Cashless・立替・診断書を受診前に分けて考える
「海外旅行保険に入っているから、病院では何も払わなくてよい」
「保険証券を見せれば、すぐ診察してもらえる」
セブ留学前に、このように考えている人は少なくありません。しかし、海外旅行保険へ加入していることと、その場でCashless診療を受けられることは同じではありません。
保険会社への事前連絡、補償対象の確認、医療機関の提携状況、支払い保証の発行などが必要になる場合があります。提携医療機関であっても、事前承認が取れていない、専門医が別の医療機関にいる、診療内容が補償対象外などの理由で、一度立替払いになることがあります。必要なのは、保険証券を持っていることだけではありません。
体調を崩してから、誰に連絡し、どの書類で、どのように支払うかを知っておくことです。
| 選択肢 | 判断の目安 |
|---|---|
| Cashless診療 | 加入だけで判断せず、病院名と承認状態を確認する |
| 立替払い | 現金またはカードで支払い、請求用の書類を受け取る |
海外旅行保険への加入とCashless診療は同じではないため、受診前の連絡、承認状態、支払い手段、請求書類を準備する。
- 受診前に保険会社へ必要事項を伝える
- 病院名だけでなく承認状態を確認する
病院側が支払い保証や承認書を受け取っているかを確認します。 - 現金とカードの支払い手段を用意する
- 立替時の請求書類を受け取る
- 緊急時は承認を待たず受診する
確認項目と実行手順
受診前から保険金請求までの4段階
| 段階 | 行うこと | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 受診前 | 保険会社へ連絡 | 補償、病院、Cashlessの可否 |
| 病院受付 | 本人確認と承認確認 | Passport、証券、支払い保証 |
| 会計 | Cashlessまたは立替 | 対象外費用、領収書、診断書 |
| 受診後 | 書類保存と請求 | 処方箋、明細、交通費、提出期限 |
Cashlessが利用できれば、対象となる診療費を保険会社または支援会社が医療機関へ直接支払います。立替の場合は、本人が現地で支払い、必要書類をそろえて後から保険金を請求します。どちらになるかは、契約、病院、診療内容、連絡時点によって変わります。
CASHLESSとは「無料」の意味ではない
Cashless診療は、医療費が無料になる制度ではありません。保険契約の対象となる費用を、保険会社側が本人に代わって医療機関へ支払う仕組みです。そのため、次の条件を満たさなければ利用できない場合があります。

- 保険期間内である
- 病気やけがが補償対象である
- 指定または承認された医療機関を利用する
- 受診前に保険会社へ連絡する
- 病院側が直接請求を受け入れる
- 本人確認と契約確認が完了する
- 必要な同意書や請求書へ署名する
東京海上日動も、病院へ行く前に海外総合サポートデスクへ相談するよう案内しています。また、提携病院であっても、病院側の事情、少額の治療費、連絡の時期などによりCashlessを利用できない場合があると説明しています。つまり、提携病院である=必ず窓口負担がないとは限りません。
受診前に保険会社へ伝える7項目
緊急ではなく、電話やオンライン連絡ができる状態なら、医療機関へ向かう前に保険会社の海外窓口へ連絡します。伝える内容は次のとおりです。
- 契約者の氏名
- 証券番号または契約番号
- 現在地と滞在先
- 症状と始まった時刻
- 希望する受診エリア
- 学校スタッフが同行するか
- 連絡可能なフィリピンの電話番号
- この症状は補償対象として受付可能か
- Cebu CityまたはMactanのどこで受診できるか
- Cashless診療を手配できるか
- 予約や支払い保証の発行にどのくらい手続きが必要か
- 本人が病院受付で何を提示するか
- 薬代や病院までの交通費も対象になるか
- 診断書が必要か
電話を切る前に、受付番号、担当者名、案内された病院名を保存します。
病院名だけでなく承認状態を確認する
保険会社から病院を案内されても、手続きが完了したとは限りません。病院側へ、支払い保証や承認書がまだ届いていない場合があります。受付では、次のように確認します。
Has the hospital received the payment guarantee from my insurance company?
病院は保険会社から支払い保証を受け取っていますか?
Is my consultation approved for cashless service?
今回の診察はCashlessとして承認されていますか?
Do I need to pay a deposit while waiting for approval?
承認を待つ間に保証金の支払いが必要ですか?
承認を待っている間も、病院の受付手続き、問診、緊急度の確認が行われる場合があります。ただし、病院側の支払い条件は医療機関や状況によって異なります。
出典:Chong Hua Hospital:入院時の承認書・支払い案内(同院の入院手続きの例)
CASHLESSと立替払いの違い
| 項目 | Cashless | 立替払い |
|---|---|---|
| 病院での支払い | 対象費用は原則として直接精算 | 本人が支払う |
| 事前連絡 | 原則必要 | 推奨されるが、受診後連絡になる場合もある |
| 病院 | 指定・承認された医療機関 | 本人が選んだ医療機関も対象になり得る |
| 書類 | 病院と保険会社が直接処理する部分がある | 本人が書類を集めて請求する |
| 対象外費用 | 本人負担になる | 本人負担分を除いて後日審査 |
| 注意点 | Cashless承認が補償確定とは限らない | 支払い資金と利用限度額が必要 |
立替払いになっても、保険が使えないと決まったわけではありません。必要書類をそろえ、保険会社の審査を受けます。反対にCashlessで診察を受けても、後から契約対象外と判断された費用について、本人へ請求される可能性があります。
現金とカードを持つ理由
- 少額の現金
- 利用可能なクレジットカード
- カードの利用限度額
- 海外利用の設定
- 家族から送金を受ける方法
- 保険会社の連絡先
- Cashlessの承認前
- 提携外の医療機関
- 少額の診察や薬
- 保険対象外の検査や治療
- 歯科や健康診断
- 既往症に関係する診療
- 保険期間外の受診
- 病院までの交通費
何ペソ必要になるかを一律に決めることはできません。必要な診療、検査、入院、病院の支払い条件によって金額が変わるからです。重要なのは、医療費全額を現金で持ち歩くことではなく、保険会社と家族へ連絡しながら複数の支払い方法を使える状態にすることです。
立替時に受け取る書類
立替払いをした場合は、会計前に保険会社へ必要書類を確認します。一般的に保存するのは次の書類です。
- Medical Certificateまたは診断書
- Doctor’s Report
- Official Receipt
- Itemized Billing Statement
- Prescription
- Pharmacy Receipt
- Laboratory Results
- Imaging Results
- 病院までの交通費領収書
- Passportの出入国記録
- 保険会社の受付番号
損保ジャパンも、立替後の請求に備え、診断書、治療費用領収書、薬代領収書などを取得するよう案内しています。単なるカード利用明細だけでは、誰が、何の治療を受け、何に支払ったのかを確認できません。領収書には患者名、医療機関名、日付、金額が記載されているかを確認します。
診断書はすべての受診で必要?
診断書が必要かどうかは、契約と請求額、治療内容によって異なります。診断書の発行には、別料金や待ち時間がかかる場合があります。
そのため、
「保険請求に診断書は必要ですか」
「Doctor’s ReportやMedical Certificateでよいですか」
「学校の欠席証明にも使えますか」を、保険会社と学校の両方へ確認します。診断書を後から取得しようとすると、病院へ再度連絡または訪問しなければならないことがあります。必要と分かった場合は、会計前に依頼します。
処方薬は病院会計に含まれるとは限らない
診察がCashlessでも、薬を院外のPharmacyで購入する場合は、いったん本人が支払うことがあります。次の書類をセットで保存します。
- 医師のPrescription
- 薬局のOfficial Receipt
- 薬の名称が分かる明細
- 支払日
- 患者名が必要かどうかの保険会社確認
処方箋だけでは、実際に購入し支払った証明になりません。領収書だけでは、医師が処方した薬か確認できない場合があります。
クレジットカード付帯保険で確認すること
クレジットカードを持っているだけで、必ず海外旅行保険が適用されるとは限りません。確認するのは次の内容です。
- 自動付帯か利用付帯か
- 保険期間はいつからいつまでか
- 疾病治療費用と傷害治療費用の上限
- 救援者費用の上限
- Cashless診療の有無
- 連絡先となる引受保険会社
- 留学目的や長期滞在が対象か
- 出発後に補償を延長できるか
カード会社の案内だけでなく、実際の補償を引き受ける保険会社と約款を確認します。3か月を超える滞在では、カード付帯保険の対象期間を超える可能性があるため、特に注意が必要です。
保険対象外になり得るもの
補償条件は契約ごとに異なりますが、次の項目は事前確認が必要です。
出発前から治療している病気、持病の継続治療、定期的な検査、健康診断、予防接種、歯科治療、妊娠・出産に関係する診療、美容目的の治療、コンタクトレンズや眼鏡、精神科・心理相談、飲酒や危険行為が関係する事故、医師の指示によらない薬の購入。
「病院で必要と言われた治療なら、すべて保険対象になる」とは限りません。治療が医学的に必要かどうかと、保険契約で補償されるかどうかは別の判断です。

緊急時は承認を待たない
呼吸困難、意識障害、強い胸痛、大量出血、けいれん、重い事故など、緊急性が高い場合は、Cashless手続きの完了を待ってはいけません。フィリピンの全国緊急通報911、学校スタッフ、最寄りのEmergency Roomへ連絡します。受診と安全確保を優先し、本人が連絡できない場合は、同行者が保険会社へ連絡します。
緊急受診後は、できるだけ早く保険会社へ次の内容を伝えます。
- どの病院へ運ばれたか
- いつ受診したか
- 入院したか
- 病院の担当窓口
- 本人の連絡可能な状態
入寮初日に保存する保険・連絡先情報

| 項目 | 保存内容 |
|---|---|
| 保険会社 | 正式名称 |
| 証券番号 | 契約を特定できる番号 |
| 海外窓口 | フィリピンからつながる番号 |
| 保険期間 | 開始日と終了日 |
| 補償額 | 傷害・疾病・救援者費用 |
| Cashless | 利用条件と事前連絡方法 |
| 学校 | Clinic・夜間連絡先 |
| 家族 | 緊急連絡先 |
| 支払い | カード、限度額、送金手段 |
Webサイトへログインしなければ証券番号を見られない状態では、通信障害や電池切れのときに困ります。PDF、スクリーンショット、紙のいずれかでも確認できるようにします。
※補償内容、Cashless診療、必要書類、提携医療機関は保険契約と受診時点によって異なります。必ずご自身の保険会社と約款で確認してください。この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品を推奨するものではありません。