こんにちは、ナビセブ編集部の谷口まりです。親子でセブに移住しました。観光とグルメの記事を担当しています。
フィリピン、なかでもセブでカラオケが根付いた理由は、歌好きの国民性に加えて、フィリピン人が発明したとされる「歌える機械」が1970年代から家庭や路上に広がったからです。誕生日・クリスマス・家族の集まりのたびに、人を集める道具として使われてきました。
ナビセブ編集部のまとめ
カラオケは「人が集まる場の道具」として定着した

フィリピンでは1975年にRoberto del Rosario氏が「Sing-Along System」を考案し、1983年に特許を取ったとされます。映像付きの「ビデオケ(videoke)」として家庭・食堂・路上の屋台・モールまで広がり、2008年の報道では1曲5ペソで歌える店や、一晩1,500ペソで機械を借りる例が紹介されています。上手い下手より「その場を一緒に盛り上げること」が目的で、セブでもお祝い事にはまずマイクが出てきます。
フィリピンでカラオケが広まった歴史

カラオケは日本発祥の娯楽として知られていますが、フィリピンでは事情が少し違います。日本ではDaisuke Inoue氏の「Juke-8」(1971年)などが草分けとされる一方、フィリピンではRoberto del Rosario氏が1975年に歌の学校の教材として「Sing-Along System」を作り、1983年に特許を取得したことから「カラオケの発明者」として語られています。「カラオケ」という呼び名自体は1979年ごろに生まれたとされます。
初期の機械はカセットプレーヤーにマイクとアンプを付けた程度のものでした。その後、改良した機械を売るメーカーが伸び、1990年代半ばには年に数千台が売れるほどになったと報じられています。1970年代に入ってきた機械が、数十年かけて「どの家にもある娯楽」へ育ったのがフィリピンのカラオケ史です。
カラオケとビデオケの違い

フィリピンでよく聞く「ビデオケ(videoke)」は、カラオケに映像(video)が加わったことから付いた呼び名です。画面に歌詞と背景映像が流れ、歌い終わると点数が出る家庭用の一体型マシンが定番で、現地の人は「カラオケ」と「ビデオケ」をほぼ同じ意味で使います。
日本のカラオケボックスとの一番の違いは、歌う場所が個室に限られないことです。自宅の軒先、食堂、路上の屋台、モールのブースまで歌える場所があり、通りすがりの人にも歌声が聞こえる状態が普通です。初めてセブに来た人が「どこからでも歌が聞こえる」と感じるのはこのためです。
| 項目 | 日本のカラオケ | フィリピンのカラオケ(ビデオケ) |
|---|---|---|
| 主な場所 | カラオケボックスの個室 | 自宅・食堂・屋台・モール・KTV |
| 機械 | 店の通信カラオケ | 家庭用の一体型マシン、レンタル機材 |
| 聞いている人 | 同じ部屋の仲間だけ | 近所や通行人にも聞こえることが多い |
| よく使う場面 | 二次会・友人同士 | 誕生日・クリスマス・フィエスタ・家族の集まり |
爆発的に広まった4つの理由

①手軽に始められる
家庭用マシンを持つ家庭が多く、持っていなくてもレンタルできます。2008年の報道では、機械を一晩借りる料金が1,500ペソと紹介されており、誕生日やクリスマスだけ借りる使い方が当時から定着していました。ローカルの食堂やバーにも機械が置かれていることが多く、食事やお酒のついでに歌えます。
②人前で歌うことに抵抗が少ない
フィリピンは300年以上スペインの統治を受け、教会音楽や祭りの音楽が暮らしの中にある国です。歌や踊りが好きな人が多く、大勢の前でも気にせずマイクを握ります。セブにはセブアノ語の歌の文化もあり、地元の曲から英語のバラードまで幅広く歌われます。
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③場を盛り上げる「共通の遊び」になる
カラオケは歌うだけでなく、親戚や友人が打ち解けるきっかけになります。お酒を飲んだ人が自然とマイクを手にし、次の人へ回し、周りが手拍子で応える。この流れが家族の集まりの定番で、世代が違っても同じ遊びで盛り上がれる点が強さです。
④行事の季節に一気に増える
特に歌声が増えるのは、9月から始まる長いクリスマスシーズンです。親戚が集まる機会が続き、年末年始まで家庭や近所でカラオケが続きます。
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暮らしの中のカラオケ:家・食堂・屋台

セブで一番よく見るのは、自宅や軒先で家族・近所の人が歌う光景です。誕生日、洗礼のお祝い、フィエスタ、クリスマス、新年と、人が集まる行事にはほぼ必ず機械が出てきます。週末の夕方から夜にかけて、住宅街のあちこちで歌声が重なることも珍しくありません。
ローカルの食堂やバーでは、店に置かれた機械で客が順番に歌います。2008年の報道では、ビデオケのある店で1曲5ペソ程度から歌えると紹介されていました。現在の料金は店ごとに違うため、歌う前に1曲いくらか、または時間料金かを店員に確かめてください。
大きな音で歌う背景と近所づきあい

フィリピンのカラオケは音量が大きいことで知られています。家族や仲間と大声で歌うこと自体が気晴らしになっていて、周りにも楽しさを共有する感覚があります。所得差が大きい社会の中で、機械とスピーカーを持ち、大きな音で歌えることが「余裕のある家庭」の印になっているという見方もあります。
一方で、音の問題は行政も扱うテーマです。セブ市では2018年に、深夜のビデオケを禁じる既存の条例を警察が取り締まると報じられました。コロナ禍の公衆衛生緊急事態の間には、在宅授業や在宅勤務への配慮から、住宅地でのカラオケや大音量の音響機器を月〜土曜に禁じる改正が市議会で可決され、違反は1,000〜5,000ペソの罰金または最長6か月の禁錮とされました。夜遅くの大音量は、地元でもトラブルのもとになっています。
KTVはファミリー向けと成人向けに分かれる

フィリピンで「KTV」はカラオケTVの略で、個室を時間単位で借りるカラオケ店を指します。ただし同じKTVという言葉に、家族や友人で使う「ファミリーKTV」と、女性の接客が付いて飲む成人向けの「KTVバー」の2種類が混ざっている点に注意してください。日本人経営のKTVバーでは日本語の曲が入っていることもあります。
旅行者や留学生が気軽に使うなら、日本のカラオケボックスに近いファミリーKTVです。ITパーク、アヤラセンター周辺、マンダウエなどに店があり、部屋の広さや人数で料金が変わります。店ごとの料金や部屋の選び方は、専用の比較記事にまとめています。
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旅行者・留学生がカラオケ文化に触れる方法

①学校や寮のパーティーで歌う
語学学校の卒業パーティーや講師との食事会では、カラオケが出てくることがよくあります。英語の曲を1曲準備しておくと、講師やスタッフとの距離が一気に縮まります。
②ファミリーKTVで仲間と歌う
個室なので周りを気にせず歌えます。料金は部屋単位の時間料金が中心で、飲食の最低利用額が付く店もあるため、入店前に総額を確かめてください。
③ローカル食堂やバーで地元の人と歌う
マイクを渡されたら、上手さは気にせず1曲歌うのが一番の近道です。地元の人と同じ曲を歌うと、それだけで会話が生まれます。
歌うときのマナーと注意点

人の歌を笑ったり、途中で曲を止めたりするのは避けてください。フィリピンでは、Frank Sinatraの「My Way」を歌った後の口論から死者が出た事件が続き、2010年に米紙が「少なくとも6人が亡くなった」と報じたほどです。今でもこの曲を避ける店や人がいます。お酒が入った場での他人の歌への批判は控えるのが無難です。
夜にバーやKTVへ行くときは、帰りの足を先に決め、配車アプリで店の前から乗るのが基本です。会計は注文ごとに確認し、成人向けKTVバーでは料金体系が分かりにくい店もあるため、入店前に総額の目安を聞いてください。
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👨💻 ナビセブ編集部
ナビセブ編集部の結論

フィリピンのカラオケは、1970年代に入ってきた機械が家庭・食堂・路上へ広がり、行事のたびに人をつなぐ道具として根付いたものです。日本の個室カラオケとは違い、近所や通行人まで巻き込む「開かれた娯楽」である点がセブらしさです。旅行者や留学生は、まずファミリーKTVや学校のパーティーで1曲歌うところから始めると、この文化の楽しさが一番早く伝わります。
よくある質問

カラオケはフィリピン人が発明したのですか?
フィリピンではRoberto del Rosario氏が1975年に「Sing-Along System」を考案し、1983年に特許を取ったことから発明者として語られています。日本ではDaisuke Inoue氏の「Juke-8」(1971年)などが草分けとされ、国によって見方が分かれます。
ビデオケとカラオケは何が違いますか?
ビデオケはカラオケに映像(video)が加わったことからの呼び名で、画面に歌詞と映像が流れる機械を指します。現地ではほぼ同じ意味で使われています。
旅行者が気軽に行けるカラオケはありますか?
個室を時間単位で借りるファミリーKTVが使いやすいです。ITパーク、アヤラセンター周辺、マンダウエなどに店があります。成人向けのKTVバーとは別の業態なので、店名と業態を確かめてから入ってください。
近所のカラオケがうるさいときはどうすればいいですか?
セブ市には深夜の大音量を規制する条例があり、警察が取り締まった例もあります。まずはコンドミニアムの管理事務所やホームステイ先、学校のスタッフに相談するのが現実的です。
「My Way」は歌わない方がいいですか?
過去に歌った後のトラブルで死者が出た事件が報じられたため、避ける店や人がいます。必ず危ないわけではありませんが、知らない人が多い場では別の曲を選ぶ方が無難です。
英語が苦手でも楽しめますか?
楽しめます。日本の曲が入っている店もあり、英語の定番曲を1曲歌えれば十分です。上手さより一緒に盛り上がることが大切にされています。
最後に

セブで歌声が聞こえてきたら、それは誰かの誕生日やお祝いが開かれている合図です。マイクを渡されたら、遠慮せず1曲歌ってみてください。夜の過ごし方やKTV選びは、関連記事も合わせて参考にしてください。