寂しさの強さではなく、生活への影響を測ります。
「セブに着いた初日は楽しかったのに、3日目の夜から急に日本へ帰りたくなった」
「1か月間は平気だったのに、体調を崩してから家族が恋しくなった」
ホームシックが始まる時期は、人によって異なります。到着した夜から感じる人もいれば、数週間後に新鮮さがなくなってから感じる人もいます。誕生日、体調不良、日本の祝日、家族から届いた写真などがきっかけになることもあります。
したがって、ホームシックは留学何日目から始まるという共通の答えはありません。
重要なのは、始まった日を当てることではなく、寂しさが睡眠、食事、授業、人間関係へどれくらい影響しているかを確認することです。
要点
ホームシックを確認するときは、Intensity(どれくらい強いか)、Duration(どれくらい続くか)、Impact(生活へ影響しているか)の3つを分けます。始まった日数だけではなく、睡眠、食事、授業、人間関係など生活への影響を見ます。
日数より「強さ・時間・生活への影響」を見る
Intensity|どれくらい強いか
少し日本が恋しい程度なのか、ほかのことを考えられないほど強いのかを見ます。
Duration|どれくらい続くか
夜に30分だけ感じるのか、朝から夜まで続くのかを見ます。
Impact|生活へ影響しているか
眠れない、食べられない、授業を休む、人を避けるなどの影響があるかを見ます。
たとえば、寂しさが強くても、家族と話したあとに落ち着き、翌日は授業へ参加できる場合があります。一方、寂しさの自己評価がそれほど高くなくても、食事を取らず、授業を何日も休んでいる場合は、生活への影響が大きいと考えます。
ホームシックとは何?
ホームシックは、慣れ親しんだ場所、人、生活習慣から離れたことで生じる、帰りたい気持ちや寂しさなどを表す言葉です。家族だけが対象とは限りません。
- 自分の部屋
- 日本の食事
- いつもの友人
- ペット
- 職場や学校
- 日本語で自由に話せる環境
- 自分の生活を理解してくれる人
- 慣れた交通や買い物
などが恋しくなる場合もあります。ホームシックを感じたことだけで、留学に向いていないとは判断できません。
研究では、ホームシックが大学生活への適応、社会的なつながり、心身の状態などと関連することが報告されています。ただし、ホームシックと医療的な状態を自己判断で同一視しないことも重要です。
ホームシックが起きるタイミング
到着初日から起きる人もいる
セブへ到着した日は、生活の多くが一度に変わります。
- 気温と湿度
- 食事と水
- 部屋とベッド
- 周囲の音
- 英語でのコミュニケーション
- 初対面のルームメイト
- 家族と離れた時間
- 今後の授業への不安
そのため、到着した夜に寂しさを感じても不思議ではありません。特に長時間の移動後は、疲労、睡眠不足、空腹、緊張が重なります。
この段階では、「セブが合わない」「留学を続けられない」とすぐに結論を出さず、まず睡眠、食事、水分、通信環境を整えます。
数週間後に起きる場合もある
到着直後は、新しい環境への興奮や、学校の手続き、友人作りで忙しく、寂しさを感じる時間が少ない人もいます。しかし、生活が落ち着くと、次のような変化が起きることがあります。
- 新鮮さがなくなる
- 同じ生活の繰り返しになる
- 英語学習の疲れがたまる
- 友人関係が固定される
- 日本の生活と比較し始める
- 留学成果が見えず不安になる
このため、1か月間平気だった人が、その後にホームシックを感じることもあります。「今まで大丈夫だったからホームシックではない」と決めつける必要はありません。
きっかけは「日数」とは限らない
ホームシックは、特定の出来事をきっかけに強くなる場合があります。
- 体調を崩した
- 授業で失敗した
- 友人とすれ違った
- ルームメイトと問題が起きた
- 日本の家族が体調を崩した
- 誕生日や日本の祝日を迎えた
- SNSで友人の集まりを見た
- 日本から食べ物や写真が届いた
- 週末に予定がなく、一人になった
この場合、ホームシックだけを対処するより、引き金になった問題を解決する必要があります。たとえば、寮生活のストレスが原因なら、家族への電話だけでなく、部屋や共同生活の調整が必要です。
家族へ連絡すればよくなる?
家族や日本の友人との連絡は、安心感や支援につながります。しかし、連絡後にどのような変化が起きたかを確認します。
連絡が助けになっている状態
- 話したあとに落ち着く
- 翌日の授業へ参加できる
- 現地での行動を応援してもらえる
- 問題を整理できる
- 一人で抱えずに済む
連絡方法を見直したい状態
- 電話のたびに帰りたい気持ちが強くなる
- 日本の生活を何時間も見続ける
- 現地の人間関係を避ける
- 睡眠時間を削って連絡する
- 家族が心配し、本人の不安も強くなる
ホームシックを状況ごとに記録した研究では、親との連絡やVideo Chatをしている場面で、ホームシックが強く報告された例もあります。
これは、家族への連絡がホームシックの原因だと断定するものではありません。寂しいから連絡した可能性もあるからです。大切なのは、連絡回数を一律に減らすことではなく、連絡前後の状態を見ることです。
日本食を食べるのは逃げではない
長期留学だからといって、すべてをフィリピンの生活へ合わせる必要はありません。食事が合わず、食べる量が減っているなら、日本食や自分が安心して食べられる料理を選ぶことは生活調整です。
日本語で話す時間を作ることも、必ずしも留学の失敗ではありません。問題は、日本食や日本語そのものではなく、次の点です。
- それによって体調や気持ちが回復するか
- その後に現地生活へ戻れるか
- 日本の環境だけに閉じこもっていないか
安心できるものを完全に断つのではなく、セブでの生活を続けるために使います。
HOMESICKNESS IMPACT CHECK
3日間、朝・夕方・就寝前に短く記録します。
| 確認項目 | 記録内容 |
|---|---|
| 寂しさの強さ | 0〜5 |
| 続いた時間 | 約何分・何時間 |
| きっかけ | 電話、SNS、体調、孤独など |
| 睡眠 | 眠れた・途中で起きた |
| 食事 | 通常・少ない・取れない |
| 授業 | 参加・遅刻・欠席 |
| 人との接触 | 誰と話したか |
| 日本との連絡 | 方法と時間 |
| 連絡後の状態 | 良くなった・同じ・悪くなった |
これは医療的な診断表ではありません。何がホームシックを強め、何が回復を助けているかを見つけるための自己記録です。
3日間の記録例
| 日 | 強さ | きっかけ | 日本との連絡 | 生活への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 月曜日 | 4 | 家族の写真 | Video通話60分 | 就寝が遅れた |
| 火曜日 | 3 | 夕食を一人で食べた | メッセージ20分 | 授業には参加 |
| 水曜日 | 2 | 特になし | 通話15分 | 食事・睡眠とも通常 |
これは測定方法を説明するための計画例です。強さだけを見れば月曜日が最もつらい日です。しかし、水曜日には通常の食事と睡眠へ戻っています。状態が回復しているなら、生活を維持しながら記録を続けられます。
反対に、強さが3のままでも、欠席や食事を取れない日が増えている場合は、早めに相談します。
自分で調整できる5つのこと
1.1日の固定点を作る
朝食、授業後の散歩、決まったカフェなど、毎日同じ行動を一つ作ります。
2.現地で一人だけ相談相手を作る
大人数の友人グループより、状態を短く伝えられる人を一人確保します。
3.日本との連絡時間を決める
回数を禁止するのではなく、睡眠や授業を妨げない時間にします。
4.週末を完全な空白にしない
食事、買い物、短い外出など、一つだけ予定を決めます。
5.授業負荷を見直す
疲労が強い場合は、学校へ相談し、授業数、内容、休息の取り方を確認します。
学校へ何を伝えればよい?
「ホームシックです」だけでは、スタッフが何を調整すべきか判断しにくい場合があります。次のように、生活への影響を具体的に伝えます。
- “I haven’t been sleeping well for three nights.”
- “I have missed two classes this week.”
- “I’m having difficulty eating.”
- “I feel worse when I stay alone at night.”
- “Could I talk to a staff member about my situation?”
- “Could you help me review my class schedule?”
ホームシックという言葉が出なくても、睡眠、食事、欠席、孤立の状態を伝えれば、必要な支援を考えやすくなります。
早めに支援を求めた方がよい状態
ホームシックは自然に軽くなる場合があります。しかし、次のような状態が続く、悪化する、日常生活へ大きく影響している場合は、我慢だけで対処しません。
- 睡眠の問題が続く
- 食事を十分に取れない
- 授業へ参加できない
- 人との接触を避け続ける
- 強い不安や落ち込みが続く
- 自分の安全を保てないと感じる
- 自分を傷つけたい気持ちがある
学校スタッフ、保険会社、医療機関などへ早めに相談します。緊急の危険がある場合は、フィリピンの緊急番号911を利用します。
ホームシックという言葉だけで、必要な医療的支援を遅らせないことが重要です。
参考情報
情報確認日:2026年8月29日
記事内の日数、点数、記録表は、自分の変化を確認するための目安と計画例です。ホームシックや医療的な状態を診断するものではありません。
主な確認先:
Thurber & Walton|Homesickness and Adjustment in University Students
Nautaほか|Homesickness in Social Context
Cambridge University Press|Culture Shock, Homesickness, and Adaptation to a Foreign Culture