中谷よしふみのセブ食べある記「レチョン・マノック / Lechon Manok」

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2025年9月29日

 

僕の好きな屋台料理のひとつに、「レチョン・マノック」があります。タガログ語で「レチョン(Lechon)」は丸焼き、「マノック(Manok)」は鶏。つまり、レチョン・マノックとは鶏の丸焼きです。

 

フィリピンで「レチョン」といえば、豚の丸焼き。正式には「レチョン・バボイ」だけど、単に「レチョン」と言えば豚を指すほど圧倒的な存在です。だけど、日本人の口には脂っこさが控えめなレチョン・マノックの方が合うと思うんですよね。

 

セブの街を歩いていると、鶏が丸ごと串刺しにされて、炭火の上でぐるぐる回っている光景をよく見かけます。ガスではなく炭火で、約1時間かけてゆっくり回転させながら焼き上げます。遠赤外線の効果で芯まで熱が通り、外はパリッと、中はふっくらジューシーなんです。

 

注文すると「チョップする?」と聞かれるので、大きく頷けば、大きなナタでザクザクと豪快に切ってくれます!路上で見かけるのはだいたいテイクアウトの店だけど、その場で食べたければ、その辺の椅子が支給されます。

 

美味しさの秘密は下味。鶏のお腹にレモングラスやニンニクを詰めて、塩や胡椒と一緒にマリネすることで、奥行きのある風味が肉全体に染み込みます。さらに、焼きながら油やマリネ液を表面に塗ってツヤを出す店もあります。味付けが濃いフィリピンだけど、レチョン・マノックの味付けはいい感じ。

 

ソースは店によって違います。唐辛子入りの酢でさっぱりと、醤油とカラマンシーで爽やかに、濃厚なグレイビーでこってり楽しむ、などさまざまです。レストランではほとんど見かけることはなく、主に屋台やショッピングモールのフードコート、小さな店舗、チェーン店(Andok’s、Chooks-to-Go、Sr. Pedroなど)で売られています。

 

僕は路上の名もない屋台が好きです。炭火で焼いた鶏はスモーキーでおいしい。ソースはつけないでそのまま食べてます。ただし、お腹を壊す人もいるので、しっかり焼けているものを選んでください。あくまで自己責任で!

 

そしてもうひとつの美味しさの秘密は、「みんなで食べる」こと。一羽を丸ごとひとりで食べることもできるけど、フィリピンでは大皿にドンと置き、プソ(編んだココナッツの葉に入ったご飯)と一緒に家族や仲間とシェアするのが当たり前です。手でちぎってベタベタになりながらワイワイ食べると、さらにおいしい。

 

外で食べていると、どこからともなく犬がやってきます。いい匂いにつられているのでしょう。僕はいつも骨まわりを犬にあげています。嬉しそうに食べる姿を見るとうれしいし、ゴミも減って超エコ。みんな一緒に生きている感じが好きなんです。

 

【Y’s Tips】

「レチョン・マノックで味わう物価高」

僕が初めてフィリピンを訪れた2012年ごろ、レチョン・マノックは一羽170ペソほどでした。今では300ペソ前後。物価の上昇をしみじみと感じます。

 

谷よしふみ

フィリピンのおいしい料理を探求するノマドライター。セブ留学体験談をまとめたサイト「フィリピン留学ラジオ」を運営中。
https://ph-radio.travel-book.info/ 

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