中谷よしふみのセブ食べある記「プトマヤ・セクワテ / Puto Maya & Sikwate」

写真協力:Pamahaw Cafe
東南アジアには、もち米とココナッツを組み合わせた甘い料理が各地にあります。マレーシアの「プルッ・マンガ」、インドネシアの「クレポン」、ラオスの「カオニャオ・マクムアン」など。どれも果物を合わせた素朴なスイーツです。中でも有名なのが、タイの「カオニャオ・マムアン」。マンゴーにココナッツミルクをたっぷりかけて食べるスタイルが、観光客にも人気です。
実はフィリピンにも似た料理があるんだけど、なぜかあまり知られていません。それが「プトマヤ・セクワテ(Puto Maya & Sikwate)」です。「プトマヤ」はココナッツ風味のもち米、「セクワテ」はホットチョコレート。甘いホットチョコを加えるのが、なんともフィリピンらしい。
カカオはスペイン統治時代にメキシコ経由で伝えられたとされており、チョコレートは上流階級の贅沢な飲み物でした。それが時を経て庶民にも広まりました。セブでは「タブレア(tablea)」と呼ばれる、焙煎したカカオ豆をすり潰して丸めたカカオの塊があり、それをお湯で溶かした飲み物が「セクワテ」。セクワテという言葉はタガログ語ではなくビサヤ語です。
クリスマス前の「シンバン・ガビ(夜明けのミサ)」では、ビビンカやプトブンボンが定番だけど、セブではプトマヤ・セクワテも朝食として登場します。
これはクリスマスシーズンでなくても食べられます。カルボンマーケットの2階に超ローカルフードコートがあるんですが、そこに「Letty’s Puto Maya」というプトマヤ専門店があります。ほんのりココナツの香りがするもち米が10ペソ。マンゴーはついていません。ホットチョコレートは紙コップで提供され、こちらも10ペソ。砂糖なしの純粋なカカオで、甘さはゼロ。卓上の砂糖を加えると、ようやくチョコレートらしくなります。
ITパークの屋台街にある「Nora’s Puto Sikwate」では、ササに包まれた小さなチマキ風のもち米が出てきます。ここのチョコはめちゃくちゃ甘い。ここもそれぞれ10ペソ。ここにもマンゴーはない。高いからね。観光客向けの屋外屋台「Sugbo Mercado」にある「Ally Mango(味方マンゴー)」では、マンゴー付きのスティッキーライスが150ペソで売られています。ただし、ホットチョコはなし。味は普通。
屋台が苦手な人には、チョコレート専門店「Tablea Chocolate Cafe」がおすすめ。朝8時から営業していて、「Puto Maya Set」が175ペソ。温かくて見た目もきれいなココナツ風味のもち米と、香り豊かなホットチョコ、そして甘いマンゴーが楽しめます。
スペインがもたらしたカカオ文化と、アジアの米文化が出会い、フィリピンの歴史の中で独自に進化した「プトマヤ・セクワテ」。外来文化 × 地元文化 × 信仰のミックスした一皿です
……とはいえ、「めちゃくちゃうまい!」とは言えない自分がいます。カオニャオ・マムアンはおいしいのに、ほとんど同じプトマヤ・セクワテはなんか違う……。食欲がない朝には悪くないけど、それなら、ゴトやタホを食べちゃいます。
【Y’s Tips】
「カカオ生産国だけど、チョコレートは輸入品」
フィリピンはカカオの生産国。だけど、市場に出回るチョコレート製品の多くは輸入品。というのも、チョコレートの製造は複雑で、焙煎、コンチング(練り工程)、テンパリング(温度調整)の工程には専門的な設備が必要なんです。だから、カカオに砂糖やミルクを加えるだけで手軽に作れる「チョココーヒー」として飲むことが多いんです。ただ、近年はセブの「Tablea」のようにクラフトチョコレートを作る小規模ブランドが増えてきています。
フィリピンのおいしい料理を探求するノマドライター。セブ留学体験談をまとめたサイト「フィリピン留学ラジオ」を運営中。
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●写真協力:Pamahaw Cafe
セブのローカルの雰囲気を感じられる心地よいカフェ。フィリピンの家庭料理をベースにした優しい味わいと、落ち着いた空間が魅力です。


