こんにちは、ナビセブ編集部です。セブで飲めるのはエチオピア、コロンビア、ブラジルなど海外のコーヒーだけではありません。フィリピン産もあり、「フィリピンのコーヒーといえばバラコ」とだけ考えると、その幅を見落としてしまいます。
アラビカ、ロブスタ、リベリカ、エクセルサと種類があり、Benguet、Mt. Apo、Bukidnon、Sagada、Mt. Kitanglad、Tuburanなど産地も異なります。2026年のスペシャルティコーヒーガイドでは、Benguet、Sagada、Sultan Kudarat、Mt. Apoなどの国内産地が、エチオピアやコロンビアの豆と並んで扱われるようになったと紹介されています。
結論
高地のアラビカなら主要産地、セブ産ならトゥブラン。その次にロットを見る

大まかには、ベンゲットは高地アラビカの代表例、アポ山は高標高アラビカとGesha、ブキドノンはアラビカからリベリカまでの多様さ、トゥブランはセブ島内で拡大中の生産地として見られます。ただし味は産地名だけで決まらず、品種、標高、精製、焙煎、抽出で変わります。
フィリピン産はバラコだけではない

農務省のコーヒー産業ロードマップは、商業栽培される主要なコーヒーとしてアラビカ、ロブスタ、エクセルサ、リベリカの4つを挙げています。フィリピン産全体を考えるときは、まずこの多様さが出発点です。
| 種類 | 生産量に占める割合 |
|---|---|
| ロブスタ | 76.5% |
| アラビカ | 16.7% |
生産全体ではロブスタがアラビカより多い一方、スペシャルティ店では高地アラビカや特殊な精製のロットが目立ちます。店頭での印象と、国全体の生産構成は同じではありません。
バラコは一般にリベリカとして知られ、農務省もリベリカをKapeng バラコと説明しています。しかし生産全体ではリベリカは少数です。バラコだけでフィリピン産コーヒーを説明するのは、かなり狭い見方になります。
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産地名の次に、品種・標高・精製を見る

「ベンゲットは酸っぱい」「アポ山はチョコレート」「ブキドノンは甘い」と産地の味を固定するのは避けたいところです。同じ産地でも品種、標高、精製、焙煎で変わるため、ここでは実際に紹介されているロットの条件を比べます。
| 産地・販売例 | 品種と標高 | 精製・焙煎など |
|---|---|---|
| Benguet/Good Cup Agnep Catimor | Catimor、1,620m | Anaerobic Dry Fermentation。フィルター向け焙煎 |
| Sagada/Bo’s | 100%アラビカ。Typica/赤 Bourbon、1,300~1,400m | 中煎り。精製方法は要確認 |
| Mt. Apo/Bo’s | 100%アラビカ。Catimor、約1,500m | 中煎り。精製と焙煎は別の項目 |
| Mt. Apo/Good Cup Acu コーヒー | Gesha、ロットの標高1,737m | Cold 部屋ハニー。実験的な精製、フィルター向け焙煎 |
| Bukidnon/Good Cup | Catimor、リベリカなど。紹介例は約400~1,700m | Inhandigはウォッシュトとナチュラルで比較可能 |
| Tuburan/Tuburan コーヒー | アラビカ、ロブスタなど。標高は地域別 | 地元での加工・焙煎。個別ロットを確認 |
同じMt. Apoでも、Bo’sのCatimor・中煎りと、Good CupのGesha・実験的精製・フィルター向け焙煎は別のコーヒーです。産地の次に品種とロット条件まで見ることが、違いを理解する近道です。
ベンゲット|高地アラビカの代表的な産地
フィリピン北部コルディリェラのベンゲット(Benguet)は高地コーヒーで知られます。Good Cupが2026年に扱うAgnep Catimorは、嫌気性ドライ発酵とフィルター向け焙煎のロットです。昔ながらの山のコーヒーだけでなく、嫌気性発酵、浅いフィルター焙煎、農園・生産者名まで示す作り方や売り方が広がっています。
サガダ|販売ロットの風味表現を見る
Bo’sのSagada シングルオリジンは、Typica/赤 Bourbonの100%アラビカで、中煎りの商品です。公式の風味表現にはSweet、Nutty、Chocolate、新鮮な Tobacco、つまり甘さ、ナッツ、チョコレート、生のタバコの葉を思わせる要素が挙げられています。これはサガダ全体の味を断定するものではなく、販売ロットの説明です。
アポ山|高地のアラビカから希少なGeshaまで
フィリピン最高峰のアポ山(Mt. Apo)は、コーヒーでも重要な産地です。Bo’sはCatimorのシングルオリジンを扱い、2026年のGood CupにはAcu コーヒーのGeshaも登場しています。同じ産地名の中に、日常向けから希少ロットまで幅があります。
Acu コーヒー|TinapaiのGesha農園
Good Cupは2026年4月、Acu コーヒーをフィリピン初のGeshaコーヒー農園として紹介しました。農園はMt. Apo山麓のTinapaiにあり、標高は約1,700mと説明されています。
Acu コーヒー Gesha Cold 部屋ハニーの生産者はAcuii Sicayangで、品種はGesha、ロットに示された標高は1,737mです。農園全体の「約1,700m」という説明と、個別ロットの値を分けて読みます。フィリピン産なら安いという見方だけでは捉えられない例です。
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Bo’sは、同じブランドで産地を比べる入口

セブでフィリピン産を試す入口として、私はBo’sとGood Cupが分かりやすいと思います。Bo’sは同じブランド内で複数の産地を比較しやすく、Good Cupは農園、生産者、精製、焙煎まで細かく見やすいという違いがあります。
Bo’s Coffee|複数のフィリピン産地を扱う
セブ発祥のBo’s Coffeeは、Benguet、Sagada、Mt. Kitanglad、Mt. Matutum、Mt. Apoなどの豆を調達していると公式に説明しています。2026年9月時点のオンラインストアでは、Ampucao, Benguetが₱530で販売されており、フィリピン産の比較に入る分かりやすい入口です。
ブキドノンは高地アラビカだけではない

ブキドノン(Bukidnon)はミンダナオ北部の高地です。2026年2月のフィリピン Council for Agriculture and Fisheriesでは、「アラビカ Capital of the フィリピン」、さらに将来は「コーヒー Capital」として位置付ける構想が議論されています。アラビカだけでなくロブスタ、リベリカ、エクセルサを含む4種類を育てられる可能性が理由の一つです。
ブキドノン|産地内の多様さに注目する
同じブキドノンでも、Inhandig Catimor、Boy Javier リベリカ、Finca de GarcesのEthiopian Geneticsなど、異なる豆があります。産地を確かめた次に品種を見ることで、高地アラビカだけではない地域の幅が分かります。
Inhandig Catimor|同じ豆を精製違いで比べる
2026年にGood Cupが扱うInhandig Catimorは、Malaybalay, Bukidnonのコーヒーです。生産者はAdelina Tarinoで、標高1,400~1,700m、品種はCatimorです。ウォッシュトとナチュラルの両方があり、産地、生産者、品種が近くても、精製が変わると一杯の特徴が変わることを比べられます。
Boy Javier リベリカ|バラコの見方も変わる
Good Cupが2026年に扱うBoy Javier リベリカは、Baungon, Bukidnonの標高約400mの農園によるリベリカです。Good Cupは2026年4月、「バラコは苦いコーヒー」というイメージを見直す記事も出しています。
味は種類だけで決まるのではなく、農園管理、収穫、発酵、乾燥、焙煎によって変わります。リベリカをスペシャルティとして見直す動きは、ブキドノンの面白さの一つです。
Finca de Garces|全国競技会での実績
Mt. KalatunganにあるFinca de Garcesについて、Good Cupはナチュラル Sweet コーヒーが2023 フィリピンコーヒー Quality 競争で86点を獲得し、チャンピオンになったと紹介しています。2026年も同農園のコーヒーを扱っており、フィリピンのスペシャルティを追ううえで注目したい例です。
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セブで育ち、セブで焙煎されるトゥブラン

セブの記事として大切なのが、島内のトゥブラン(Tuburan)です。「セブで買える豆」だけでなく、セブで育ったコーヒーを考える入口になります。
Tuburan コーヒー|島内の生産地を知る
- 場所:セブ島北西部
- コーヒー農家:約2,000人
- 栽培面積:336ha
- 2025年の生産量:108メートルトン
Tuburan コーヒーは2026年の公式発信で、grown and roasted in Tuburan, セブ、つまりトゥブランで育てて焙煎すると案内しています。コーヒーチェリーを作るだけでなく、焙煎まで地元で行うコーヒーです。
2026年1月にはSM City CebuやGolden Prince ホテルなどで販売ブースを展開し、2月末にはAyala Center CebuのOutdoor7でも出店していました。農園まで行かず、セブ市内で購入できる機会もあります。
農務省は2026年、ビサヤ初のコーヒー産業振興事務所をトゥブランに設置する計画です。苗床、研究、研修、技術移転も進める動きがあり、完成された昔からの名産地というより、これから大きくしていく産地と捉える方が近いと思います。
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豆の価格は容量と一緒に比べる

同じフィリピン産でも、日常の豆と希少なスペシャルティでは価格が大きく違います。ここでは2026年9月の販売例を、価格と袋の量をセットで整理します。容量が分からない商品は、単位量の価格を推測しません。
Good Cup|生産者と精製まで細かく見る
Good Cupには生産者名、標高、精製、品種、焙煎の特徴を明記するコーヒーが多くあります。フィリピン産を含むロットを深く楽しみたい人には、店名や産地だけでなく、こうした情報を見ることが参考になります。
| 販売店・商品 | 販売量 | 価格 |
|---|---|---|
| Bo’s Sagada | 250g | ₱455 |
| Bo’s Mt. Apo | 250g | ₱455 |
| Good Cup Inhandig Catimor | 200g | ₱800 |
| Good Cup Boy Javier リベリカ | 容量は要確認 | ₱950 |
| Good Cup Acu コーヒー Gesha Cold 部屋ハニー | 50g | ₱1,250 |
100g当たり価格 = 販売価格 ÷ 内容量(g) × 100
250g、200g、50gの袋は、そのまま価格だけで比べにくいため、容量が確認できる商品を100g当たりに直すと希少豆との差が分かりやすくなります。
Geshaの50g ₱1,250という例からも、「フィリピン産だから安い」とは言えなくなっています。豆の購入を考えるときは、ロットの条件と内容量をそろえて比較したいところです。
カフェでは、Do you have フィリピン single-origin coffee? と聞けば、フィリピン産シングルオリジンを探せます。続けて次の3点を聞くと、産地だけでなく品種と精製まで分かります。
| 知りたいこと | 質問 |
|---|---|
| どこの産地か | Where is it from? |
| 品種は何か | What variety is it? |
| どのように精製されたか | How is it processed? |
「バラコですか」だけで止めず、農園、品種、精製まで聞いてみると、一杯を通してフィリピンの産地の違いを楽しめます。
まとめ
フィリピン産コーヒーは一つではありません。Bo’sで産地を比べ、Good Cupで細かなロットを知り、セブ自身のトゥブランにも目を向ける。私は産地名だけで味を決めず、どこの農園で、何の品種を、どう精製したのかまで見てほしいと思います。それだけで一杯が、フィリピンの地図につながります。
情報確認日と注意事項

情報確認日:2026年9月2日。主な確認先は農務省、フィリピンコーヒー Industry Roadmap、Good Cup コーヒー Co.、Bo’s Coffee、フィリピン情報庁、Tuburan コーヒーの最新情報です。
風味は産地だけで決まりません。品種、標高、精製、収穫、焙煎、抽出によって変わるため、地域の味を固定せず、実際のロット情報を継続して確かめ、更新していくことが大切です。