こんにちは、ナビセブ編集部の谷口まりです。親子でセブに移住しました。観光とグルメの記事を担当しています。
ダウンタウンの海側で見かけるこの建物は、教会や要塞とは違う角度からセブの歴史を伝えます。かつて港の近くで営まれた仕事や宿泊の機能が、一つの建物の呼び名に重なっているからです。古い外壁を見るだけで終わらせず、何に使われてきた場所なのかを知ると、港町の商業史を読み取る手掛かりになります。
ナビセブ編集部のまとめ
Compañía Marítima Buildingは、セブ市庁舎の海側に残る、1910年建築の歴史建物です。Fernandez Building、Shamrock Hotel、海運会社Compañía Marítimaに関わる用途の変遷を持ち、アーチ形の窓や柱形が外観の見どころになっています。訪問は通行が認められた周辺からの外観見学を基本にし、廃墟の内部を自由に探検できる場所として予定を組まないようにしましょう。
市庁舎とCarbonに近い港の歴史建物
Compañía Marítima Buildingは、Cebu City Hallの海側、Quezon Boulevard周辺にあります。市庁舎とCarbon Marketを周辺の目印にでき、歴史地区の市街地と港側の空間が接する位置に立っています。検索ではアクセント記号を省いた「Compania Maritima Building」や「Maritima Ruins」という表記も使われます。
車で向かう際にはセブ市の建物であることと、市庁舎近くという目印を一緒に伝えると目的地を絞り込めます。
ここで見る対象は、周辺の商業区画全体ではなく、歴史建物そのものです。Carbonで食事をすることと、Marítimaの外観を眺めることでは、行き先も利用目的も異なります。周辺道路から建物の位置を確かめ、立ち止まれる場所を選びましょう。道路や敷地の利用状況に合わせて歩くことが必要で、建物が見えている方向へ直線的に進めるとは限りません。
Fernandez Buildingから変わってきた呼び名
建物の起点となる名称はFernandez Buildingです。SunStarの建築解説では1910年に建てられ、複数の事務所を収容した後にホテルとしても使われたと紹介されています。海運会社の名前が現在の通称として定着していますが、最初からその会社専用の建物だったと考えると、以前の用途を見落としてしまいます。建築年と、後に入居した企業の歴史は分けて理解することが大切です。
戦前のホテルとして登場するのがShamrock Hotelです。ビサヤ語のSunStar記事も、旧Fernandez Buildingに戦前のShamrock Hotelがあったと伝えています。港に近い建物に事務所や宿泊機能が置かれていたことからは、船を介した移動と商業活動が身近だった街の姿を考えられます。ただし、用途の変化は段階的なもので、ホテルの開業年と建物の建築年を同じ年として扱うことはできません。
戦後には修復を経て海運会社Compañía Marítimaが利用し、その名が建物を指す呼び方として残りました。同じ地元報道では、会社が1980年に破産を申し立て、その後に建物が使われなくなったと説明されています。現在の「Maritima Ruins」という呼び名には、海運会社が使っていた時代と、業務施設としての役割を失った後の姿が重なっています。外観を見るときも、建物と企業を一つの年代にまとめないことが歴史を理解する助けになります。
Shamrockの公式史に残る商業の記憶
この建物とShamrockの関係は、菓子や土産物を扱う現在のShamrockの公式史にも残っています。同社は、Honoria Parasとアイルランド人事業家による戦前の事業にルーツがあり、最初の店舗が港側の旧Compañía Marítima Buildingにあったと説明しています。ホテルの来歴だけでなく、現在まで続く地元ブランドの出発点としても、この場所を見ることができます。
公式史によると、Parasは戦後も事業を続け、1945年にはSikatuna Streetの旧Capitol Hotelでベーカリーを始めました。事業の継続と営業場所の移動が分かる記録で、Marítimaの建物内で現在も同じ店舗が営業しているという意味ではありません。古い建物の名前を調べる際には、そこで生まれた事業と、その後の店舗所在地を分けてたどると混乱を防げます。ここでは建物に残る商業の記憶として理解しておきましょう。
外観ではアーチと柱形の反復に注目する
外観の特徴は、新古典主義の意匠にあります。建築家Karl Cabilaoの解説は、繰り返し並ぶアーチ形の窓、それを縁取る古典的な柱形、建物上部の欄干を挙げています。柱形とは、壁面に柱のような形を設けた部分のことです。独立して立つ柱だけを探すのではなく、窓と窓の間で壁がどう区切られているかを見ると、建物の表情が分かりやすくなります。
見学では、最初に建物全体の輪郭を眺め、その後で窓の並びへ目を移してみてください。一つの窓の形だけでなく、同じ形が連続する様子を見ることがポイントです。曲線を持つアーチと縦方向の柱形を見比べると、装飾が外壁のどこに集まっているのかを読み取れます。建築用語を覚えることより、繰り返される形を自分の目で見つけることを楽しむとよいでしょう。
写真を撮るなら、外壁の細部に寄る構図と、建物全体を含む構図では伝わる内容が違います。全景では窓の反復や高さのまとまり、細部では縁取りの形を記録できます。ただし、よい角度を探すために車道へ出たり、壁際や開口部へ入り込んだりする必要はありません。許可された位置から見える部分を選び、見えない内部を確認するための立ち入りは避けてください。
損傷の歴史と再利用の提案を分けて読む
Compañía Marítima Buildingは第二次世界大戦の爆撃による損傷を経験しています。2017年の建築解説では屋根と内部の壁を欠く状態が記されており、外観の意匠が残ることと、建物内部を利用できることは別だと分かります。その記事では、建築家による交通施設や博物館などへの再利用案も紹介されました。これらは設計提案として発表されたもので、そのまま完成した施設の案内にはなりません。
再利用とは、古い建物の価値を残しながら新しい用途を与える考え方です。Marítimaを読む際には、残っている建物、提案された用途、実際に公開される施設という三つの段階を区別すると理解しやすくなります。完成予想図やライトアップ写真は印象的でも、それだけでは内部見学の可否を判断できません。保存の議論を知ることは訪問の楽しみになりますが、見学計画には別途、公開を知らせる案内が必要です。
敷地の管理と現在の見学の考え方
Marítimaの敷地をめぐっては、セブ市とCebu Port Authority(CPA)の間で権利関係が争われてきました。CPAは2023年6月6日付の公式発表で、同敷地に関する訴えが裁判所に認められたと公表しています。これはCPA側が示した当時の経緯であり、旅行者向けの開館案内ではありません。管理上の発表を読む場合も、何について決まったのかを確認することが必要です。
The Freemanの2024年5月26日付記事は、市とCPAが協調に向けた話し合いを行ったと報じています。そこではMarítimaの周辺にあるPusó Villageや機械式駐車施設も議題に含まれていますが、当時は提案や承認の手続きが残る段階として説明されていました。周辺整備のニュースを、建物内部の一般公開や各施設の営業開始と読み替えないようにしましょう。
2026年9月11日時点で訪問計画を立てる際も、博物館の入館を予定するより、通行が認められた周辺から外観を見る形が適しています。敷地に人や車が入っていても、観光客の建物内への立ち入りが認められているとは限りません。現地の柵、立入表示、管理担当者の案内を優先し、内部へ入る目的がある場合は、主催者や管理側が示す公開日時と対象範囲を確認してください。外観見学だけでも、窓の構成と港に近い立地から建物の特徴を読み取れます。
最後に
Compañía Marítima Buildingは、事務所、ホテル、海運会社という用途の変化を通じて、セブの港と商業の歴史を伝える建物です。Fernandez Buildingという旧称やShamrockの公式史を知り、外観のアーチと柱形を見れば、残された壁にも具体的な意味が見えてきます。見学は許可された範囲からの外観を中心にし、再利用の提案と実際の公開を区別して訪れましょう。
よくある質問
Compañía Marítima Buildingはいつ建てられましたか?
1910年に建てられ、Fernandez Buildingとして知られていました。その後のホテル利用や海運会社の入居は、建物の成立とは別の段階です。
建物の中を自由に見学できますか?
自由入場を前提にせず、通行が認められた周辺から外観を見る計画にしてください。内部の見学は、管理側が示す公開案内と対象範囲に従う必要があります。
Shamrock Hotelという名前は現在営業しているホテルを指しますか?
この建物の説明に出てくるShamrock Hotelは、戦前の用途を示す名称です。現在のShamrockの店舗や宿泊施設を利用する場合は、同社公式案内で目的地を別に確認してください。
