イメージ。Photo: Pavel Danilyuk / Pexels License(16:9にトリミング)
セブの語学学校には、日本、韓国、台湾、中国、ベトナム、モンゴルなど、異なる国や地域から学生が集まることがあります。 しかし、複数国の学生が在籍しているだけで、自然に国際交流が生まれるわけではありません。 学校には、複数言語での案内、食文化や宗教への配慮、学習習慣の違いへの対応、学生同士が混ざる授業や行事の設計が必要です。
また、国籍比率は一年中同じではありません。 学校を選ぶときは、「日本人が何%か」という数字だけでなく、いつの数字か、どのキャンパスか、学生同士が実際に交流できる仕組みがあるかを確認することが大切です。
多国籍校とは?
- 複数の国から学生を募集している
- 複数の国に営業拠点がある
- 国籍別の学生スタッフがいる
- 一定数以上の国籍が同時に在籍している
- 一つの国籍へ学生が集中しないよう調整している
- グループ授業を異なる国籍で構成している
- 食事や学校行事を複数文化へ対応させている
したがって、「多国籍校ですか」という質問だけでは、実際の環境を判断できません。 語学学校の多国籍性とは、在籍する国籍の数だけではなく、複数言語での支援、文化や生活習慣への配慮、学生同士の交流を実現する運営力です。 国籍数が多くても、一つの国の学生が大半を占めている場合があります。 反対に、在籍国籍が3か国だけでも、学生が授業や食事で自然に交流している学校もあります。

国籍比率の読み方と多文化への受入体制
国籍比率は募集方法、季節、キャンパスや集計方法によって変わります。学生が安心して学ぶには、言語、食事、生活習慣や学習上の違いへの対応が必要です。
国籍比率は学校の募集戦略で変わる
語学学校の国籍構成は、偶然だけで決まるわけではありません。 学校は、国や地域ごとに留学エージェントと契約し、説明会、広告、ウェブサイトなどを通して学生を募集します。 そのため、国籍比率は次のような条件で変わります。
- どの国に営業拠点があるか
- どの国のエージェントと契約しているか
- どの言語でウェブサイトを運営しているか
- どの国向けにキャンペーンを行うか
- どの国籍のスタッフを配置しているか
- どの国の休暇に合わせてコースを作るか
- ジュニア、親子、大学、企業研修のどれを受け入れるか
日本語サイトが充実している学校には、日本人学生が集まりやすくなります。 韓国の学校休暇に合わせたジュニアキャンプを実施すれば、その期間は韓国人学生が増える可能性があります。 台湾やベトナムのエージェントが団体を送る時期には、短期間で国籍比率が変わることもあります。
学生の国籍は一年中同じではない
学校が「日本人比率30%」と案内していても、その数字が留学予定月にも当てはまるとは限りません。 国籍比率は、各国の次の事情によって変動します。
- 夏休み
- 冬休み
- 春休み
- 旧正月
- 大学の休暇
- 企業研修の実施時期
- 航空便
- 為替
- ビザや入国条件
- 災害や感染症
- 学校のキャンペーン
さらに、同じ学校でもキャンパスによって国籍構成が違う場合があります。 ジュニア向け、試験対策向け、社会人向けなど、対象学生が分かれているからです。 確認するときは、次のように質問してください。

国籍比率の数字はどう計算される?
- 在籍学生数による比率
- ある日に学校へ在籍している学生を国籍別に数えます。 留学予定時期に近い数字なら、実際の環境を想像しやすい方法です。
- 年間入学者数による比率
- 一年間に入学した学生を国籍別に数えます。 年間傾向は分かりますが、季節変動は見えにくくなります。
- 延べ在籍週数による比率
- 各学生の滞在週数を考慮します。 短期学生が多い国と長期学生が多い国を比較する場合には意味がありますが、一般の留学希望者には計算方法が分かりにくいことがあります。
- キャンパス合計による比率
- 複数キャンパスの学生を合計します。 自分が通うキャンパスの実態と異なる可能性があります。 学校が比率を示す場合は、集計方法と時点が必要です。 数字だけが表示され、対象期間やキャンパスが書かれていない場合は、参考値として扱いましょう。

日本人が少ない学校なら英語を多く使える?
日本人が少ない学校では、日本語を話す相手が少なくなる可能性があります。 そのため、食事、外出、学生同士の会話で英語を使う必要が生まれることがあります。 しかし、日本人比率が低いだけで、英語使用量が自動的に増えるとは限りません。
日本人が少なくても英語を使わない例
日本人が多くても英語を使える例
同じ国籍の学生がいることにも利点がある
重要なのは、日本人がいるかいないかではありません。 母語での交流が、留学生活のすべてになっていないかです。 生活上の支えとして日本語を使いながら、授業、食事、行事では英語を使うという分け方もできます。 英語初心者や長期留学生にとっては、母語で安心できる時間があることが、学習継続に役立つ場合もあります。
多国籍化で学校に必要になる機能

複数言語による案内
- 国籍別スタッフ
- 多言語の学生ハンドブック
- 翻訳された案内
- 多言語の緊急連絡
- 通訳
- 翻訳アプリ
- 英語と図を組み合わせた説明
すべてを母語で提供する必要があるとは限りません。 しかし、料金、健康、安全、退学、罰則など、誤解すると大きな影響がある情報は、学生が理解できたかを確認する必要があります。 UNESCOは、多言語教育を、学習への参加と包摂性を高める重要な方法として位置づけています。 語学学校は英語を学ぶ場所ですが、重要事項を理解できない状態にすることが「英語環境」ではありません。
出典:UNESCO|Multilingual Education: A Key to Quality and Inclusive Learning
出典:UNESCO|Languages Matter: Global Guidance on Multilingual Education

国籍別スタッフは何をする?
- 留学前の案内
- 入学手続き
- オリエンテーション
- 生活相談
- 授業変更
- 講師変更
- 医療機関の案内
- 学生間トラブルの調整
- 保護者やエージェントとの連絡
- 緊急時の情報伝達
ただし、国籍別スタッフがいることと、24時間対応できることは同じではありません。 一人の日本人スタッフが、営業、入学、生活相談、緊急対応をすべて担当している学校もあります。 確認したいのは次の点です。
- 日本語対応者は何人いるか
- 勤務曜日と時間
- 不在時の代替担当者
- 夜間の連絡方法
- 医療同行の範囲
- 授業内容への決定権があるか
- 寮の問題を誰へ引き継ぐか

食文化の違いへどう対応する?
- 辛さ
- 塩分
- 油
- 主食
- 朝食の内容
- 肉や魚の量
- 野菜
- スープ
- 宗教上の制限
- ベジタリアン
- 食物アレルギー
すべての国の料理を毎食用意することは現実的ではありません。 学校は、複数の料理を組み合わせたり、辛くない料理を一品用意したりして対応することがあります。 確認したいのは、「日本食がありますか」という一点だけではありません。

宗教や生活習慣への配慮
- 礼拝
- 断食
- 食材の制限
- 服装
- 男女間の距離
- 部屋割り
- 飲酒
- 宗教行事
- 休日
- 写真撮影
学校がすべての要望に対応できるとは限りません。 重要なのは、申込み前に条件を確認し、対応できる範囲を明確にすることです。 学校側が「多国籍校」と案内するなら、国籍数だけでなく、異なる生活習慣について相談できる窓口が必要です。 学生側も、自分の習慣だけを当然の基準とせず、他の学生の背景を尊重する必要があります。

学習文化の違いもある
- 講師へ積極的に質問するか
- 間違いを人前で指摘されることへの感じ方
- 宿題の量
- 授業中の発言
- 教材を順番に進めたいか
- 自由会話を好むか
- テスト結果を重視するか
- 講師との距離
- 遅刻や欠席への考え方
- グループ活動への参加
ただし、「日本人は話さない」「韓国人は競争的」といった国籍による決めつけは避けなければなりません。 同じ国籍でも、年齢、性格、英語レベル、留学目的、海外経験によって行動は異なります。 学校が行うべきなのは、国籍で学生の性格を判断することではなく、個人の学習目標と希望する授業方法を確認することです。
出典:UNESCO|A Guide for Ensuring Inclusion and Equity in Education

グループ授業の国籍構成はどう決まる?
多国籍環境を求める場合、学校全体の国籍比率だけでなく、自分が参加するグループ授業の構成を確認してください。 グループ授業は、次の条件で分けられることがあります。
- 英語レベル
- コース
- 年齢
- 試験対策の種類
- 入学時期
- 授業時間
- 希望科目
- クラス定員
国籍を混ぜたいと学校が考えても、レベルが違えば同じクラスにできない場合があります。 たとえば、日本人学生が少ない学校でも、自分と同じレベルのクラスには日本人しかいない可能性があります。 反対に、日本人比率が高い学校でも、上級クラスや特定コースでは複数国籍になる場合があります。 学校へは、次のように聞きます。

英語で交流できる仕組みと自分に合う環境
日本人比率だけで英語使用量や授業品質は決まりません。学校が設ける交流の機会、重要事項を理解できる相談体制、自分が参加できる環境を確かめます。
English Only Policyは多国籍化に役立つ?
English Only Policyは、校内の指定範囲で英語を使う規則です。 国籍の異なる学生が共通言語として英語を使うきっかけになります。 しかし、規則があるだけで交流が生まれるとは限りません。 機能するためには、次の条件が必要です。
- 適用場所と時間が明確
- 初心者にも実行できるルール
- 講師とスタッフも協力する
- 困ったときの表現を教える
- 罰則だけに頼らない
- 学生が話せる活動がある
- 母語が必要な相談窓口を残す
病気、契約、災害、緊急連絡などまで英語だけに限定すると、誤解による危険が生じます。 英語使用を促す学習空間と、正確な理解を優先する相談空間を分けることが現実的です。

学生同士の交流は自然には生まれない
異なる国籍の学生を同じ校舎へ集めても、学生は話しやすい相手とグループを作ります。 母語、年齢、留学目的、生活時間が近い人同士で集まるのは自然な行動です。 国籍を越えた交流を生むには、学校側の設計が役立ちます。
交流を作りやすい仕組み
- 国籍混合の新入生オリエンテーション
- 少人数の会話グループ
- Buddy制度
- 国籍を混ぜたグループ授業
- スポーツ
- 料理や文化紹介
- プレゼンテーション
- ボランティアではない地域交流
- 週末アクティビティー
- 共用の自習・休憩スペース
交流を妨げやすい状態

国籍比率と授業品質は別に確認する
日本人が少ない学校でも、講師研修や教材管理が弱ければ、授業品質が高いとは限りません。 日本人が多い学校でも、講師の採用、研修、授業記録が整っていれば、質の高い授業を受けられる可能性があります。 学校選びでは、次の2つを分けてください。
国際環境の確認

教育品質の確認
- 講師採用
- 講師研修
- カリキュラム
- 教材
- 授業観察
- 学習記録
- 講師変更制度
国籍比率を公開するときの注意
学校や留学エージェントが国籍比率を公開する場合、学生の個人情報へ配慮する必要があります。 学生数が非常に少ない学校で、国籍、年齢、性別、コースなどを細かく組み合わせると、特定の学生を推測できる可能性があります。 フィリピンのNational Privacy Commissionは、個人情報を扱う組織に対して、Data Protection Officerの配置など、個人データ保護の体制を求めています。
留学希望者が必要なのは、個人名や細かな属性ではありません。 学校選びに使える範囲で集計された情報です。 たとえば、次のような形が適しています。
出典:National Privacy Commission|Appointing a Data Protection Officer
自分に合う国際環境は人によって違う
- 英語初心者
- 重要事項を日本語で確認できる学校が安心につながる場合があります。 そのうえで、授業や行事では他国籍と交流できる環境を選びます。
- 中上級者
- 国籍混合のグループ授業、討論、発表などが多い学校が合う可能性があります。
- 短期留学生
- 短い期間で交流を始められるよう、学校主催の活動があるかを確認します。
- 長期留学生
- 最初の国籍構成だけでなく、学生が毎週入れ替わる環境で人間関係を作り直せるかを考えます。
- 社会人
- 年齢や留学目的が近い学生がいるかも重要です。 国籍が違っても、生活時間や目的が大きく違えば交流しにくい場合があります。
- 親子・ジュニア留学
- 国籍比率だけでなく、年齢別クラス、安全管理、保護者サポートを確認します。

学校へ聞きたい10の質問
- 1.現在の国籍構成はどうなっていますか?
必ず集計日も確認します。 - 2.私が留学する月はどう変わりそうですか?
過去の同時期と予約状況を聞きます。 - 3.どのキャンパスの数字ですか?
学校全体の比率と区別します。 - 4.大人とジュニアを分けた数字ですか?
団体学生の影響も確認します。 - 5.日本語対応者は何人いますか?
対応時間と不在時の連絡方法も聞きます。 - 6.グループ授業は国籍を混ぜますか?
レベル分けとの優先順位を確認します。 - 7.学生同士が交流する仕組みはありますか?
行事名だけでなく、人数と内容を聞きます。 - 8.English Only Policyはどこで適用されますか?
緊急時や相談時の例外も確認します。 - 9.食事制限や宗教上の要望へ対応できますか?
対応可能な範囲を具体的に聞きます。 - 10.国籍間のトラブルは誰が調整しますか?
国籍別スタッフだけでなく、学校全体の責任者を確認します。
留学後に自分でできること
- 食事の席をときどき変える
- 名前と出身地を覚える
- 短い質問を準備する
- 相手の英語を評価しない
- 分からないときは聞き返す
- 自分の国の話だけをしない
- 国籍に基づく冗談を避ける
- 写真を撮る前に許可を得る
- 宗教や政治を決めつけない
- 英語が通じないときも急かさない
英語力の異なる学生同士の会話は、講師との授業より難しく感じる場合があります。 しかし、言い換え、確認、聞き返しを使って意味を伝える経験は、実際の国際コミュニケーションに近い練習になります。

「外国人の友達ができる」を留学目標にしすぎない
多国籍校を選んでも、必ず親しい友人ができるとは限りません。 学生の入学日、卒業日、年齢、英語レベル、性格が異なるからです。 「多国籍校へ行けば外国人の友達ができる」と期待しすぎると、交流が少なかったときに留学全体を失敗と感じる可能性があります。 目標は次のように具体化するとよいでしょう。

まとめ
複数国籍の学生が在籍するだけでは、多国籍環境は完成しません。学校には、重要事項の多言語案内、国籍別スタッフと学校全体の連携、食文化・宗教・生活習慣や学習文化の違いへの対応が必要です。
国籍を越えて参加できる授業や交流行事・空間を設け、トラブルを調整する責任者を置き、個人情報に配慮して国籍データを管理することも大切です。異なる背景の学生が安心して学び、英語で関係を作れるように設計されているかが、多国籍校の価値を決めます。
日本人比率の低さは英語を使うきっかけになりますが、英語使用量を決めるのは比率だけではありません。学校が学生を混ぜる仕組みを持ち、自分もその環境へ参加することが重要です。
ナビセブでは、年間平均の国籍比率だけで比較せず、留学予定月、キャンパス、大人とジュニア、グループ授業、学生サポート、交流行事まで確認します。日本人の少なさだけを求めず、自分が英語を使って人と関われる学校を選びましょう。
※学校の国籍構成、スタッフ配置、グループ授業、食事、宗教上の対応、English Only Policyは、時期、キャンパス、コースによって異なります。国籍比率は必ず集計日と対象範囲を確認し、留学予定時期の最新情報を学校または留学エージェントへお問い合わせください。