セブで発熱したとき、「高熱ではないからデング熱ではない」「蚊に刺された記憶がないから大丈夫」「熱が下がったから、もう治った」と自己判断することがあります。
しかし、発熱の原因はデング熱だけではありません。呼吸器感染症、胃腸炎、尿路感染症など、さまざまな可能性があります。症状だけを検索しても、本人が原因を確定することはできません。
一方で、デング熱では熱が下がった後にWarning Signsが現れる場合があります。「解熱した」という一つの変化だけで回復したと判断せず、発熱開始日をDay 1として、体温、水分、尿、痛み、出血などの経過を記録し、医療者へつなぐことが重要です。
要点
発熱が始まった日と時刻を記録し、学校Clinicまたは学生サポートへ連絡します。体温だけでなく、水分、尿、嘔吐、腹痛を確認し、使用した薬の名称と時刻も残します。医療機関へ相談して必要な診察や検査を受け、熱が下がった後もWarning Signsを確認してください。意識、呼吸、出血などに問題がある場合は、直ちに救急へつなぎます。
デング熱はどのような感染症?
デング熱は、感染したAedes属の蚊を通じて広がるウイルス感染症です。WHOによると、症状がある場合は、発熱に加えて次のような症状が現れることがあります。
- 強い頭痛
- 目の奥の痛み
- 筋肉痛や関節痛
- 吐き気や嘔吐
- 発疹
- 強い疲労感
ただし、これらはデング熱だけに現れる症状ではありません。頭痛や筋肉痛があるからデング熱、発疹がないからデング熱ではない、とは判断できません。蚊に刺されたことに気づかない場合もあり、刺された記憶の有無だけで可能性を除外することはできません。
発熱開始日をDay 1として記録する
発熱に気づいたら、その日をDay 1として記録します。「数日前から何となく具合が悪い」ではなく、確認できる範囲で時刻まで残します。
Day 1の記録例
- Day 1|29 August, 7:00 p.m.
- Temperature: 38.2°C
- Headache and muscle pain
- Able to drink water
- No vomiting
医療者へ伝えるときは、最初に体調の変化を感じた時刻、最初に体温を測った時刻、最も高かった体温、新しい症状が加わった時刻の4点を分けて伝えます。
WHOは、重症デング熱へ進む場合のCritical Phaseが、最初の症状からおおむね3〜7日ごろに起こり得ると説明しています。全員が同じ経過をたどるわけではありませんが、「今日は発熱何日目か」は重要な情報です。
Dengue Fever Logを時間ごとに残す
発熱中は、次の6項目を同じ表へ記録します。本人が眠っている場合も、同行者が変化を記録すると、受診時に説明しやすくなります。薬の使用については、医師、薬剤師、製品表示の指示に従います。
記録する6項目
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| Temperature | 体温と測定時刻 |
| Fluids | 飲んだ種類と量 |
| Urination | 尿の回数、色、最後に出た時刻 |
| Food | 食べられた内容 |
| Symptoms | 頭痛、腹痛、嘔吐、発疹、出血 |
| Medication | 薬の名称、量、使用時刻 |
Dengue Fever Logの記載例
| 時刻 | 体温 | 水分・尿 | 症状 | 薬 |
|---|---|---|---|---|
| 7:00 | 38.2°C | 水を飲める | 頭痛、筋肉痛 | なし |
| 10:00 | 38.7°C | 尿1回 | 吐き気 | 医師・薬剤師に確認した薬 |
| 13:00 | 38.4°C | 少量ずつ飲める | 嘔吐1回 | 追加なし |
熱が下がった後もWarning Signsを確認する
デング熱で注意が必要なのは、熱が高い時間だけではありません。WHOとCDCは、重症化のWarning Signsが、熱が下がった後に現れる場合があると注意を促しています。
次の症状がある場合は、直ちに医療機関またはEmergency Roomへつなぎます。
- 強い腹痛または腹部の圧痛
- 嘔吐が繰り返される
- 鼻や歯ぐきからの出血
- 吐血または血便
- 呼吸が速い、または苦しい
- 強い疲労、ぐったりしている
- 落ち着かない、反応が普段と違う
- 強い喉の渇き
- 皮膚が青白く冷たい
- 急に弱くなった
- 意識がはっきりしない
「熱が下がったから登校する」と決めず、全身状態を確認します。一つでも強いWarning Signがある場合は、翌朝まで待たないでください。
水分は「飲んだか」だけでなく「保てているか」を確認する
発熱中は、水分を飲んだ量だけでなく、体内に保てているかを確認します。飲むとすぐ吐く、尿が極端に少ない、最後に尿が出た時刻を思い出せない、口が非常に乾いている、立つと強くふらつく、反応が鈍い、といった変化は医療者へ伝える必要があります。
水や電解質を含む飲料を取ることについて、WHOとCDCは脱水を防ぐための水分摂取を案内しています。ただし、心臓や腎臓の病気などがある人は、水分量に個別の制限がある場合があります。医師の指示に従ってください。水分を自力で取れない場合は、寮で我慢せず受診します。
発熱時に自己判断で薬を選ばない
WHOとCDCは、デング熱が疑われる場合、AspirinやIbuprofenなどのNSAIDsを避けるよう案内しています。出血の危険を高める可能性があるためです。
解熱や痛みにParacetamolが使われることがありますが、本人の年齢、持病、アレルギー、肝臓の状態、ほかに使用している薬によって注意が必要です。市販の風邪薬には複数の成分が含まれている場合があります。
商品名だけで判断しない
次の内容を医師または薬剤師へ確認します。
- Generic Name
- 1回量
- 1日の使用回数
- 最後に使用した時刻
- ほかの薬との成分重複
友人の薬をもらう、複数の解熱薬を重ねる、効かないから短時間で追加する、といった行動は避けてください。
検査結果を自己判断に使わず、再診条件を確認する
検査結果を自分で確定診断に使わない
医療機関では、症状、発熱日数、診察所見などに応じて血液検査やデング熱に関する検査が検討されます。しかし、検査の種類によって、確認しやすい時期や意味が異なります。また、検査結果は一つの数値だけで判断するものではありません。
| 受診時に確認する英語 | 日本語 |
|---|---|
| What test was performed? | 何の検査を行いましたか? |
| Does the timing of the test affect the result? | 検査した時期は結果に影響しますか? |
| Do I need a repeat blood test? | 血液検査を再度受ける必要がありますか? |
| What warning signs should I watch for tonight? | 今夜、どのWarning Signsを確認すべきですか? |
| When should I return to the hospital? | いつ病院へ戻るべきですか? |
検査結果、医師の指示、次回受診日を写真と紙の両方で保存します。
一度受診したら終わりではない
最初の受診時に帰宅となっても、その後の経過確認が必要な場合があります。CDCの医療者向け案内では、外来で経過を見る患者について、状態に応じた定期的なフォローと血液検査の確認が示されています。
帰宅前に次の内容を確認します。
- 次に受診する日と時刻
- 再検査が必要か
- 自宅で確認する症状
- すぐ戻るべきWarning Signs
- 飲んでよい薬と避ける薬
- 水分と食事についての指示
- 授業へ戻る条件
「良くならなければまた来てください」だけではなく、何をもって良くならないと判断するかを聞きます。
相部屋では蚊に刺されない対策を続ける
デングウイルスが、人から人へ通常の会話や食器で直接広がるわけではありません。しかし、発症した人を蚊が刺し、その蚊が別の人を刺すことで感染が広がる可能性があります。
CDCは、発症後最初の1週間は蚊に刺されない対策を行うよう案内しています。療養中も次の対策を続けます。
- 虫よけ剤を適切に使用する
- 長袖や長ズボンを使う
- 窓やドアのScreenを確認する
- 必要に応じてMosquito Netを使う
- 部屋や周辺のたまり水をなくす
- 植木鉢、容器、排水周辺を確認する
体調が悪い本人に清掃を任せず、寮スタッフへ状況を伝えます。
学校へ伝える内容と授業復帰の条件
SCHOOL CONTACT|学校へ伝える内容
学校へは「デング熱です」と自己診断して伝えるのではなく、確認できる事実を共有します。
| 英語 | 日本語 |
|---|---|
| I have had a fever since last night. | 昨夜から発熱しています。 |
| Today is Day 2 of my fever. | 今日は発熱2日目です。 |
| I vomited twice and have abdominal pain. | 2回嘔吐し、腹痛があります。 |
| I was examined at the hospital and need another blood test tomorrow. | 病院を受診し、明日もう一度血液検査が必要です。 |
学校には、欠席、食事、病院への移動、相部屋での療養、再受診の支援を相談します。
授業へ戻るのは「解熱した日」とは限らない
WHOは、デング熱から回復した後も、疲労が数週間続く場合があると説明しています。授業復帰は体温だけでなく、次の状態を確認します。
- 警告症状がない
- 水分と食事を取れる
- 歩行や移動ができる
- 医師の再診指示を守っている
- 授業中に休める
- 必要な血液検査が完了している
- 医師から行動制限を受けていない
最初から全授業へ戻すのではなく、学校と相談して段階的に復帰する方法があります。
EMERGENCY|直ちに救急へつなぐ状態
強い腹痛、繰り返す嘔吐、出血、呼吸の異常、意識の変化、冷たく青白い皮膚、急激な衰弱などがある場合は、一人でGrabに乗って移動しないでください。学校スタッフ、同行者、最寄りのEmergency Roomへ連絡します。フィリピンの全国緊急通報は911です。
本人が話せない場合に備え、同行者は次の情報を持ちます。
- 発熱開始日時
- 体温記録
- 嘔吐と尿の回数
- 使用した薬
- 持病とアレルギー
- 検査結果
- 保険証券
- Passport情報
参考情報
情報確認日:2026年8月29日
主な確認先:
WHO|Dengue and Severe Dengue Q&A
Department of Health Central Visayas|Dengue Prevention
この記事は一般的な情報提供を目的としており、デング熱の診断や個別の治療指示に代わるものではありません。発熱時は医師へ相談し、強いWarning Signsがある場合は直ちに救急医療へつないでください。