はじめに
こんにちは、ナビセブ編集部の谷口まりです。親子でセブに移住しました。観光とグルメの記事を担当しています。
セブ西海岸のアロギンサンに、Bojo Riverがあります。川クルーズとして知られていますが、Bojo Riverの本当の特徴は景色だけではありません。住民がガイド、ボート事業者、調理担当、運営担当として参加し、観光収益の一部を地域へ戻す、住民主体のエコツーリズムとして運営されています。
川の長さは1.4km。確認されているマングローブは24種、鳥は61種です。2025年7月に公表された直近1年間の訪問者は、17,000人超。さらに運営団体は、収益の10%を地域施設の維持に還元しています。
Bojo Riverは、ただ「自然を見るツアー」ではありません。自然を守ることが地域の仕事と収入につながる、その仕組みそのものを体験する場所です。
Bojo Riverは住民が運営する1.4kmのエコ文化ツアー

Bojo Riverの基本的な数字は、次のとおりです。
- 場所:バランガイBojo, アロギンサン, セブ
- 川の長さ:1.4km
- マングローブの種類:24
- 鳥の種類:61
- コミュニティ組織:Bojoアロギンサン・エコツーリズム協会(BAETAS)
- BAETAS設立:2009年6月14日
- ガイド講習:2009年3月〜6月の4か月
- 講習終了時の参加者:52人
- 自立運営まで:2年
- 2025年7月公表の直近1年間の訪問者:17,000人超
- 地域施設への還元:収益の10%
- UN Tourismのおすすめ観光集落:2021年選出
Bojo Riverはどこにある?

Bojo Riverがあるのは、セブ州西海岸のアロギンサンにあるバランガイBojoです。川はマングローブ林の間を流れ、その先でTañon Straitへつながっています。Tañon Straitは、セブ島とネグロス島の間にある海峡です。
川、マングローブ、海沿いの森、海が一つにつながる場所だからこそ、Bojo Riverには多様な生物が暮らしています。
川ツアーは1.4km

Bojo Riverのエコ文化ツアーで使われる川は、1.4kmです。ただボートで通過するのではありません。ローカルガイドが同乗し、マングローブ、鳥、在来の植物、川と海の関係、地域の暮らしを説明します。ガイドの役割は、ボートを動かすことだけではありません。地域の自然を言葉で伝える解説者でもあります。
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マングローブは24種類
Bojo River周辺で記録されているマングローブは、24種です。マングローブは一種類の木の名前ではありません。海水と淡水が混ざる場所や、潮の影響を受ける海沿いのエリアに適応した植物の総称です。種類によって、根の形、育つ場所、塩分への適応が違います。Bojo Riverでは、ガイドの説明を聞きながら進むことで、ただの緑の森が、複数の種類のマングローブでできた生態系であることが分かります。
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鳥は61種類
Bojo Riverと周辺の河畔ゾーンでは、61種の鳥が記録されています。河畔ゾーンとは、川と陸の境界にある水辺の環境です。マングローブ、川岸の植生、干潟、海沿いの森がつながるため、水辺を利用する鳥だけでなく、森に暮らす鳥も確認できます。ただし、61種すべてを一度のツアーで見られるという意味ではありません。季節、天気、潮、時間によって、見られる鳥は変わります。
Bojo Riverの仕組みは2008年に始まった
Bojo Riverの住民主体のエコツーリズムは、突然始まったわけではありません。最初の生態系調査が始まったのは、2008年です。川の自然環境を確かめ、観光に利用できるかだけでなく、利用しながら保全できるかが調査されました。
ガイド講習は4か月
コミュニティ会員を対象にした講習は2009年3月〜6月で、期間は4か月です。講習では、エコツーリズム、ガイド、環境に配慮した保全、もてなし、安全、地域文化などを学びました。観光客が来てから住民にボートを任せたのではなく、ツアー開始前に人材育成を行っています。
講習終了時に52人が残った
4か月の講習を最後まで続けた参加者は、52人です。この52人が、Bojo Riverの初期運営を支えるコミュニティ会員になりました。ガイド、ボート運営、食事の準備、事務、環境に配慮した活動といった役割を、地域内で分担しました。
BAETAS設立は2009年6月14日
設立から2026年までは、2026 − 2009 = 17年です。Bojo Riverは短期的な観光プロジェクトではありません。地域が17年間運営を続けてきたコミュニティ事業です。
最初はLGUが100%支援
プロジェクト開始時の資金は、アロギンサンの地方自治体(LGU)が100%支援しました。自然調査、講習、施設の準備、コミュニティ組織づくりを、地方自治体が支えています。しかし、行政がいつまでも運営費を出し続ける仕組みではありませんでした。
2年で自立運営へ移行
BAETASは、プロジェクト開始から2年で自立を達成しました。2009年に始まり、その2年後なので2011年です。その後は、川ツアーから得る収益を使いながら、コミュニティ組織が自主的に運営しています。コミュニティツーリズムで大切なのは、支援を受けることだけではありません。支援が終わった後も、地域だけで続けられるかどうかです。Bojo Riverは、その段階まで進んだ事例です。
直近1年間で17,000人超
1日あたりに直すと、17,000 ÷ 365 = 約46.6人/日です。
実際には、週末、祝日、天気、潮によって訪問者数は変わります。それでも年間17,000人超という数字から、Bojo Riverが小さなコミュニティプロジェクトを超えて、継続的に利用されるエコツーリズムの場所になっていることが分かります。
収益の10%を地域へ戻す
₱100 × 10% = ₱10、₱1,000 × 10% = ₱100、₱100,000 × 10% = ₱10,000です。
これは実際の売上額ではなく、10%という仕組みを示す計算例です。観光収益が運営団体だけに残るのではなく、地域施設へ循環します。
観光客が増えるほど地域にも還元される
一般的な観光地では、訪問者が増えると、道、ごみ、トイレ、水、安全などの負担が地域側に増えます。Bojo Riverでは、収益の10%を地域へ戻すことで、観光によって生じる負担の一部を観光収益で支える構造を作っています。訪問者、コミュニティ、地方自治体の3者が切り離されていません。
元漁業者がガイドになる
Bojo Riverでは、地域の漁業者がガイドとして活動してきました。漁業で培った潮の知識、天気の変化、川の流れ、鳥の動き、植物の位置を、ツアーガイドの仕事に生かしています。自然を利用して得てきた知識が、自然を説明し、守るためのスキルとして価値を持つようになります。
女性も運営の中心に入る
Bojo Riverのコミュニティツーリズムでは、女性もガイド、調理担当、運営担当として参加しています。料理を提供するだけではありません。訪問者への事前説明、予約管理、会計、ツアー運営などにも関わります。収入の機会を一部のボート事業者だけに集中させず、複数の役割をコミュニティ内に作っています。
川クルーズ前に事前説明を受ける
Bojo Riverの体験は、ボートに乗るところから始まるわけではありません。最初に、事前説明、安全についての案内、地域からの歓迎を受けます。これは単なる受付ではありません。訪問者に、どのような自然があるのか、どのようなコミュニティが運営しているのか、何をしてはいけないのかを伝える時間です。
ボートにはローカルガイドが同乗
川ツアーでは、ローカルガイドがボートに同乗します。案内される内容は、次のとおりです。
- マングローブの種類
- 在来の植物
- 鳥
- 川の生態系
- 地域の歴史
- コミュニティの暮らし
写真だけを撮って終わる場所ではありません。ガイドの説明を聞くことで、1.4kmの川が、森、野生生物の生息環境、漁場、観光資源として同時に機能していることが分かります。
日常の清掃もコミュニティが行う
Bojo Riverでは、コミュニティ会員が定期的な清掃を行っています。川に流れ込むプラスチック、川岸のごみ、水面に浮かぶごみは、景観だけの問題ではありません。マングローブの根に絡む、鳥や魚が誤って食べる、ボートの運航に影響する、といった生態系と安全の問題になります。ツアー収益を得る人と川を清掃する人が別ではなく、同じコミュニティが利用と管理の両方を担っていることが特徴です。
2016年にASEAN住民主体観光賞
BAETAS設立から2016 − 2009 = 7年後です。コミュニティの参加、環境に配慮した保全、地域への利益、訪問者の体験を組み合わせた運営が評価されました。
2021年にUN Tourismのおすすめ観光集落
BAETAS設立から2021 − 2009 = 12年後です。一時的な人気ではなく、10年以上続いたコミュニティツーリズムの実績が国際的に評価されています。
おすすめ観光集落は景色だけの賞ではない
UN Tourismのおすすめ観光集落は、単に美しい村を選ぶ制度ではありません。文化資源、自然資源、持続可能性、観光開発、コミュニティの参加、施設などが評価されます。Bojoが評価されたのは、川が美しいからだけではありません。コミュニティが自然を守りながら観光を管理していることが重要です。
Bojo Riverで守りたい訪問者ルール
Bojo Riverを利用するときは、コミュニティの案内を優先します。ライフジャケットを正しく着用する、ガイドの説明を聞く、マングローブや植物を採らない、鳥や野生生物に食べ物を与えない、川へごみを捨てない、大きな音を出さない、許可なくドローンを飛ばさない、ボートから身を乗り出さない、天気や潮による変更に従う、といった行動が必要です。
潮で川の表情が変わる
Bojo RiverはTañon Straitにつながるため、潮の影響を受けます。満潮と干潮では、次のようなものが変わります。
- 水位
- 流れ
- 見える根
- 川岸
- 鳥の動き
そのため運航や体験内容は、当日の天気と潮に合わせてコミュニティ側が判断します。訪問者の予定よりも川の状態を優先するのが、エコツアーの基本です。
Bojo Riverの価値はボートの外にある
Bojo Riverをボートに乗るだけで評価すると、1.4kmの短い川クルーズに見えるかもしれません。しかし実際には、次のような仕組みがあります。
- 2008年の生態系調査
- 4か月の講習
- 52人のコミュニティ参加者
- 2009年のBAETAS設立
- 2年での自立
- 収益の10%の地域還元
- 17,000人超の訪問者
見えている川の背景には、17年間続くコミュニティによる管理があります。
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Bojo Riverのデータまとめ
| 項目 | 数字・内容 |
|---|---|
| 場所 | バランガイBojo, アロギンサン, セブ |
| 川の長さ | 1.4km |
| マングローブの種類 | 24 |
| 鳥の種類 | 61 |
| 生態系調査開始 | 2008年 |
| ガイド講習 | 2009年3月〜6月 |
| 講習期間 | 4か月 |
| 講習終了時の参加者 | 52人 |
| BAETAS設立 | 2009年6月14日 |
| エコ文化ツアー開始 | 2009年6月14日 |
| 自立達成 | 開始から2年 |
| 2026年時点の運営年数 | 17年 |
| 2025年7月公表の直近1年間の訪問者 | 17,000人超 |
| 1日平均換算 | 少なくとも約46.6人 |
| 地域施設への還元 | 収益の10% |
| ASEAN住民主体観光賞 | 2016年 |
| UN Tourismのおすすめ観光集落 | 2021年 |
| 接続する海域 | Tañon Strait |
| 運営団体 | BAETAS |
👨💻 ナビセブ編集部
ナビセブ編集部の結論
Bojo Riverは、セブ州西海岸のアロギンサンにある、住民が運営する1.4kmの川ツアーです。
マングローブは24種類、鳥は61種類が確認されていて、ボートには地元のガイドが同乗します。
2009年に設立されたBAETASが運営し、収益の10%を地域の施設へ戻す仕組みがあり、2021年にはUN Tourismのおすすめ観光集落に選ばれました。
参加するときはライフジャケットを着け、植物を採らない・ごみを捨てないなど、コミュニティの案内に従うことが大切です。

今日分かったこと
Bojo Riverは、1.4kmの川です。確認されているマングローブは24種、鳥は61種です。コミュニティ組織のBAETASが設立されたのは、2009年6月14日。ツアー開始前には4か月の講習が行われ、52人が最後まで参加しました。開始から2年で自立を達成し、2025年7月に公表された直近1年間の訪問者は17,000人超です。さらに、収益の10%を地域施設の維持に還元しています。
Bojo Riverで見るべきものは、マングローブや鳥だけではありません。元漁業者がガイドになる、女性が運営に参加する、訪問者からの収益が地域へ戻る、コミュニティ自身が川を清掃する、という循環です。
自然を見せて終わるのではなく、自然を守ることを地域の仕事として成り立たせる。それがBojo Riverの住民主体のエコツーリズムです。
情報基準日:2026年8月28日


