さらに、約16,000人の登録漁業者と約36,000人の小規模漁業者、合計約52,000人の漁業を支えています。タニョン海峡は、イルカを見るためだけの海ではありません。
野生生物、漁業、海運、観光、産業、地域コミュニティが、同じ5,345.89km²の海を利用しています。だから必要なのは、イルカに近づくことではなく、50m、100mという距離を守り、52,000人の暮らしと13種の鯨類が共存できる海を残すことです。
これが、タニョン海峡を保護海域として見る意味です。情報基準日:2026年8月28日
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タニョン海峡の主なデータ
| 項目 | 数字・内容 |
|---|---|
| 2026年8月現在 | 保護区指定 |
| 1998年5月27日 | 根拠 |
| 大統領布告No. 1234 | 保護期間 |
| 28年 | 公式掲載面積 |
| 534,589ha | km²換算 |
| 5,345.89km² | 全長 |
| 約160km | 最大幅 |
| 約27km | 最小幅 |
| 約5km | 州 |
| 3 | 市/町 |
| 42 | 海沿いバランガイ |
| 306 | 管理区 |
| 6 | 調査地点 |
| 38 | 管理計画 |
| 2026〜2035 | マングローブの種数 |
| 27種 | 海草の種数 |
| 11種 | サンゴ属 |
| 43 | 大型無脊椎動物の種数 |
| 233種 | サンゴ礁の魚の種数 |
| 459種 | クジラ・イルカ |
| 少なくとも13種 | 2026年の調査で確認された種数 |
| 5種 | ハシナガイルカ(過去の推定) |
| 約3,500頭 | 登録漁業者 |
| 約16,000人 | 小規模漁業者 |
| 約36,000人 | 漁業者合計 |
| 約52,000人 | 資源利用者 |
| 約240万人 | イルカ観察距離 |
| 最低50m | クジラ観察距離 |

