こんにちは、ナビセブ編集部の山下こうきです。ホテルとイベントの記事を担当しています。
セブを初めて訪れる人が聖週間で驚くのは、いつも混雑している街が急に静かになることです。モールの営業時間が短くなり、オフィスが閉まり、公共交通も減ります。一方、教会には夜まで人が集まり、家族で複数の教会を巡る姿が見られます。
聖週間は、スペイン語でSemana Santa、セブアノ語でもSemana SantaまたはSemana Santosと呼ばれ、イエス・キリストの受難、死、復活を記憶する一週間です。華やかなSinulogがセブの信仰を外へ向かって表す祭りだとすれば、聖週間は仕事や娯楽の速度を落とし、祈りと家族の時間へ向き合う期間です。
枝の主日のPalaspasから、聖木曜日のVisita Iglesia、聖金曜日の沈黙、聖土曜日の復活徹夜祭、そして復活祭の夜明けのSugatまで。一週間を順番にたどると、セブの人々が悲しみから希望へ進んでいく時間の流れが見えてきます。
ナビセブ編集部のまとめ
2026年の聖週間は、3月29日の枝の主日から4月5日の復活の主日まででした。セブではPalaspas、Visita Iglesia、Siete Palabras、行列、復活徹夜祭、Sugatなどが行われます。日程は毎年変わり、ミサや行列の時刻も教会ごとに異なるため、その年の公式発表を確認することが重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 聖週間とは | イエス・キリストのエルサレム入城、最後の晩餐、受難、死、復活を記憶する期間 |
| 始まり | 枝の主日 |
| 中心となる3日間 | 聖木曜日夕方から復活の主日までの過越の聖なる三日間 |
| セブで見られる習慣 | Palaspas、Visita Iglesia、Siete Palabras、行列、復活徹夜祭、Sugat |
| 2026年の日程 | 枝の主日 3月29日〜復活の主日 4月5日 |
| 毎年同じ日? | いいえ。復活祭の日付に合わせて変わります |
| 旅行への影響 | 教会、道路、港、バスターミナルが混雑し、店や交通機関の営業も変わります |
| 観光客も参加できる? | 静粛さと各教会の規則を守れば、多くの礼拝を見守ることができます |
| 情報確認日 | 2026年8月31日 |
聖週間の日付は毎年変わる
クリスマスは毎年12月25日ですが、復活祭は固定日ではありません。西方キリスト教会では、春分後の最初の満月の次に来る日曜日を基準として復活祭の日付が決まるため、聖週間の日程も毎年移動します。
2026年の日程
2026年は枝の主日が3月29日、聖木曜日が4月2日、聖金曜日が4月3日、聖土曜日が4月4日、復活の主日が4月5日でした。旅行を計画するときは「毎年4月」と決めつけず、その年の復活祭の暦を確認してください。
教会ごとのスケジュール
同じセブでも、ミサや行列の時刻は教会ごとに異なります。前年のスケジュールをそのまま使わず、訪問する教会や大司教区の公式発表で最新情報を確認する必要があります。
枝の主日|Palaspasから聖週間が始まる
枝の主日
聖週間は枝の主日から始まります。イエスがエルサレムへ入ったとき、人々がヤシの枝を振って迎えた出来事を記念する日で、教会の周囲には編み込んだ葉を売る人が並びます。
Domingo sa Lukay
セブアノ語では、枝の主日をDomingo sa Lukayと呼ぶことがあります。「Lukay」は若いココヤシの葉を指す言葉です。
Palaspas
枝の主日に使われる編み込んだ葉は、一般にPalaspasと呼ばれます。ミサの前に司祭が祝福し、参列者は家へ持ち帰ります。ドアや祭壇の近くに飾り、一年間保管する家庭もあります。
教会の教えでは、祝福されたPalaspasはキリストを迎える信仰を思い出すための準秘跡です。一方、フィリピンの家庭では、災害や悪いものから家を守るという民間信仰が重なることもあります。Palaspasは単なる魔除けの商品ではなく、宗教上の意味と地域の受け止め方が重なった存在です。
聖月曜日から聖水曜日|街が少しずつ静かになる
枝の主日が終わっても、すぐに街全体が静かになるわけではありません。聖月曜日から聖水曜日にかけて、多くの人は仕事を続けながら、告解、ミサ、十字架の道行きなどへ参加します。
Pasyon
教会によっては、イエスの生涯、受難、死、復活を記したPasyonを交代しながら唱える習慣があります。タガログ語圏ではPabasa ng Pasyonとして広く知られていますが、セブでは地域や小教区によって行い方が異なり、すべての教会で同じ形が見られるわけではありません。
聖水曜日
聖水曜日の午後頃から、故郷へ帰る人の移動が本格化します。バスターミナル、港、道路が混雑するのは、休暇旅行だけでなく、家族のいる町へ戻り、昔から通う小教区で聖週間を過ごす人が多いためです。セブ市が静かになる一方、南北の町や島では家族が集まり始めます。
聖木曜日|最後の晩餐とVisita Iglesia
主の晩餐の夕べのミサ
聖木曜日は、イエスが弟子たちと囲んだ最後の晩餐を記念する日です。夕方の主の晩餐の夕べのミサでは、司祭が人々の足を洗う洗足式が行われることがあります。これは、イエスが弟子の足を洗い、権力ではなく奉仕によって人を導く姿を示した出来事です。
ミサのあと、聖体は特別に用意された聖体安置所へ移されます。通常のミサが終わったあとの教会とは異なり、人々は夜まで祈りを続けます。
Visita Iglesia
Visita Iglesiaは、家族や友人と複数の教会を訪れ、十字架の道行きなどを祈る習慣です。一般には7か所または14か所を巡る方法がありますが、決められた数を達成すること自体が目的ではありません。
セブ市のダウンタウンでは、Cebu Metropolitan Cathedral、Basilica del Santo Niño、Santo Rosario Parishなどを組み合わせて歩く人がいます。ただし、教会の数を競ったり、すべての場所で自撮りをしたりする行事ではありません。観光客が参加するなら、無理に数を増やすより、一つひとつの教会で静かに過ごす方が伝統の意味を感じやすくなります。
聖木曜日の夜は、道路と教会周辺が混雑します。暗い道を歩く場合は貴重品を目立たせず、一人で人通りの少ない場所へ入らないようにしてください。
聖金曜日|セブが最も静かになる日
聖金曜日は、イエスの磔刑と死を記念する日です。2026年のCebu Metropolitan Cathedralでは、午前7時にTinieblas、正午にSiete Palabras、午後3時に主の受難の祭儀が行われました。
カトリック教会では聖金曜日に通常のミサを行いません。祭壇は簡素になり、鐘の音が消え、教会全体が喪に服すような雰囲気になります。多くの家庭では肉を避け、食事を控えめにし、大音量の音楽、カラオケ、パーティーなども避けます。
午後3時は、イエスが十字架上で亡くなった時刻として特に重く受け止められています。街が静かなのは店が閉まっているからだけではなく、信者にとって娯楽を止め、苦しみと死を見つめる時間だからです。
Siete Palabras
Siete Palabrasはスペイン語で「七つの言葉」を意味します。イエスが十字架上で語ったとされる七つの言葉を取り上げ、司祭や招かれた講話者が一つずつ講話を行います。「父よ、彼らをお赦しください」「渇く」「成し遂げられた」などの言葉が、現在の家族問題、貧困、不正、孤独、病気、心の健康と結びつけて語られることもあります。
2025年11月、セブ大司教 Alberto Uyは大聖堂で、うつ病は想像や信仰の弱さではなく、理解し支えなければならない現実だと語りました。セブの教会は、過去の受難を記憶するだけでなく、今を生きる人の苦しみを言葉にする場所でもあります。
行列
聖金曜日の午後から夕方にかけて、多くの小教区で行列が行われます。イエスの受難に関係する像が、装飾された山車(カロッサ)に乗せられ、街を進みます。沿道の人は立ち止まり、十字を切り、ロザリオを唱えます。
Santo Entierro
行列の中でも、亡くなったイエスの姿を表す像はSanto Entierroと呼ばれます。ガラスの棺に横たわるキリストの像を、信者がろうそくを持って追います。山車はパレード用の山車ではなく、受難と埋葬を記憶する宗教的な像です。
撮影する場合は、棺の前へ飛び出したり、行列を横切ったりしないでください。夜間にフラッシュを連続使用することも避けます。重要なのは、どれだけ近くから撮れたかではなく、人々がなぜ沈黙して歩いているのかを見ることです。
自らを十字架にかける行為
海外メディアでは、フィリピンの聖週間の象徴として、自分の身体を鞭で打つ人や十字架へ釘づけにされる人の映像が紹介されることがあります。しかし、これはフィリピン全体で行われる標準的なカトリックの儀式ではありません。実際の磔刑で知られるのはパンパンガ州などの一部地域で、カトリック教会も自傷行為を公式な典礼として求めていません。
セブの聖週間で中心となるのは、ミサ、告解、祈り、Visita Iglesia、行列、断食、家族で過ごす時間です。自らを十字架にかける行為を見るためのダークツーリズムとして捉えるのではなく、セブで続く静かな信仰の実践にも目を向けてください。
聖土曜日から復活の主日|沈黙からSugatへ
聖土曜日の日中は、イエスが墓に置かれた時間を記憶するため、教会には独特の静けさがあります。枝の主日から続いた一週間は、この日の夜から大きく方向を変えていきます。
復活徹夜祭
日が沈むと復活徹夜祭が始まります。外で新しい火を祝福し、そこから復活のろうそくへ火を移します。暗い教会の中へ一本の光が入り、その火が人から人へ渡されます。旧約聖書から救いの歴史をたどる複数の朗読が続き、洗礼が行われることもあります。
2026年のCebu Metropolitan Cathedralでは、復活徹夜祭が4月4日午後8時から行われました。明かり、鐘、音楽が戻り、人々はキリストの復活を祝います。
Sugat
セブの復活祭を象徴する習慣がSugatです。「Sugat」は「会う」「出会う」という意味で、夜明け前に復活したキリストの像と、喪に服した聖母マリアの像が別々の方向から進みます。
二つの像が出会うと、マリアを覆う黒いベールが取り除かれます。天使を演じる子どもが高い場所からベールを外す地域もあります。これは復活したキリストとマリアの出会いを表現する民間の信心行事で、聖書にその場面が直接詳しく記されているわけではありませんが、フィリピンをはじめとするカトリック圏で受け継がれてきました。
悲しみの黒いベールが取り払われ、音楽と鐘が戻る瞬間に、聖週間全体の意味が凝縮されています。苦しみと死だけで終わらず、再び出会えるという希望へ向かうのです。
旅行者の生活はどう変わる?
聖週間中は、通常のセブ旅行と同じ感覚で予定を組めない日があります。特に聖木曜日から聖金曜日にかけては、営業や交通が大きく変わる可能性があります。
- モール、レストラン、博物館の営業時間が変わる
- 聖金曜日は休業する店が多い
- バス、フェリー、飛行機が混雑する
- 地方へ帰る人でターミナル周辺が混む
- 教会周辺で通行止めが行われる
- 酒類販売やイベントに地域ごとの制限が出る場合がある
- ツアーやレストランが通常営業とは限らない
食事、水、現金、移動手段は早めに準備してください。一方で、店が閉まることを「何もできない」と考える必要はありません。予定を詰めず、教会を一つ訪れ、静かなセブを歩くこと自体が、この時期にしかできない体験です。
聖週間を敬意を持って見るために
カトリックでない旅行者も、多くの行事を見守ることができます。ただし、信仰を観光用の演出として扱わないことが重要です。
- 行列を横切らない
- 礼拝中の人の顔を無断で撮らない
- 三脚や大型機材で通路をふさがない
- 聖金曜日に教会周辺で騒がない
- 聖体拝領を観光体験として受け取らない
- 服装は肩と膝を覆う
- 子どもが天使を演じていても無断で接近撮影しない
- 交通規制を撮影のために越えない
「参加できる」と「自由に撮影できる」は同じではありません。祈りの場に招かれた訪問者として行動してください。
よくある質問
聖週間と復活祭は同じですか?
同じではありません。聖週間は枝の主日からイエスの受難と死を記念する期間で、復活の主日に復活を祝います。
Visita Iglesiaは必ず7教会を回りますか?
7または14の教会を巡る方法がありますが、数を達成することが目的ではありません。少ない教会でも、落ち着いて祈ることができます。
聖金曜日にレストランは開いていますか?
休業または短縮営業になる店が多く、ホテル内レストランなど一部だけが営業する場合があります。公式SNSや予約画面で、その年の営業情報を確認してください。
カトリックでなくてもSugatを見られますか?
見守ることはできます。地域の係員の指示に従い、行列の経路をふさがないでください。
聖週間に海へ行ってはいけませんか?
宗教上の受け止め方は家庭によって異なり、旅行自体が禁止されているわけではありません。ただし、フェリーや道路が混雑し、救助・観光サービスが通常と異なる場合があるため、運行情報と安全情報の確認が必要です。
最後に
聖週間のセブでは、街の時間が普段とは違う速さで進みます。枝の主日にPalaspasを掲げ、聖木曜日に教会を巡り、聖金曜日には音を止めます。聖土曜日の暗闇で新しい火を待ち、復活の主日のSugatで悲しみのベールを外します。
一つひとつの行事は、独立した観光イベントではありません。歓迎、奉仕、苦しみ、死、沈黙、そして再会という一つの物語を、一週間かけてたどる時間です。
聖週間にセブを訪れたら、閉まっている店の多さだけを見るのではなく、いつも賑やかな街がなぜ静かになるのか、夜明け前になぜ人々が二つの像の出会いを待つのかにも目を向けてみてください。そこから、セブの人々の信仰が祭りの華やかさだけではないことが見えてきます。
情報確認日:2026年8月31日
主な参考資料
Roman Catholic Archdiocese of Cebu|Holy Week 2026 at Cebu Metropolitan Cathedral
Basilica Minore del Santo Niño de Cebu公式サイト
Basilica Minore del Santo Niño de Cebu|Augustinian Way of the Cross
Roman Catholic Archdiocese of Cebu|One Faith, Many Traditions
