こんにちは、ナビセブ編集部の谷口まりです。親子でセブに移住しました。観光とグルメの記事を担当しています。
セブの自然というと、ビーチ、サンゴ礁、ジンベエザメ、滝を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、セブで生活するうえで最も重要な自然の一つは、島の中央部に残る森と流域です。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法律 | 共和国法No. 9486 |
| 法律成立 | 2007年6月7日 |
| 法定面積 | 29,062ha=290.62km² |
| 区画A | 28,452ha |
| 区画B | 610ha |
| 構成地域 | 5 |
| 対象市 | 4 |
| 対象町 | 5 |
| 対象LGUの合計 | 9 |
| 重要生物多様性地域の面積 | 29,224ha |
セブ島中央部の保護森林
ブヒサン周辺を含むセブ島中央部の森林

マナンガ川と流域の景観

関連記事海の生き物を守る禁漁区|セブ島沖Gilutongan Islandの14.89ヘクタール
スドロン国立公園を含むセブ島中央部の山地景観

コトコト・ルサラン流域に位置するルサランの山地

セブ島中央保護景観とは
セブ市、タリサイ、トレド、ダナオなどの山間部には、Central Cebu Protected Landscape(セブ島中央保護景観)があります。法定面積は29,062ha、対象地域は4市+5町、構成地域は5つの流域/国立公園です。セブ島中央保護景観は、観光客向けに造られた一つの公園ではありません。水供給、森、川、野生生物、生物多様性を広域で守る保護景観です。
関連記事セブ・マクタン島沖で野鳥を観察する|オランゴ島野鳥保護区の見どころと入場料
29,062haを5つの保護地域から構成
セブ島中央保護景観は、共和国法No. 9486によって設置された恒久的な保護地域です。法律の成立は2007年6月7日、法定面積は29,062haです。
- 構成地域
流域森林保護区と国立公園の5地域 - 対象LGU
4市+5町の9自治体
5つの構成地域は、ブヒサン流域森林保護区、マナンガ流域森林保護区、スドロン国立公園、セブ島中央国立公園、コトコト・ルサラン流域森林保護区です。一つの森林保護区ではなく、それまで個別に指定されていた5地域を、セブ島中央保護景観として統合しています。
29,062ha=290.62km²
1km²=100haなので、29,062 ÷ 100 = 290.62km²です。㎡に換算すると、29,062 × 10,000 = 290,620,000㎡です。
ただし、この290.62km²すべてが連続した原生林という意味ではありません。セブ島中央保護景観の内部には、森、流域、川、貯水池、農地、集落、道、既存の施設などがあります。だからこそ、一律に立入禁止にするのではなく、保護ゾーンや多目的利用ゾーンなどに分けて管理します。
対象は4市+5町
セブ島中央保護景観は、セブ島中央部の9つのLGU(自治体)にまたがっています。
4市:セブ市、タリサイ市、トレド市、ダナオ市
5町:ミングラニージャ、コンソラシオン、リロアン、コンポステラ、バランバン
合計:4+5 = 9自治体
セブ市だけの森林ではありません。東海岸、中央山地、西側、北東部にまたがる広域の保護景観です。
5つの保護地域を一つに統合
共和国法No. 9486が統合したのは、次の5地域です。
①ブヒサン流域森林保護区
セブ市南西部にある流域です。ブヒサンダムと周辺の森林は、セブの初期の水道施設と深く関係しています。
②マナンガ流域森林保護区
タリサイ市から中央山地側へ広がるマナンガ川流域を含みます。水供給だけでなく、洪水、土壌侵食、堆積物にも関係する流域です。
③スドロン国立公園
セブ市の山間部に位置します。スドロン国立公園は、1936年4月11日に布告No. 56で設置されました。当初の面積は696haです。
④セブ島中央国立公園
設置:1937年9月15日
根拠:布告No. 202
当初面積:15,393.58ha
その後、1971年3月27日の布告No. 835-Aにより、11,894haへ変更されています。
⑤コトコト・ルサラン流域森林保護区
設置:1992年6月29日
根拠:布告No. 932
面積:14,534ha
これら5地域をまとめた法定保護地域が、29,062haのセブ島中央保護景観です。
各地域の面積を単純に足して29,062haになるわけではありません。指定範囲には重なりがあり、セブ島中央保護景観は、法律に記載された区画Aと区画Bを合わせた境界で定められています。
区画A+区画B
セブ島中央保護景観の法定面積は、2つの区画から構成されます。
区画A:28,452ha
区画B:610ha
合計:28,452+610 = 29,062ha
区画Bは、マナンガ流域森林保護区に関係するエリアです。この2区画を法的に統合した面積が29,062haです。
重要生物多様性地域では29,224ha
セブ島中央部は、重要生物多様性地域(Key Biodiversity Area)としても登録されています。重要生物多様性地域の概要資料に掲載されている面積は29,224ha、標高は100〜980mです。
法律上のセブ島中央保護景観:29,062ha
重要生物多様性地域の境界:29,224ha
差:29,224 − 29,062 = 162ha
これは数字の間違いではありません。共和国法No. 9486が定める法定保護地域の境界と、生物多様性を評価する重要生物多様性地域の境界では、設定方法が異なるためです。法律上の面積を説明するときは29,062ha、重要生物多様性地域としての範囲を説明するときは29,224haを使います。
重要生物多様性地域の67%が森
重要生物多様性地域の概要資料では、セブ島中央部の重要生物多様性地域の生息環境を、森:67%、人工的な陸域:33%としています。
合計は67+33 = 100%です。29,224haすべてが森ではありません。重要生物多様性地域の約3分の1には、人が利用・改変した陸域が含まれます。だからセブ島中央部では、「森が残っているか」だけでなく、分断された森をどうつなぎ、残された生息環境をどう守るかが重要になります。
流域は水を受け止めるエリア
流域は、雨水が同じ川や貯水池へ集まる範囲です。森に雨が降ると、水は葉、根、土壌、小さな沢、川、貯水池へと移動します。森林が残っていれば、雨水が地面へ浸透しやすくなります。一方、土地の転用や道路工事が増えると、地表を流れる水、土壌侵食、堆積、洪水のリスクが増える可能性があります。
流域の保全は、山の中だけの問題ではありません。下流の水供給や洪水にもつながっています。
セブは海だけを守ればよいわけではない
山から流れ出た土砂やごみは、川を通って海へ届きます。
森が失われ、土壌侵食が増えると、川、海岸、海草の藻場、サンゴ礁にも影響します。つまり、森、川、マングローブ、海草の藻場、サンゴ礁は、別々の環境問題ではありません。山から海まで一つにつながっています。セブのサンゴ礁を守るには、海の中での行動だけでなく、流域の状態も重要です。
セブ島中央保護景観には一つの入口がない
セブ島中央保護景観は、一つの門から入る観光施設ではありません。
統一された営業時間、入場料、ビジターセンター、ツアールートはありません。訪問する場所によって、LGU、バランガイ、DENR、保護地域管理委員会、私有地の所有者、ツアー事業者など、管理する主体が異なります。
セブ島中央保護景観内で調査、商業撮影、団体でのアクティビティ、資源の採取などを行う場合は、内容に応じた許可が必要です。
道路から景色が見えることと、森林内へ自由に入れることは同じではありません。
管理するのは保護地域管理委員会
セブ島中央保護景観を管理する中心組織は、保護地域管理委員会(Protected Area Management Board)です。
共和国法No. 9486では、保護地域管理委員会に次の権限を与えています。
・管理計画の承認
・規則と規制の制定
・許可基準の設定
・各種料金の承認
・調査申請の審査
・違反行為への対応
・セブ島中央保護景観基金の管理
・DENRへの方針提案
委員の任期は5年です。
また、保護地域管理委員会の委員の少なくとも50%を女性とすることが、法律に記載されています。
収入の75%はセブ島中央保護景観基金へ
共和国法No. 9486は、セブ島中央保護景観から生じる収入の配分も定めています。
セブ島中央保護景観基金:75%
統合型保護地域基金:25%
合計:75+25 = 100%
仮に対象となる収入が₱100なら、セブ島中央保護景観基金に₱75、統合型保護地域基金に₱25です。₱1,000なら、セブ島中央保護景観基金に₱750、統合型保護地域基金に₱250です。
収入源には、訪問者料金、観光客料金、許可料金、観光売店、商業用の水利用に関する料金、寄付などが含まれます。セブ島中央保護景観基金は、保護地域の保護、維持、管理、承認されたプロジェクトに使われます。
何をしてはいけない?
共和国法No. 9486では、許可なく行う次の行為などを禁止しています。
・野生生物を捕獲・採取・妨害する
・植物、砂、岩を持ち帰る
・木材や林産物を採取する
・絶滅危惧種を捕獲・破壊する
・採石を行う
・鉱物探査を行う
・無許可でチェーンソーを所持する
・生分解しないごみを捨てる
・有害な化学物質を投棄する
・焼畑や森林火災を起こす
・境界標や標識を壊す
・自然の地形や史跡を破壊する
・爆発物を所持・使用する
・許可なく建造物を設置する
自然の中にある植物、岩、昆虫、貝、野生生物は、おみやげではありません。その場に残します。
違反には₱5,000〜₱500,000
セブ島中央保護景観のルールや管理計画に違反した場合など、法律が定める罰則は、罰金が₱5,000〜₱500,000、拘禁刑が1年〜6年です。
また、規則に違反した既存の施設には、1件につき₱5,000の罰金を科すことができます。罰金の累計が₱500,000に達した場合、セブ島中央保護景観の管理委員会は施設の停止・撤去を実施できると定められています。保護景観は、名称だけの自然公園ではありません。法律上のルールと罰則を持つエリアです。
再生可能エネルギーにも上限がある
セブ島中央保護景観では、再生不可能な資源の開発・利用は認められていません。風、太陽光、水を利用する再生可能エネルギーのプロジェクトについても、法律上の条件があります。
容量の上限は1MW以下です。さらに、厳正保護ゾーンの外であること、影響の少ない技術を採用すること、環境影響評価を受けること、保護地域管理委員会の推薦を得ることが必要です。再生可能エネルギーであれば、保護地域内に自由に設置できるわけではありません。
旅行者が守る5つのこと
セブ島中央部の山間部を訪れる場合は、次の5点を守ります。
- ①指定された登山道、遊歩道、観覧エリアから外れない。
- ②植物、岩、野生生物を持ち帰らない。
- ③プラスチック、たばこ、食べ物のごみを残さない。
- ④私有地の施設や立入制限エリアへ無断で入らない。
- ⑤ドローン、商用撮影、団体でのアクティビティは、管理者の許可を確認する。
景色が見える場所でも、すべてが一般の観光スポットとは限りません。
関連記事フィリピン唯一の二重堡礁Danajon Bank(ダナジョンバンク)を知る|セブ島北部沖に40の島が点在する海域
今日分かったこと
セブ島中央保護景観は、法定面積29,062ha(km²に換算すると290.62km²)、対象は4市+5町=9自治体です。ブヒサン流域森林保護区、マナンガ流域森林保護区、スドロン国立公園、セブ島中央国立公園、コトコト・ルサラン流域森林保護区の5地域を統合し、2007年6月7日に共和国法No. 9486によって恒久的な保護地域になりました。
この場所に、一つの入口や統一された入場料はありません。セブ島中央保護景観は観光施設ではなく、水、森、川、野生生物、生物多様性を広域で管理する保護景観だからです。
セブの自然は、ビーチから始まるわけではありません。山に降った雨が川を流れ、海岸へ届き、マングローブやサンゴ礁へつながります。セブの海を守るには、29,062haの中央山地も守らなければなりません。これが、セブ島中央保護景観を知る一番大きな意味です。
情報基準日:2026年8月28日
関連記事セブの自然保護区6か所|干潟・森林・海洋保護区を規模で比べる
この記事の数字まとめ
| 項目 | 数字・内容 |
|---|---|
| 法律 | 共和国法No. 9486 |
| 法律成立 | 2007年6月7日 |
| 法定面積 | 29,062ha=290.62km² |
| 区画A | 28,452ha |
| 区画B | 610ha |
| 構成地域 | 5 |
| 対象市 | 4 |
| 対象町 | 5 |
| 対象LGUの合計 | 9 |
| 重要生物多様性地域の面積 | 29,224ha |
| 法定面積との差 | 162ha |
| 標高 | 100〜980m |
| 重要生物多様性地域のうち森 | 67% |
| 重要生物多様性地域のうち人工的な陸域 | 33% |
| 保護地域管理委員会の委員の任期 | 5年 |
| 保護地域管理委員会の女性比率 | 最低50% |
| セブ島中央保護景観基金への配分 | 75% |
| 統合型保護地域基金への配分 | 25% |
| 再生可能エネルギーの容量上限 | 1MW以下 |
| 罰金 | ₱5,000〜₱500,000 |
| 拘禁刑 | 1年〜6年 |

