こんにちは、ナビセブ編集部の山下こうきです。ホテルとイベントの記事を担当しています。
OFW(Overseas Filipino Worker)とは、海外で働くフィリピン人労働者のことです。フィリピン統計庁(PSA)によると2024年のOFWは約219万人で、2025年に海外から送られたお金(現金送金)は過去最高の356.3億ドル、国内総生産(GDP)の7.3%にあたります。
この記事では、OFWの意味と人数、働く国と職種、多くの人が海外を目指す理由、送金がフィリピン経済と家族に与える影響を、最新の統計とセブで暮らして見えることを合わせてまとめました。
ナビセブ編集部のまとめ
OFWは約219万人。送金はGDPの7%超で、家族と国の暮らしを支えている

2024年のOFWは約219万人で、そのうち57.2%が女性です。働き先の74.5%はアジア(中東を含む)で、国別ではサウジアラビア21.9%、アラブ首長国連邦12.4%が上位です。2025年の現金送金は356.3億ドルで、GDPの7.3%を占めます。国内の最低賃金はセブを含む中部ビサヤで日額₱582(2026年10月14日に₱540から改定)にとどまり、海外との賃金差が人を外へ送り出す大きな理由になっています。
OFW(Overseas Filipino Worker)とは

OFWは、海外で働くフィリピン人労働者を指す言葉です。フィリピン統計庁の調査では、2024年のOFWの97.9%が雇用契約を結んで海外で働く「契約労働者」で、残り2.1%は就労許可を持たない人などでした。多くの人は期間の決まった契約で海外に渡り、契約を更新しながら何年も働き続けます。
フィリピン政府は2022年に移住労働者省(DMW)を発足させ、海外就労の手続きや労働者の保護を一つの省庁にまとめています。国の経済を支える存在として、OFWは「現代の英雄(Bagong Bayani)」と呼ばれることもあります。
① OFWとBPOの違い
フィリピン経済を支えるもう一つの柱が、国内で海外企業のコールセンターや事務作業を請け負うBPO産業です。BPOは国内にいながら外資系の仕事ができるのに対し、OFWは海外に住んで働くため、一般に給料は高くなります。セブでもITパークを中心にBPOで働く人が多く、どちらで働くかは家族や生活の状況によって選ばれています。
関連記事セブITパークとは?旧Lahug AirportからIT・BPO都市になるまで
OFWの人数と内訳【2024年の統計】

フィリピン統計庁が公表した2024年のOFWの主な数字は次のとおりです。
| 項目 | 数字(2024年) |
|---|---|
| OFWの総数 | 約219万人(2023年の約216万人から1.5%増) |
| 女性の割合 | 57.2%(約125万人) |
| 年齢で最も多い層 | 45歳以上 25.8%、30〜34歳 21.3%、35〜39歳 19.2% |
| 働き先の地域 | アジア(中東を含む)74.5% |
| 国別の上位 | サウジアラビア 21.9%、アラブ首長国連邦 12.4% |
| 1人あたりの送金額(年間) | 平均 約₱12万9,000 |
| 送金の総額(現金・持ち帰り・現物) | 約₱2,622億 |
女性の割合が年々高まっているのが特徴で、2023年の55.6%から2024年は57.2%に増えました。家事労働や介護の仕事で海外に渡る女性が多いことが背景にあります。
なぜ多くのフィリピン人が海外で働くのか

① 国内の賃金が低く、仕事の数も限られる
セブを含む中部ビサヤの最低賃金は、2026年10月14日に₱42上がって日額₱582になりましたが、月に換算しても2万ペソに届かない水準です。家事労働者(カサンバハイ)の最低月給も₱7,000から₱7,500への引き上げにとどまります。同じ仕事でも海外なら何倍も稼げるため、海外就労を目指す人が絶えません。
② 家族を支える仕送りの文化
フィリピンでは家族のつながりが強く、兄弟姉妹の誰かが海外で働き、実家の生活費や弟妹の学費を仕送りで支えることが珍しくありません。セブでも「親戚のおばさんがドバイで働いている」「兄が船で働いている」といった話は日常的に耳にします。
③ 英語が使えることが強み
英語が公用語の一つで、多くの人が仕事で使えるレベルの英語を話せることも、海外で職を得やすい理由です。英語圏はもちろん、中東やアジアでも英語で働ける人材として重宝されています。
OFWが働く主な国と職種

2024年の統計では、職種で最も多いのは単純労働(家事労働・清掃・作業員など)で43.6%、次いで機械操作・組立が15.4%、サービス・販売が12.7%です。女性の68.4%が単純労働に就いているのに対し、男性は32.8%が機械操作・組立の仕事をしています。
① 中東(サウジアラビア・アラブ首長国連邦など)
働き先として最も多いのが中東で、サウジアラビアとアラブ首長国連邦だけでOFWの3分の1を超えます。男性は建設や設備の仕事、女性は家事労働に就くケースが多く見られます。
② 日本・韓国などのアジア
日本に住むフィリピン人は2025年末時点で35万6,579人で、国籍別では中国、ベトナム、韓国に次ぐ4番目です。技能実習や特定技能の在留資格で、製造業や介護の現場で働く人が多くいます。
③ 欧米とクルーズ船
アメリカやカナダ、ヨーロッパでは看護師や介護士として働く人が多く、永住や市民権を得てそのまま移住する人もいます。また世界のクルーズ船では、調理や客室清掃などの乗務員として多くのフィリピン人が働いています。船の上では生活費がかからないため、貯金しやすい働き方とされています。
送金がフィリピン経済に与える影響

フィリピン中央銀行(BSP)によると、2025年に銀行などを通じて送られた現金送金は356.3億ドルで、前年から3.3%増えて過去最高でした。これはGDPの7.3%にあたり、個人送金全体では396.2億ドルに達します。送金元の国別の割合はアメリカが39.7%で最も多く、シンガポール7.3%、サウジアラビア6.6%が続きます。
送金は家族の生活費だけでなく、家の建築、子どもの学費、小さな商売の元手にも使われます。
関連記事SM City Cebuの銀行・ATM・支払い窓口|現金引出し・請求書支払・送金で探す
送金に頼る暮らしの課題

① 送金を待つだけの生活になりやすい
海外からの送金があると、残された家族が働かずに送金だけで暮らすようになるケースもあります。セブで暮らしていても、送金が届いた直後は買い物や外食が増え、次の送金まで手元にお金が残らない家庭の話をよく聞きます。
② 貯金より「今」を大事にする金銭感覚
手元にあるお金は家族や親戚と分け合い、今の暮らしを楽しむために使うという考え方も根強くあります。その結果、OFWが何年も働いても、帰国するときに十分な蓄えがないという話は珍しくありません。
③ 家族が離れて暮らす負担
親が海外で働く間、子どもは祖父母や親戚に育てられることが多くなります。子どもの成長を間近で見られない寂しさは、多くのOFWが抱える悩みです。
帰国後に直面する現実

契約を終えてフィリピンに戻ったOFWが、海外で身につけたスキルを生かせる仕事を国内で見つけるのは簡単ではありません。日本の工場や介護の現場で働いた経験があっても、帰国後は元の職場に戻るか、まったく別の仕事に就くことが多いのが実情です。
現地で覚えた日本語や韓国語も、帰国後に使う機会がなければ少しずつ忘れてしまいます。研修や実習という名目で海外に出ても、帰国後のキャリアにつながりにくいことは、制度の課題として指摘され続けています。
セブで暮らして見えるOFWの存在

セブの住宅街を歩くと、周りより立派な家を見かけることがあります。現地の人に聞くと「家族がOFWとして働いて建てた家」という答えが返ってくることも少なくありません。語学学校の先生や寮のスタッフにも、家族の誰かが海外で働いている人は多くいます。
留学や旅行でフィリピン人と話すとき、家族の話題からOFWの話になることはよくあります。海外で働く家族を誇りに思っている人が多いので、興味を持って聞けば会話も弾みます。
関連記事セブの文化とフィリピン人との付き合い方|時間・呼び方・家族・信仰と、すれ違いの確かめ方【2026年版】
👨💻 ナビセブ編集部
ナビセブ編集部の結論

OFWは約219万人、送金はGDPの7%を超え、フィリピンの家族と経済を支える欠かせない存在です。その裏には、国内の日額₱582という賃金の低さ、送金に頼る暮らし、帰国後にスキルを生かしにくい現実があります。セブで出会う人たちの多くがOFWの家族とつながっていることを知っておくと、フィリピン社会の見え方が変わります。
よくある質問

OFWは何の略ですか?
Overseas Filipino Workerの略で、海外で働くフィリピン人労働者を指します。日本語では「海外フィリピン人労働者」「海外出稼ぎ労働者」と訳されます。
OFWは何人いますか?
フィリピン統計庁によると、2024年は約219万人で、2023年の約216万人から1.5%増えました。女性が57.2%を占めます。
OFWが一番多く働いている国はどこですか?
2024年はサウジアラビアが21.9%で最も多く、アラブ首長国連邦が12.4%で続きます。地域別ではアジア(中東を含む)が74.5%です。
OFWの送金はGDPの何%ですか?
フィリピン中央銀行によると、2025年の現金送金は356.3億ドルで、GDPの7.3%でした。過去最高の金額です。
日本で働くフィリピン人はどのくらいいますか?
2025年末時点で日本に住むフィリピン人は35万6,579人で、国籍別で4番目に多い数です。製造業や介護の現場で働く人が多くいます。
セブの最低賃金はいくらですか?
セブを含む中部ビサヤの都市部(Class A)は、2026年10月14日から日額₱582です(それまでは₱540)。家事労働者の最低月給は₱7,500になります。
最後に

OFWを知ることは、フィリピンの家族観や雇用、経済の仕組みを知ることにつながります。観光や留学だけでは見えにくい部分ですが、セブで出会う先生やスタッフ、街の人たちの暮らしの背景には、海外で働く家族の存在があります。数字と現地の話の両方を知っておくと、フィリピンの人たちとの会話がより深いものになります。

